盛り付けなんてどうやっても味は変わらないでしょ?


 どうも。


 最近汗をたくさんかいたので期待して体重計に乗ったのですが、ほぼ変わっていませんでした。これからウナギだの夏野菜だの辛い料理だのを楽しまないとなのに……。



 それはさておきまして、今回は予告通り盛り付けについてです。


 はじめに断っておきますが、筆者は焼き物に関しての知識がないので「○○焼きがいいぞ!」みたいなお話はできません。むしろ百均でもいいんじゃない? って感じなので、そういう方向でこだわりたい方は今回ご期待にそぐえないかもしれません。



 では本題。


 少しイメージしてほしいのですが……例えばたくさん焼きそばを作ったとしましょうか。あなたの前には3種類のお皿が有ります。


①白色の大きな丸い平皿

②黒くて四角い中くらいの皿

③プラスチックの透明な弁当パック


 さあ、どのお皿に焼きそばを盛りつけますか? 焼きそばはたくさん有りますが、全て盛りきらなくても構いません。



 ……答えは出ましたでしょうか。では、正解発表の前に少し条件を加えてみましょう。


 例えばお客さんがたくさん集まるパーティだったら? 正解は①になるでしょう。大皿にたっぷり盛られた焼きそば。お皿が大きいと複数人で食べやすいでしょうし、パーティらしい豪勢さも出せます。


 例えばパートナーに晩御飯を振るまうとしたら? 正解は②になるでしょう。メイン料理としての焼きそば。黒いお皿で高級感が出て、簡単料理もグレードアップです。


 例えば縁日の屋台だったら? 答えは③になるでしょう。安価で軽い弁当パックは持ち運びに便利ですし、食べ終わったらそのまま捨てることもできるので、せっかくの縁日に荷物で手をふさぎません。


 つまりは何が言いたいのか。そう、『同じ料理でもシーンによって適した盛りつけ方は変わる』んです。それはつまり『盛りつけ方によって料理の印象は変わる』ともとれるわけです。高級フレンチ(高い料理の例が毎度フレンチなのは貧乏人っぽいですね)を弁当パックに入れて出したらコック帽を燃やされてしまいます。


 せっかく頑張って作った料理が盛り付け次第で残飯に見えることも……。料理はフライパンではなく皿の上で完成するんです。盛り付けもしっかりできるようになりましょう。



 と、盛り付けは料理に大きく影響を与えるということを紹介したところで、ここまでは普通の料理エッセイ。


 本気で毎度完璧な盛り付けを目指すのなら、自炊初心者に多いであろう一人暮らしのワンルームは食器棚に沈みます。いくら食器趣味があってもちょっと辛いです。そしてめんどくさい(あと文字数も足りない)。専門書が何種類も存在するくらいですからね。


 そこで今回は『それっぽく盛りつけられるポイント』3つだけを紹介します。


 これらを押さえておけばとりあえず『それっぽく』なります。あとの応用は盛り付けに慣れて、知識やセンスがついてからで構いません。お皿にこだわりたい方も技術がなければ宝の持ち腐れですから、まずは盛り付けの基礎ができるようになりましょう。



 ポイント① 機能

 これは盛り付け以前の問題かもしれません。

 平たい皿にラーメンを盛りつけるとこぼれてしまうように、料理によっては皿を選ぶ必要があります。また、先述したクイズの①と③では容器自体のメリットを参考にしました。

 食べる状況や人を考えてお皿を選ぶこと。盛り付けの美しさ以前に『思いやり』です。お弁当で煮物の汁が他のおかずに……なんてこと、嫌ですもんね。


 ポイント② 彩り

 お皿の上が鮮やかだと食欲をそそります。茶色一色も別の意味でワクワクするかもしれませんが、彩りが加わるとさらに美味しそうに見えますよ。

「私、色彩感覚には自信がなくて……」という方もご安心を。『赤・黄・緑』の三色を揃えるとキレイに見えます。野菜サラダは葉物の緑、トマトの赤、コーンの黄色。カレーはほうれん草の緑、ニンジンの赤、ジャガイモの黄色。といった具合です。

 少しステップアップした話を知りたい方は『青黄赤白黒しょうおうしゃくびゃっこく』で検索してみると良いですよ。

 しかしながら毎度毎度色を揃えるのも大変ですよね……。そこで活躍するのがお皿。赤と黄色はあるけど緑がない、といった場合はお皿を緑にするんです。茶色一色を例に出しましたから、唐揚げの盛りつけ方を考えてみましょうか。まずは緑のためにレタスを敷いて、その上に唐揚げを乗せます。隣に黄色のレモン。赤をお皿で補えば完成です。簡単ですね。まあ無理をせずとも二色でも様になるので、ひとまずはそこを目指してみるのも良いかもしれません。

 <以下少し発展的内容>

 クイズの②でも言いましたが、お皿の色でも印象が変わることがあります。各色については話し始めると長くなるので省きますが、料理とお皿が同じ色だと全体がボケてしまうので『色の薄い料理には濃い色の皿、色の濃い料理には薄い色の皿』程度に意識しましょう。

