最終話
橋の下の水は沈みかけた夕日の色に染まっていた。
一瞬だけ飛び降りようかとも思ったけれど、飛び降りたら神様に迷惑がかかりそうだったから、やめた。
やっぱり、頼りすぎちゃったかな……
そりゃあ、うざいよね。何もできないし頼れる人もいない幼馴染なんて。
そりゃあ、疲れるよね……
涙は涸れることなく、ボクの目から溢れ出る。
もう、どうなってもいいかな。
ひとりぼっちになっちゃったな。
もっと早く、いろいろなことに挑戦してみたらよかったのかな?
手伝わなくていいって神様に言われても、手伝ったらよかったのかな?
疑問と後悔が、雫が落ちるたびに浮かんでくる。
「ひとりは、嫌だなぁ……」
痛むこの心を捨ててしまいたい。
もう何も残っていない心なんか捨ててしまいたい。
生きるのも、嫌だなぁ……
「みぃ!!」
焦ったような声。
反射的にそちらを見てしまう。
「っ!」
その姿を見るのも、辛いんだ。
「待って!みぃ!!」
その声を聞いて、足が動かなくなった。
でも、後ろを振り向く勇気もない。
「みぃ、一つだけ、一つだけでいいから、聞かせて欲しいんだ」
痛む心を抑えながら、小さく頷く。
何を聞かれるんだろう。
「みぃは、僕のこと、どう思ってる?依存の対象?それとも、恋愛対象?」
「そんなの……そんなの、わかるわけ、ないっ!!
ボクはただ、神様の一番近くに、いたいんだよ!
支え合っていきたいし、キスもしたいし、エッチなことだって、神様とならしたい!
依存とか、そういうのじゃないんだ!ただ、好きって言葉じゃ、表せないんだ!」
口から言葉が溢れていく。
洪水みたいに、ボクが秘密にしてた想いが溢れる。
「わかってよ、神様!こんな強い想いを、恋愛とか、依存とか、そんなものに、表せるわけ、ない!
表せるわけ、ないんだよ!!」
その瞬間、風が吹いた。
後ろから抱きしめられて、動けなくなる。
「みぃ、僕は、みぃのことが、好きだ。何回も、告白しようと思った。
でも、できなかった。
みぃが、僕に依存してるだけだと思っていたから。みぃに告白しても、僕が離れるのが怖いからって拒否できなくて、みぃの感情とは関係なく付き合うことになっちゃいそうだったから」
「じゃあ、どうして、『いつか結婚するだろうから』とか、『ずっと一緒にいれるわけじゃない』とか言ったの?」
「よくわからないかもしれないけど、心がぐちゃぐちゃになっちゃったんだ。
幼馴染のままだったら、いつかみぃが僕のところを離れてっちゃうんじゃないかなって不安が襲ってきて。どうせ離れるなら、早い方がみぃのためだって、思ったから」
神様の、バカ。
神様だって、悲しそうにしてたくせに。
さっき、ボクを一人にさせたし。
約束を破るなんて、ほんとにバカ。
でも、心が暖かい。
「 神様、ずっと、ボクだけのものでいてくれる?
他の人に取られたりしない?
何処かへ行っちゃわない?
ボクは、面倒臭くて、重くて、可愛くないよ?」
「いや。僕の方が面倒臭いし、重いよ。それに、みぃは、世界一可愛い。
ねえ、みぃ。僕の幼馴染じゃなくて、恋人になってくれますか?」
「そんなの、当たり前だよ」
ボクがそう言うと、ボクに抱きついた腕の力が緩む。
そして、両肩を掴まれる。
くるりとその場で半回転させられたボクの目の前には、ボクの大好きな人がいる。
次の瞬間、ボクは抑えられなくなって、神様の首に腕を巻きつけると、背伸びをしてキスをする。
よくわからないけど、何かで見たように舌を入れて、熱いキス。
とっても、幸せ。
「ねえ、
「神様でも、恋人でも、夫婦でも、みぃが望むんなら」
END
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます