第7話 旅立ちの準備(4)
「結界維持設備?」
「はい。タカシさんの世界でも地球の生き物が地磁気や大気に守られていることは御存じだた思います。こちらの地球ではそれが破壊されてしまったのです」
「強力な宇宙嵐によってということですか?」
「はい。賢者様は宇宙嵐を予測してこのハイウェイ網を作りました。そして世界中の人々に理解を求めましたが受け入れてもらえませんでした。結果として多くの人たちが亡くなりました」
「結界というのは『賢者のハイウェイ』守るための結界ですよね」
「はい、同時に地球表面全体を守る結界も『賢者のハイウェイ』に造られた結界維持装置によって構築されています。その装置に必要なのがこの結界維持設備です。ハイウェイ内ほどではないにしろこの結界があったからこそ魔法使いが宇宙嵐から生き残ることができました」
「この結界がなくなったら?」
「大気はなくなり、多くの宇宙からの飛来物でこの世界の地球の生物は絶滅します」
「つまりこの世界の地球は『賢者のハイウェイ』の作る結界によって保護されているわけですね」
「はい、この結界を作るには結界を得意とする魔法使いが100万人も必要でしょう。長時間に維持は無理です。『賢者のハイウェイ』が地球全体を覆う結界も作り維持していることによってこの世界の地球の生物が生きられます」
「『賢者のハイウェイ』のない海は?」
「はい結界が弱いために過酷な環境になっています。水中は少しは穏やかな環境ですが海上は場所によっては大変な環境です。ですから小さな島にも『賢者のハイウェイ』とサービスエリアがあるところがあります。人口の多い所には『賢者のハイウェイ』の密度も高くそのお陰で結界が強くより安全な環境になっています。この『賢者のハイウェイ』の結界のメンテナンスには権限が必要です。上位の管理者権限は人間しか持つことができないようになっています。ですからオートマタである私たちには修理してもよい内容が決まっていたわけなのです」
「そのような大事な部分を私が修理できるのでしょうか」
「大丈夫です。私たちが修理やメンテナンスをすることができます。管理者が一緒ならば、私たちの権限を超す修理やメンテナンスを行ってよいことになっています」
「わかりました。ところで日本は今も島国なのですよね。海は海底トンネルか橋で越えるのですか?」
「はい、そういうところもありますが転移門というものも使います」
「て、転移門ですか。それはこの世界では一般的なものなのですか」
「いいえ、賢者様しか作れず保有しているのも賢者様だけでした。現在『賢者システム』が予備の転移門は預かっています。作る機械も預かっていますが動かせるのは賢者様から管理者を引き継いだタカシさんだけです」
「いろいろわかってきました。この事を知っているの?」
「詳しく知っているのは人間では『賢者システム』の本部で働く幹部と世界連邦の僅かな人たちだけです」
「今から作業をした方がよいのでしょうか?」
「お願いできますか。その方がよりシステムについて理解できると思います」
結界維持設備の中は多くの画面があるオペレーションルームという感じだった。
さらに下には機械室のような設備もあるという。
3体・・・いや、この姿を見たら3人と呼んだ方がいいな。
3人のオートマタが操作している。
ハイウエイの状況と結界の状況が大画面で表示されている。
商店で何がどのくらい売れ、どのように供給するかも工場とやり取りをしているようだ。
輸送状況も把握しているようだ。
それ以外の各部門の業務状況も把握できる。
オートマタも1日8時間勤務で交代するらしい。
この世界では1週は6日、ひと月が5週の30日。
年12か月で360日。
オートマタも年240日勤務だった。
すごくホワイトだな。
私は管理者席に座る。
横にはミオさんが座りサポートしてくれる。
管理者権限で作業をしていく、以前管理したことのあるサーバよりわかりやすいメンテナンス作業だ。
不具合を見つけ、ここでは部品の交換で対処できた。
この結界は内部ゾーンとハイウェイ本体と工場を守る強力な主結界、外部ゾーンとハイウェイから500mの賢者のシステムが所有する土地までを守る副結界。
そしてそれ以外の地域を守るグローバル結界があることを知ることができた。
この世界の生物には私のいた世界の生物に加えて魔力を体内に蓄えた魔物がいる。
魔物は普通の生物が変化したもので強い。
それらが襲ってくることもあるが副結界は越えられないらしい。
人や普通の生物は副結界を越えられるらしい。
主結界は人や普通の生物も越えられない。
認証が必要になる。
町や集落には副結界の効果をもたらす魔道具が設置されている。
集落にない一軒家は独自に副結界の効果をもたらす魔道具が必要になる。
また主な街道にも副結界は施されているが管理の問題で壊れたままのところもあり旅人が襲われることもあるらしい。
最初で手間取ることもあったが1時間で作業を終了することができた。
ちょうど昼食時間になり食堂に移動した。
昼食は必要経費用のシステムカードを利用した。
ラーメンと餃子にしたよ。
ここの餃子はなかなか美味しいな。
午後はこの世界のことについてもう少し教えてもらおう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます