第25話 イズ王国
ヌマヅサービスエリアで1泊した翌日、港に行き海の結界の様子を調べた。
悪い事に故障は拡大して侵入制限海域が拡大している。
そうこうするうちに私に客が来たと連絡があった。
イズ王国からだろうな。
港湾施設の応接室を使って客に会うことにした。
客はイズ王国ニラヤ国王補佐官だった。
港湾施設の所長も知っている人物だという。
港湾施設の所長とナツさんとユミさんとミオさんが同席した。
ハルさんには故障の状況変化を見ていてもらう。
「タカシ様、この度はお会いいただきありがとうございます。また昨日が我が国が行った無礼、申し訳ありませんでした。私が国にいればよかったのですが、昨日は所用でシミズにおりましてこのような事が起きてると知ったのは夕方でした。王都イズに戻り状況を確認したところ、最近他国から任官したシモダの代官が国王に自分と自分の部下の技術者なら修理することができると根拠のない事を言って自分たちで故障の修理を行ったようです。残念なことに国王もその言葉を簡単に信じてしまいました。無理な修理に失敗して作業員にも18名の重軽症者を出しました。もうご存知だと思いますが故障の範囲も拡大しています。私がかかわっていなかったとはいえ本当に申し訳ありませんでした。どうかお助けください。修理をお願いします」
「そういうことですか。代官が私たちがあちらに行った後に邪魔をするようなことはありませんよね」
「はい、代官とその部下は捕らえられて王都に送られています。今朝、代わりに第2王女がシモダに向かいました」
「わかりました。第2王女が私たちに無理を言うことはありそうですか」
「その点は大丈夫です。ユミ様もご存知ですよね」
「そうね彼女なら大丈夫よ」
「ユミさんがそういうなら信用しましょう。では私たちもシモダに向かいましょう」
急いでヌマヅサービスエリアに戻りで準備をする。
『賢者システム』本部にも状況を連絡した。
この世界のイズジュウカンハイウェイはアマギ峠を越えシモダまで繋がっている。
元の世界の伊豆縦貫道は修善寺ぐらいまでしか開通していなかったけど、こちらのハイウェイはシモダまで行けるようだ。
距離は約70km、制限速度が時速60kmだが場所によっては時速40km制限もある。
それでも1時間半もかからず着く予定だ。
今回は急ぐので途中のパーキングエリアとサービスエリアには寄らずに行く。
10時、ヌマヅサービスエリアを出発、11時20分にシモダインタチェンジにあるサービスエリアに無事到着した。
ここは海に隣接した高台にあるサービスエリアだ。
高台の海側は崖になっていてその下には港がある。
しかし港には周囲からは道が来ていない。
いや、崖にあるトンネルが道か。
崖に接するように建物が数棟ある。
崖の中にも施設があるな。
そして港にあったのが潜水艇を搭載した調査船のような船が2隻と、
「潜水艦?」
2隻の潜水艦だった。
「そうです、現場作業用の潜水艦です。ようこそシモダサービスエリアへ。ここの内部ゾーンの長をしていますイズミと申します。外部ゾーンでイズ王国のイスズ王女がタカシ様をお待ちです」
「申すわけありませんが先に結界維持設備で状況確認を行いたいのですが」
「わかりました。確かに状況の説明が必要になるかもしれませんものね。王女にはお待ちいただくようにします」
「では私は結界維持施設へ行きます」
結界維持施設は今までどの施設よりも広かった。
陸上エリア担当と海上エリア担当にも分かれており、海上エリア担当のスペースは広く表示モニターも多く存在した。
陸上エリアは後回しにして海上エリアの故障の詳細を確認する。
初めに故障した箇所と無理な修理をしようとしてさらに壊してしまった2か所の状況を調査する。
その故障の影響で生じた結界維持設備内の不具合も順次修正、修理していく。
航路の結界に問題が出たために海の魔物が侵入してきたエリアも確認した。
不具合が生じている以外のエリアに魔物が侵入しないようにした処置は有効なようだ。
これでこちらはいいか。
後は現場での作業とこの結界維持設備での最終起動確認だけだ。
3か所も工事個所があるのが大変だが。
作業は潜水艦2隻と海上支援船2隻で行うということだ。
設置認証のために私も潜水艦で現地に行くことになった。
潜水艦は深度3000mまで潜水でき、搭載している作業用無人潜水艇は深度8000mまで潜って作業できるという。
支援船にも13000mまで潜水できる作業用無人潜水艇が搭載されている。
因みにこの世界の海洋の最深部は13000mだということだ。
少し時間がかかってしまった。
作業をしながらハンバーガを食べたけどまだ空腹だな。
ナツさんたちには食堂で日替わり定食の食券を渡したけどメニューは何だったんだろうと考えながらここでの作業を終了した。
さてこの後はイズ王国ミスズ王女との面会だな。
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