はじめに音楽、次にお菓子

『毎週水曜日、お屋敷の書斎でラジオをかけながらお菓子を食べてほしい』。

中学二年生の私・杏奈が頼まれた、祖父母が不在のあいだ続けることになった不思議なお使い。
母は『これで成績があがるかもね』と笑うけれど、約束の午後三時、ピアノのある書斎で、私しかいないはずなのに声がして、いつの間にか目の前に居たのは……幽霊？
しかも自分はアントニオ・サリエリだと名乗るけれどーーところで、サリエリってだれ？

三時のおやつとクラシック、それから少しだけ音楽の授業。
のんびりとした午後のひととき。