第23話 カミク集落の別荘

王宮を訪ねた2日後、退院した少女と少女の姉を乗せ、カミクの集落に自分の車で戻ることになった。

少女の名前はフウ、姉はユウという。

二人にはこの後、別荘の管理を開いてもらうことになっている。

そういうことで二人の自宅は別荘の隣に移築しておいた。


今日からは内装も家具も揃ったこの別荘で過ごすことにしてある。

8LLDDKと書斎と工作室と会議室と倉庫とガレージがある。

リビングとダイニングは大小を作った。

もちろん風呂トイレはある。

風呂は大浴場が2つ。

寝室はバストイレ付きだ。

さらに外側に医療施設と図書室が付随している。

治癒魔法を補助する機器や簡単な治癒魔法を施す機器も設置されている。

これだけの設備があれば集落の治癒魔法が使える女性もかなり助かるはずだ。

彼女にここの管理を任せた。

図書室も集落の人なら自由に無料で本を借りられるようにした。

本は徐々に増やしていきたい。

図書室の管理もフウとユウに任せることにしてある。


怪我人が運び込まれていた集落の集会場も補修しておいてもらった。

今日の夕食は集会場で集落の人たちと宴会を行うことにした。

食材はミナミコウフやコウフで購入してきたものと近くで採れた山の幸だ。

ワインやジュースも少し多めに購入してきたから足りなくなることはないだろう。

話題はこれからの集落の事についてが多くなる。

産業をどうするか、ハイウェイバスをどう活用するかということが気になるようだ。

ハイウェイバスに関しては私が『賢者システム』本部に行って詳細を詰めなければ駄目なようだ。

まだ許可は下りていない。

緊急車両も同様だ、

早めに運行を開始したかったが残念だ。

将来的にちょっとしたリゾート地にでもできたらよいのだが。

隠れ家的な・・・・。

そうすると温泉でも欲しいところだがどうだろう。


翌日の朝、温泉探索を行えるオートマタが機材を持って到着した。

夜のうちに依頼しておいた。

午前中をかけて周辺の温泉を探索してもらった。

その結果、集落の敷地内には温泉を掘ると1500mぐらい掘らなくては駄目なようだ。

副結界外には800m離れた地点に適地があったが態々新たな結界を張りたくない。

集落から1200m南に行った副結界内に温泉の出る可能性のある場所を発見した。

直ちに『賢者システム』の本部に副結界内での温泉試掘の許可を申請した。

30分で許可が下り午後から温泉の試掘が始まった。

試掘を始めて2時間後には湯量の豊富な温泉を掘り当てた。

大当たりだ。

アルカリ泉だな。

別荘に温泉を引くとともに集落に公衆浴場を作るために建築キットの購入を行う。

建築キットと組み立て要員のオートマタは明日来ることになった。

しかし、公衆浴場の建築キットもあるのには驚いた。

6種類もあった。

今回は簡単なものだ。

風呂は男女で分けてはある。

温泉旅館の建築キットも10種類ある。

源泉付近に温泉旅館を作りたいがそれはハイウェイバスの運行が始まってからになる。

その日の夜は集落の人たちより一足早く、温泉を満喫した。

癒される。

別荘は大浴場にだけ温泉が使用できるようにした。


次の日、公衆浴場キットとオートマタの作業員が到着した。

朝から集会場横に公衆浴場を建設していく。

前日の内に集落全員の了承を取ってある。

温泉探索のオートマタの作業員は配管を担当している。

それによって順調に作業が進み、夕方には公衆浴場が使えるようになった。

集落に住民が順番に使っていく。

ここの管理と運営は集落の代表に任せた。

一人一回10円の入浴料を取って必要経費に充てるらしい。

これも様子見のようだ。

様々な当番も決めたという。

公衆浴場開業の翌日はゆっくりした。

そう言えばこの集落には学校がない集落の代表が子供たちに読み書き算数を教えている様だが何か良い方法はないだろうか。

この日ミオさんはモトスパーキングエリアとアサギリサービスエリアの監査業務に出かけた。


別荘には4泊してしまった。

『賢者システム』本部からもいつ到着するのかという問い合わせが来ている。

事情は話してあるのだがそろそろ出発するか。

そろそろ行かないとここに根が張ってしまいそうだ。

朝、集落の人たちに見送られ南に向かって出発する。

今日はシンフジのジャンクションを利用して東に向かいアシガラサービスエリアまで行く予定だ。


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