第22話 カイ王国
魔力車は街道を北上している。
向かうはカイ王国王都コウフ。
サカイガワ子爵とともに向かっている。
同行者はナツさんとユミさんとミオさん。
ハルさんには医療施設にいる少女とその姉の様子を見てもらっている。
カイ王国は南はシミズ自由都市国家、西にはミノ王国、東には北はブシュウ王国で南は日本連邦直轄地トウキョウ、南東にはヨコハマ王国と接している。
北には海がある。
日本連邦内ではかなり広い面積を有する国だ。
コウフはカイ王国の南東に位置している。
カイ王国全体で人口は80万人。
そのうち王都コウフには10万人が暮らしている。
魔力車は30分ほどで王都コウフを取り囲む外壁に到着した。
貴族門と呼ばれる門を通って外壁内に入る。
貴族門から王城まではまっすぐで広い道が続いている。
並木がありきれいに整備してある。
「きれいな道ですね」
「ええ、王都の顔ですから。しかし戦争になったらこの道に設定してある様々な罠が発動するようになっています」
「はあ」
「今は大丈夫ですよ」
「あ、はい」
城門を抜け、車寄せに着く。
城といっても高い城壁に囲まれた5階建てのオフィスビルという感じだったが。
「建物は上から見ると一辺が100mほどの五角形をしています。そして中にまた上から見て五角形の建物、そしてその中に王宮と議会があります」
まるで小さなペンタゴンだった。
いつ目の建物の中は迷路とは言わないがまっすぐは抜けられないようになっていた。
そして中の建物へ。
ここも同様だ。
防衛のためか。
そして王宮へ。
5階建てのお屋敷だ。
私たちは4階の会議室に通された。
そしてそこにはこの国の首脳が待っていた。
この国のトップであるシオリ女王が。
「よくいらしゃいました。『賢者システム』代表のタカシ様。あ、失礼。サカイガワ子爵の御友人のタカシ様でしたね。この国で女王を務めますシオリと申します。まだ未婚で婚約者もおりません」
この女王様わざと間違えたな。
そして何をアピールしているんだ。
「はじめまして。サカイガワ子爵の友人の『タダ』のタカシです」
「そして、『ミノのユリ』ナツ様。お久しぶりですは」
「ええ、『カイのバラ』シオリ様。お元気で」
「しかしナツ様がタカシ様の婚約者なんて驚きましたわ。貴方が絶滅種に興味があるなんて。学生時代のあなたとはだいぶ変わったのかしら」
「学生時代?」
「ええ、私たちは同じ年で飛び級も一緒、卒業も一緒なので。トウキョウの学校での学友ですわ。そしてユミさんは後輩です。そう言えばユミさんは?」
「私はここにいます。シオリ様」
「あ、ごめんなさい。小さくて見えなかったわ。お久しぶりですわ、ユミ様」
「ええ、その弄り方もお久しぶりですわ」
「それでは昔みたいにスキンシップをしなくては」
「いや、ゼェータイ嫌だから。私にはタカシさんがいるんだから」
「あら恥ずかしがらなくても、昔みたいに楽しくやりましょう。タカシ様にかわいがってもらっているからダメなの?」
「あの、女王陛下。本題に戻していただけないでしょうか」
「あ、ごめんなさい、サカイガワ子爵。変なスイッチが入っちゃたみたい」
そんなスイッチ持たないで欲しい。
可哀そうにユミさんが赤くなって涙目だよ。
「改めてタカシ様。この度はカミクでの一件ありがとうございました。心からお礼申し上げます」
「いいえ、やるべきことがあったからやっただけです。そして偶然も重なったわけです」
「素晴らしいですわ。私も女王をやめてタカシ様のお嫁さんになりたいわ」
「「シオリ様!!」」
「あら、ナツ様、ユミ様、怖い顔ですわね。それではお礼は私に熨斗をつけて差し上げるというのは今回は諦めるしかないかしらね。それでは代わりに1級名誉爵を差し上げるというのはいかがでしょうか」
「1級名誉爵ですか?」
「国民でないの方に与える名誉貴族の称号よ。給金は出ないし領地はないけどカイ王国の貴族と同じように扱われるわ。1級は公爵並み。王宮やカイ王国内のどこにでも行けるわ。公爵並みの権限もあるわよ。ハイウェイバスや緊急車両も問題なく始められるけどいかがでしょうか」
「嬉しいお言葉ですがこんな高い爵位をいただいてよろしいのでしょうか」
「大丈夫ですわ。今回の解決そしてカミクなどをこれから発展させてくれる事を期待してですから。できたら他の孤立集落についてもご相談に乗っていただければ嬉しいのですがいかがでしょう」
「はい、わかりました。でも私が名誉爵位をもらって『賢者システム』の方はよいのでしょうか。ねえ、ミオさん」
「タカシさん大丈夫です。世界連邦の代表や『賢者システム』の代表には爵位制度のある各国からは4ないしは5級の名誉爵が贈られます。他の自由都市国家などからは3級名誉国民の称号が贈られます。タカシさんのように功績があればより高い級になります」
「そうですか。では謹んで名誉爵位をいただきます」
「ありがとうございます。ではこれはご迷惑を掛けたお詫びとおまけということで」
「「あああー!!」」
いきなりシオリ女王に唇を奪われた。
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