 さらには明度や彩度にも気を使ってみましょうか。大人のお食事タイムに原色のプラスチック小皿ではムードがありません。そうめんのつゆも透明なガラス容器に入れると涼しげですよね。


 ポイント③ バランス

 一口に『バランス』と言いましても様々です。

 まずはお皿の上。よく『余白』といった呼び方をしますが、料理をお皿全体に盛りつけるのではなく、周りに空間を残しつつ山を作るように盛ってみましょう。こうすると料理がお皿の上で際立ち、高級感がプラスされます。反対に余白を作らず(あるいは余白を少なくして)ドカドカと盛りつけると元気な印象になるので、これもまたシーンに合わせて使い分けてください。

 次にテーブルの上。どんぶりご飯を用意しても、おかずがほんの少しではご飯が余ります。盛り付けにかまけて適切な量を見失わないように気を付けましょう。また、前項で触れましたが同じような色の料理ばかりだと彩りが悪いです。献立を考えるときにテーブルの上で並んだ様子を想像してみましょう。

 最後に体の中。これは栄養バランスです。野菜はしっかり摂っていますか? 無理なダイエットに挑んだりしていませんか? 意識していないと結構偏ったりします。緑色ついでにサラダを添えてみたり黒色として海苔を添えてみたり、足りない栄養がないか確認してみましょう。



 はい、3つのポイントは以上です。


 やはり簡単にしたつもりでも結構難しいですね。



 そして、もひとつ問題点があります。


 それは『結局どんなお皿を買えば良いの』ということ。機能的なお話ですね。ワンルームの収納問題を言い逃げするわけにはいきません。


 ひとまず一人暮らしを目安に紹介していきますよ。



 まずあると良いのが茶碗・汁椀。ご飯と汁物の容器ですね。サイズやデザインはご自身のお好みで。汁椀は機能的に深さのある物を買いましょう。茶碗に深さは特に必要ありませんが、平皿に盛ると『何か違う』となります。洋定食は平皿で出すこともありますが、基本は良く知られているお茶碗の形が良いでしょう。我が家では特にこだわりがないので茶碗兼汁椀のような扱いをしています。和食のプロが聞いたらひっくり返りそうですね……。


 次にあると良いのが大中小3サイズのお皿。これもデザインはお好みで。統一すると結構かわいいですよ。個別に紹介しますと、まず大皿(直径25センチ~程度)は深さのある物と平皿の二種類を持っていた方が良いです。深い皿は汁気がある煮物など用。平皿は深さを必要としない料理や、朝食にワンプレートとして用いることもできます。続いて中皿(直径20センチ程度)。これは一人暮らしなら一番登場数が多いでしょう。枚数は1~3枚程度あれば良いです。用途としてはかなりオールマイティで、一人前の料理にちょうど良いサイズなんです。汁気のある料理は後述の丼が対応してくれますから基本平皿で構いません。好きなデザインがあれば深さのある物でももちろんどうぞ。最後に小皿(12センチ程度)。これは取り皿やちょっとした副菜に用います。お醤油等の調味料を少し出しておきたい(世の中には醤油皿というそれ専用のものもありますが)場合にも使えるので深さのバリエーションも加味しつつ2枚ほどあると良いですね。


 続いて、先に少し紹介しましたが丼(一文字でもどんぶりと読めます)。こちらはそれこそ丼ものをはじめ、麺類なんかも一人前なら盛り付けることができます(パスタはあまり向きません)。また、大皿に盛るほどではない量の汁気のある料理、平皿だと山が崩れてしまい大変そう(枝豆など)な料理にも向いています。デザインはお好きな物をどうぞ。あまり薄いと熱くて持てなくなってしまうので注意です。人によってはお茶碗代わりなんて場合もあるでしょうか。



 さて、問題のお皿の色ですがこれは一括で『好みに任せる』です。支離滅裂かもしれませんが、やっぱり好きなお皿の方がテンションは上がります。盛り付ける時に手持ちから合いそうなものを選べば良いんです。無難な色としては白、黒、茶色。最近出てきた木目調の物も汎用性が高いです。「盛り付けの彩のために必要だから……」なんて義務感で買ったお皿は愛着がわきません。「このデザインかわいい!」だとか「このお皿良い色だなあ」だとか、そういう出会いも料理の楽しみですよ。無論お値段はお財布と相談です。お皿にハマると陶器市なんて天国ですよー。楽しいです。安いですし。



「なんだかんだ毎回結論が投げやり」ですか? ……すみません。


 でも、誰かに強制されたりだとか義務感に追われての料理って楽しくないんですよね。特に最近暑いじゃないですか。わざわざコンロの火を点けて室内温度を上げるだなんて正気の沙汰じゃないですよ。『たかが自炊』です。そしてやると楽しいのが『されど自炊』。家まで肩肘張る必要はないですよ。お仕事や学校を頑張ったのならご飯ぐらい楽しても良いじゃないですか。いや、良いです。



 次回もそんなスタンスでゆるりとお送りします。夏野菜をたくさん食べて酷暑を乗り切りましょうー。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

そこの君、自炊やろうぜ。 にとろげん @nitrogen1105

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