シーン4
「はぁ……」
先ほどのことを思い出して、ため息が出る。
あれが、みぃのため。
何回そう言い聞かせても、何故か溢れていた涙が忘れられない。
「はぁ……どうしよう」
ただ、一つ確かなのは、何かはしないといけない。
僕はみぃのカバンを拾うと、そこに散らばったノートを入れていく。
ノートには綺麗な字で教科と名前が書かれていて、ちらりと見た中身はとても見やすかった。
なんだ。一人でもちゃんとできんじゃん。
僕は最後の一冊を手に取り、汚れを落とすために手で軽く叩く。
そのとき、それに気がついた。
「あれ?なんの教科だろう」
教科も名前も書かれていないそのピンク色のノート。
まだ使い始めて間もないのか、他のノートに比べて少し綺麗。
ちょっとした好奇心からそのノートを開く。
一ページ目には、目標と大きめに書かれていて、その下に何かが書いてあった。
『目標!
1、神様に頼ってもらえる女性になる
2、神様にふさわしくなる』
なんの目標だろう。
それが気になって、僕はページを一枚めくる。
『優先度1 料理
したいこと
・神様が美味しいって言ってくれるようなものを作る。
・神様の負担が減らせるように、なるべく早く覚える
・胃袋をしっかり掴めるくらい上手になる。』
そんな感じで何個か続いていき、最後のところにこう書いてあった。
『将来、専業主婦として神様を支えられるように頑張る!』
「これって……」
僕と、結婚したいってこと?
でも、どうして?
僕は、依存対象じゃなかったの?
なんで、僕のために頑張るだなんて……
『いや、お前頭おかしいだろ。どう見たって両思いじゃねえか』
今日、教室で言われたことが頭をよぎる。
そんなことあるわけない。
あるわけなかったのに……
「どっちなんだよ」
依存対象か、恋愛対象か。
僕は、みぃにとってどっちなんだろう。
「探さなきゃ」
自分勝手だけど、もしみぃが僕のことを恋愛対象として見てくれているのなら、僕は彼女を手放したくない。
答えを、聞きたかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます