なんか落ち着くよね



ぽすっ


文字で表すならこう記す以外なさそうな動作で、みぃがソファーに座る僕の膝に頭を乗せてくる。

僕の膝を枕にしてソファーに横になるような体勢のみぃは、テレビを見ていた僕の頬をペタペタと触ってきた。


「んー?どうしたの?」

「ちょっと、どんな感じかなぁって思っただけ」

「そっか、で、どんな感じだった?」


僕がいい感じの位置にあるみぃの頭を撫でながらそう尋ねると、みぃは少し悩んでから答える。


「んーっとね、いい感じ。すごく落ち着く」

「ならよかったよ。でも、珍しいね。普段は抱きついてくることの方が多いのに」

「さっき、漫画読んでたらこういう場面の描写があったから、したくなった」

「なるほど。たしかに、みぃ漫画とか読むと実践してみたくなるタイプだもんね」


この前も、テレビに影響されて僕のことをどう呼ぶか真剣に悩んでたな。結局神様のまま変わってないけど。

いや、たまに『神くん』とか混ざるようにはなったかな。


「うん。自分でもしたくなっちゃう」

「まぁ、その気持ちはわかるよ。僕も漫画とか読んでて『あー、こういうのしてみたい』って思うことあるもん」

「まえ、それでなんか難しい料理つくってたよね」

「あー、やったね。懐かしいな……」


たしか、あの時はみぃが読んでる漫画の中に何か難しい料理があって、ついつい作ってみたくなって調べて作ったんだよね。

料理名が思い出せないけど……なんだったかな。


そう僕が記憶を掘り起こしていると、突然みぃが体を起こして、僕に正面から抱きついてくる。

僕の太腿の上に臀部を乗せてぎゅうっと抱きついている体勢は、周りに人がいたら結構やばい気がするけど、ここは僕らの家で他に誰もいないから関係ない。


「んー、やっぱり落ち着く」

「ならよかったよ。僕もみぃが近くにいると落ち着くよ」

「ありがと……ふぁあ……」


みぃは僕に抱きついたまま可愛らしい声であくびをすると、僕の肩に頭を乗せる。

首筋に息がかかって少しくすぐったいな。


「みぃ、眠いならベッドにいこうか?」

「ううん。このままがいい」

「そう?なら、寝そうになったら運ぶよ」

「うん……お願い……」


みぃはそう言うと少し頭を動かして位置を調整したあと、体から力を抜いて完全に体重を預けてくる。

僕が片手で体を抱きしめながらもう片方の手で頭を撫でていると、すぅすぅと気持ちの良さそうな寝息が聞こえてきた。


あー、みぃが寝てると僕も眠くなっちゃうなぁ……


僕はそう思いながらどうにかしてみぃを抱えると、みぃの部屋のベッドまで運んで寝かせた。

その時に、みぃの寝顔を何枚か撮ったのは秘密だよ?


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