作品URL：https://kakuyomu.jp/works/1177354054885445071

※あくまで私個人の感じた批評でございます。個人的な見解がありますので、参考程度に捉えていただければ、幸いです。

「異世界開拓日和です！　～転移して突然女神に異世界を託されたのですが？～」（作：姫古都さん以下、作者さん）　全エピソード読了

　就職活動中の主人公が、単なる比喩で言った「死んだ」という言葉にとって半ば強引に異世界へと転生させられて、かなりダメな感じの女神の代わりに異世界を作る、というストーリー。まだストーリーは序盤の序盤なので、ストーリーに関しての指摘は殆どできない状態ですね。主人公が異世界を作る側、というメタ的な立ち位置にいるのは新しいと個人的には思いましたし、女神の代理ということで便利なアイテムによって面倒な工程を省き文章を軽く出来ています。

　しかしながら、主人公、そして軽くしている文章と、設定に関して少し問題点があったように思えます。

　以下、項目に分けて批評させていただきます

（1）一人称視点と三人称視点について

　一人称視点の文章が続く中で、唐突に三人称視点による文章がゴチャゴチャになっている部分があります。三人称視点でも、主人公の心理描写を描く事は可能ではありますが、それにしても、一人称視点での文章が多いため読みづらかったです。頭の切り替えが難しく、果たして誰が主人公の状況を説明しているのか、とよく分からなかったのが原因ですね。一人称視点であるならば、特別な場面の切り替え以外は一人称視点に統一した方が良いかと思います。

（2）情景描写などの少なさについて

　ストーリーのテンポを意識してか、極端に情景描写が少ないです。読みやすさ重視と評価するにはあまりにも少ない、と個人的には感じました。描かれているのは主人公の感情や考えが殆どで（女神視点もありますが、現時点では殆どが主人公）、さらに他のキャラクターに数値などが出ているのも手伝ってか、小説という媒体ではなく、プロットに近い印象を受けました。web小説ならではの自由な形式ではありますが《小説を読む》という読者の期待に応えるのは難しい可能性があります。

　文章は良くも悪くも読者を選んでしまいます。文章を綿密且つ重厚に書けば、ライトな読者から敬遠されてしまい、軽快な文章であればその逆があります。どちらが良く、どちらが悪い、というわけではありませんが、極端に少なく書いてしまえば《読者に頼った》文章となってしまいます。《作者側の考えや思い描く世界観など》を伝える文章を省いているのですから、残った文章で読者の認識が《作者側と同じである》という状況になってしまうのは自然の事です。そのため《作者側と読者側の認識は違うけれど、作者側の認識を伝えて共有していく》という考えの元、文章に情報を記載していくのです。特に、異世界という現実とは違うものを描くため、読者に伝えなければいけない文章は一定程度必要となってきます。もしも、その文章さえも省略してしまった場合、極論（作者さんと認識が近い読者）のみに限られてしまう可能性がありえます。

　まだ物語は序盤かと思いますので、今後の展開に情報をある程度、盛り込んでいくべきかと思います。

（3）異世界転生の理由

　自分の世界観を持っているから、という理由で主人公が選ばれるのは、やや強引な設定かもしれません。むしろ18歳の主人公の友達らが（同級生かは明言されていませんが）就職先を見つけている辺り、友達らの方が自分の世界観を持っているのでは？　と思ってしまいました。今後、その世界観がどのように影響するのか気になりますが、序盤の現状ではやや気になってしまいました。

　総評

　まだ物語が序盤のために、ストーリーに関しての指摘は殆ど出来ない状態だと思います。しかし、女の子キャラクター性は可愛らしく個性的で好印象でした。主人公が異世界を作る側である、という設定も個人的には面白そうだと感じました。異世界を作る、ということで、かなり物語の展開を自由に動かせる利点があると思いますし、作者さんの力を大いに振るえる作品設定だと思います。

　ですが、文章の面について、読者を大きく選んでしまう、という面もあるように感じました。web小説ならではのスタイルではありますし、読む側に負担の無い形式でもあります。そのため、逆に必要な情報を必要最低限のレベルで載せなければ読者が混乱してしまうリスクもあります。読者が混乱しないような適度で軽い文章を保っていければと思いました。

　批評URL：https://kakuyomu.jp/works/1177354054885445071/episodes/1177354054886130030