膝枕の魅力




「神様、ボクのわがまま、聞いてくれないの?」

「たしかに僕は、みぃが望むならたいていのことはするよ。でもね、みぃを傷つけることはできないんだ!」

「これくらい、ボクは平気だよ!」

「嘘だ!」

「嘘じゃない!」


リビングのソファーに横並びに座り、お互いに一歩も譲らない戦いを繰り広げるみぃと僕。

みぃがそれを求めてくる気持ちはよくわかる。僕だって同じだ。

だけど、それはきっとみぃの負担になってしまう。


「神様!ボクだってそれぐらい平気だよ!だって……」


ずいっと僕に顔を近づけながらそういうみぃは、身長差的に僕を見上げる形になりながら主張する。


「神様を膝枕するだけだもん!」

「人の頭って重いんだよ!?みぃの脚にそんな負担かけられない!」

「神様だってボクに膝枕してくれたじゃん!ボクだって神様にしたいよ!」


その気持ちはたしかにわかる。好きな人に膝枕をしたくなるのは当然のことだろう。

だけど、いくらみぃの頼みとはいえ負担になることをするわけには……


「ダメだよ!」

「もう!神様のわからずや!!」


みぃはそう言うと、僕の方に乗り出していた体を元に戻すのと同時に、僕の頭を両手で引っ張る。

急なことに僕はどうしようもなく、ただされるがままにみぃの方に倒れこんだ。

それをみぃは上手いことコントロールして、僕の頭を強制的に自分の太腿に乗せる。


「み、みぃ!?」

「神様が、させてくれないんだもん……」


みぃはそう言いながら僕の頭を撫でつつ、開いた方の手で僕の首元を触っている。


「みぃ、やめて!」

「やだ。」

「みぃ!」

「やだもん……」


頬を膨らませてかわいらしくそう言うみぃ。

正直、そんな言い方されたら断るなんて真似できない。

かといって、ここで折れるのも……


「……わかった。ツラかったらちゃんと言ってね?」

「うん!」


こうなってしまった以上は仕方なく、僕はみぃに膝枕されることにする。

それにしても、みぃの太腿柔らかいな……

って、僕は何を考えているんだろう。


僕がそんなことを考えている間も、みぃは僕の頭を撫でたり肌を触ってきたりした。

心底嬉しそうにそんなことをするみぃに、僕はいろいろなことを考えるのがバカバカしくなって、大人しくされるがままになることにした。


……膝枕って、される方はこんなに恥ずかしいもんなんだね。

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