ネコミミ



「ねぇ、神様」

「なに?」


 明日は休日なので夜遅くまでまったりと過ごしていたところ、僕の膝の上に座るかわいい彼女がそう話しかけてきた。


「ネコミミって、ボクに似合うと思う?」

「そりゃあ似合うよ。みぃかわいいし」

「そっか……見たい?」

「え、そりゃあ見たいけど……どうして急にネコミミ……?」

「これ」


みぃが僕に見せてきたスマホの画面には、ヒロインが猫耳をつけて主人公にかわいがられるという、いわゆる二次創作があった。

ああ、これ見たから言い出したのか。


「これ一昨日見つけて、昨日買ってきた」

「買ってきた?」

「うん」


みぃはそう言うと、僕の膝の上から降りて、棚の中をなにやらゴソゴソと漁る。

そして中から猫耳の付いたカチューシャを取り出すと、ソファーに座る僕の前にしゃがんで、スッと猫耳をつけた。

そしてそのまま上目遣いになって僕のことを見上げて……体に雷が走ったような気がした。


か、かわいい。


僕は思わずスマホを起動させ、写真を数枚撮る。

上目遣いで、茶色い髪と合う色の猫耳をつけ、猫みたいなポーズをとる彼女。

かわいくないわけがない!!!


「にゃ、にゃ〜」


流石に恥ずかしいのか、少し控えめにみぃはそう言うが、それがかえって堂々と言うよりもかわいさを増していた。

僕はスマホを投げ出すと、そのままみぃにぎゅうっと抱きついてキスをする。

ほんとかわいい……


キスを終えてみぃの顔を見てみると、少し恥ずかしそうに笑って、


「作戦成功。神様絶対こういうの好きだと思って」


と言った。


その破壊力は言うまでもない。

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