クリスマス!!



12月24日。

みぃという恋人ができてから初めてのクリスマスイブではあるものの、特になにか特別なことをする予定もない。

僕もみぃも出歩くの苦手だしね。

だから、今はこの前出したばっかりのコタツでぬくぬくしてる。


「……このみかん美味しいから、神様も。はい、あーん」

「うん、ありがとう」


そう言って、自分で剥いたみかんを一房僕に差し出してくるみぃ。

うん、控えめに言ってかわいいね。


「あ、確かにすごく美味しい。他のみかんもこれくらい甘いのかな?」

「わかんない……これ1個目だから」

「じゃあ、僕も一つ食べようかな」


コタツの上にいくつか積んであるみかんのうち、一つを手に取るとぺりぺりと皮を剥いていく。

剥き終わったところで、パクッと一房食べてみる。ちなみに、面倒くさいので白いところはそのまま。


「……すっぱい」

「あ、じゃあボクのが特別甘かったんだ……」

「みぃのはあたりだったんだね」

「そうみたい。それ、一房ちょうだい」

「いいよー。あーん」


僕が差し出したみかんを、パクッと食べるみぃ。


「……すっぱい。おかしいくらいすっぱい……」


そう言ってコタツの上に置いていたオレンジジュースを飲むみぃ。

たしかに、このみかんはちょっとおかしいくらいすっぱいやつだった。

僕の運がないせいかな……


『みなさん、こんにちは〜!今日は、クリスマスイブということで、クリスマス特集をお送りします!』


付けっ放しのテレビに映っている、名前がわかりそうでわからないタレントがそう言った瞬間、みぃがオレンジジュースを持ったままぴたっと固まった。


「……あ、今日クリスマスイブか」

「え?みぃ、忘れてたの?」


僕の質問にみぃはこくりと頷き、自分で剥いた甘い方のみかんを一房食べる。

まさか、クリスマスイブを忘れていたとは……

まぁ、みぃならそんなもんか。


「そういえば、ツリーは、持ってきてない?」

「うん。こっちに引っ越すときに、大荷物だから置いてきたよ。今頃は、お母さんが出してるんじゃないかな」


まぁ、みぃと僕が二人暮らしを始めたから今あっちの家にはお母さんとお父さんしかいないし、出してない可能性も高そうだけど。


「やっぱりそうだよね。あれ、大きいもん」

「うん。なんか無駄に大きかったね。あ、もしかしてツリー欲しかった?」

「ううん」


僕に返事をしたみぃはみかんの最後の一房を食べると、座ったまま軽く僕に抱きついてくる。


「神様がいればいいや」

「僕も、みぃがいればいいや。あ、あとでプレゼント渡すね」

「……ボク、何も用意してない」

「んー、僕にはなくていいよ。去年も貰ったしさ」

「でも……どうせなら、何かあげたい。寒いけど、買いにいく」


みぃはそういうと、僕からパッと離れてこたつから出る。


「あ、じゃあ僕もいくよ」

「クリスマスデート?」

「せっかく恋人になったんだから、やってみようよ。」

「うん!じゃあ、少し準備してくるね!」


嬉しそうにそう言ってみぃが自室に入るのを見送ったあと、僕も自分の部屋に入ってコートとか財布とかを準備する。


もうプレゼントは準備してあるけど、もし何かいいのがあったら、それも追加で買おうかな。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る