おやすみ
「あー、もうこんな時間か……」
諸々の家事を終えて自室でパソコンを触っていた僕は、ふと見た時計が日付が変わった時間を示すのを見て、思わずそんな声を漏らす。
時間だし、もうそろそろ寝ようかな……
明日は土曜日だから、少し遅くまで起きていても問題ないけれど。
「か、神様……」
パソコンをシャットダウンさせて、部屋の照明を消そうとリモコンに触った瞬間、部屋のドアが開けられて、枕を抱えて俯いているみぃが入ってきた。
あれ?みぃはもう寝たと思ったんだけど……
「どうしたの?何かあった?」
「うん……」
みぃはそう言うと、枕で自分の口元を隠しながら僕のベッドにポスンと腰掛けた。
「……一緒に、寝ちゃダメ?」
……ちょっと、その言い方は反則じゃないかな?
そんなかわいい姿見せられて……いいよって言わないわけないじゃないか。
それに、みぃがこういうふうに来るのは初めてじゃないしね。
あ、でも付き合い始めてからは初めてか。
「悪い夢でも見たの?」
「……うん」
「そっか。じゃあ、一緒に寝ようか」
昔から……とはいっても、一緒に住み始めてからだけど……みぃは、悪い夢を見て一人で寝れなくなることが多々あった。
家族を失ったことがトラウマのようになっているのかもしれない。
「じゃあ、照明消すね」
みぃがかわいく頷いたのを確認してから、僕は照明を常夜灯に変え、みぃが先に入っているベッドに入る。
シングルベッドに二人で入ると必然的にその距離は近くなり、みぃの顔を間近で見ることになった。
「……今日は、神様が、他の女の子に取られちゃう夢だったの」
布団に入ってしばらくしてから、ポツリとそう言ったみぃの体は震えていて、僕はぎゅっと抱きしめた。
「それで、ボク、ボク……」
「怖くなった?大丈夫、僕は他の人のところには行かないよ」
「うん……わかってる。わかってる……けど……」
怖がるように震えるみぃに、僕は何も言えない。
ただ、その代わりにぎゅっと強く抱きしめる。
「……ありがと」
みぃは小さくそう呟くと、ゆっくりと目を閉じる。しばらくそのまま抱きしめていると、「すーすー」と規則的な寝息が聞こえてきた。
ちゃんと寝たのを確認してから、僕も目を閉じて寝ることにする。
「おやすみ、みぃ」
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