活動報告⑦

赤子が泣いております。

かれこれもう二時間くらいになるでしょうか。向かいのご家庭なのですけれど、赤子が咽び泣く様は、胸にくるものがありますね。こちらもセンチメンタルになってしまいます。


先日、電車でとある幼い兄妹に遭遇しました。お兄ちゃんは小学生の低学年か中学年、妹さんは歳が離れており、まだ小学生にもなっていないかも。

妹はメソメソと泣いておりましたが、お兄ちゃんは「大丈夫だ、大丈夫だから」と言い続け、妹さんの手をしっかりと繋いでいました。しかし不安そうに電光掲示板を見つめ、空いた片方の拳がキツく握られていたのが印象に残ります。


幸いなことに、リクルートスーツの若い女性が声をかけてくれ、下車駅がその沿線上にあるという事がわかると、私を含めた周囲の人間が安堵しました。良かった。しかしそんな二人で電車に乗らなければならなかった理由とは、一体何なのでしょうか。


不安という感情は伝染します。介護施設においても、一人が不穏状態になると、それが伝染し、落ち着きをなくす人達が増えたりします。それを見ている介護職員の方も、どこか落ち着かなくなってしまったり。保育園でだれかが泣き出せばみんなが泣き出し、教室で誰かが泣き出せば、その悲壮はクラス全体を覆い尽くして、ガサついた雰囲気になります。


時に、感情は言葉を介さなくても伝わることがある、というお話でした。

(文字という文化でいかにこういった五感に働きかけるかが大事とかそういう高尚な話ではありませんでした。すみません)




さて、本日の拝読履歴です。



■テテペケ 様

https://kakuyomu.jp/works/1177354054887217387


第四人称アウトサイダーという視点で本作品に挑まれた作者様。独特の語り口が小気味よい文体ですが、その描写の蜜たるや。五感に訴える、まさしく質感を切り取った情景描写が、先の口上に上手くのせられており、とても密度の濃い筆致であって、それがまた風情を感じさせます。

誰かに語り聞かせるという物語の可能性を追求している、しっかりとしたボディが味わい深い作品です。




■宇部 松清 様

https://kakuyomu.jp/works/1177354054887256724


夏男視点で語られる、「声」がモチーフとなる作品です。言葉で伝える以上、それを乗せる声はなるほどとても大切なファクターです。安定した筆致、読みやすい文体ですらすら読めます。そして何より良いのが、夏男のキャラクター性です。多くの方が好感を抱くのではないでしょうか。

キャラクターを掘り下げる描写の扱いが出色。そしてここには記しませんが、あるアイテムの活用方法が素晴らしいです。これにより動機と関係性を見事に描いています。



■薮坂 様

https://kakuyomu.jp/works/1177354054887266687


三人称、友人というキャラクター視点で送られる青春物語。思わずニヤニヤしてしまいました。夏男と春子のキャラクターや拗らせ具合もさることながら、この主人公のキャラクター性もまたいい感じ。これら登場人物の味を考えれば、この視点での描写は必然だったのでは、と思わせる自然さがまた良いです。

また、そう感じさせない文体にも関わらず、ある仕掛けが用意されています。なるほど! と唸らせられる素晴らしいアイディアだと思いました。



いやぁ、これだけ読んでも毎回新鮮さが得られるというのは、凄いことですね。

やはり物語は語り部によって作られるのだな、と感じました。



作品を読ませて頂いてる順番ですが、現時点では概ね、投稿順をなぞっています。紹介もまたしかり。複数作品応募して下さっている方の作品は、その他作者様の作品を優先させていただいていますので、ご了承ください。

(もちろん全部読むし、紹介させて頂きます。順番の話です)



コメントも盛り上がっており、作者様においては多くの発見があったのではないでしょうか。読み専門の方も、どうか、お気軽にコメントしてあげてくださいね。


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