第26話 ミスズ王女
外部にも応接室のような場所があった。
そこでイズ王国のミスズ第2王女と面会することになった。
「遅くなって申し訳ありません」
「王女様をいつまで待たせるのだ。何をしていたのだ。この下賤め。何が賢者の後継者だ。賢者はおかしいのじゃないか」
王女の従者が偉そうに叫んだ。
これは不味いよ。
「そうですか。我々は手伝うことはないようですね。タカシさん、戻りましょう。本部のシステムをタカシさんの権限で変更すればいい事です。イズ半島の賢者のハイウェイはも撤退。イズ半島周辺海域は放置。住民の避難のために陸上部分に48時間の猶予を与えましょう。ヌマヅからの航路はシミズに、オダワラからの航路はショウナンに移管すればいいのです。タカシ様そうしましょう」
ミオさんが切れた。
ミオさんたちオートマタは賢者批判に対して過剰に反応する。
これは不味いよ。
賢者批判をした従者らしき男はミオさんの剣幕に固まっている。
すぐに謝罪をすればまだいいのに。
「申し訳ありません」
その時初めてミスズ王女が発言した。
「タカシ様、ミオ様、申し訳ありません。この者は前代官の下にいた者で貴族ではありません。今のこの者の発言からその考えがイズ王国の考えと相容れないものだともわかりました。この者を解任、高位の貴族であられるタカシ様に対する言動と賢者様批判に対する罪で逮捕し、拘留します。連行してください」
抵抗する男が王女の近衛衛士によって連行されていった。
「あの男の話では自分は代官の行動を止めていたのだと言っていたので前代官時代からの仕事を引き継がせたのですが、すでにいろいろ問題がありました。そして止めが今の発言です。代官と同じ穴の狢でした。タカシ様、皆様本当に申し訳ありません」
「ミオさん」
「はい、謝罪を受け入れました。賢者様とタカシさんを愚弄しないように気を付けてください」
「はい、これからはタカシ様に尽くさせてもらいます」
何か発言がおかしい感じがするのだが。
「タカシ様たちがここについてすぐには私たちには会わないであろうことは予想しておりました。議論の材料がなしに面会に応じる方とは思えません。女王様の言う通りですね。あの者はそれさえ予測できないのですね。貴族や王族の威光を借りて威張り散らすしか能のないものですね」
「女王様って」
「カイ王国のシオリ女王です。私の従妹にあたります」
「そうなのですか」
「我が国もタカシ様に1級名誉爵を差し上げる用意ができています。このトラブルが終わりましたら王都イズで叙爵の式典と祝宴ですわ。楽しみですわね」
「まるで粗品贈呈とい感じで爵位を授与してよろしいのでしょうか」
「はい、この間のお詫びも兼ねて。国王も合意しています。粗品は王女を1・2名というのもいいんじゃないかと言っておきました」
「何ですかそれ!」
カイ王国シオリ女王の従妹だというのもわかる感じがする。
このノリは共通している。
馬鹿なやり取りをするなとナツさんの目線が怖いので本題に入ることにした。
結界維持設備で得た情報のうち開示できる内容を伝えた。
そして
「これから修理に向かうのですね」
「はい、そうなります」
「私も連れて行っていただけないでしょうか」
「ミオさん、どうでしょう」
「タカシさんの同行者はナツ様とユミ様とハルを考えていました。私は結界維持設備で監視をする必要があります。ミスズ様はどのような魔法が使えますか」
「風と水と氷です。特に水は得意です」
「それなら同行をお願いしましょう。水の中という条件ですので水魔法が使えることに意味があります。ただイズ王国からはミスズ王女様だけでということになりますが大丈夫ですか?」
「はい、問題ありません」
後方に控える側近も頷いている。
「それではその方向で」
「わかった。ではお願いします」
「ありがとうございます。邪魔にならず、必要な時にはお役に立つよう頑張ります。それからタカシ様は私のことも”様”付けでなく”さん”付けにしてください」
ミスズさんの同行が決定した。
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