お米なんてテキトーでいいんじゃないの?


 自主企画が大変ですが楽しいです。


 ……まあ次回があれば文字数制限はしようかと。私を待っている28万文字と50万文字と98万文字とその他長編たちが悪魔に見えます。心配とワクワクで半々です。



 と、自主企画の宣伝という首絞めもそこそこに、今回は日本人のソウルフードである『白ご飯』のお話です。



 今お家で使っているお米の銘柄、パッと答えられますか? そのお米を選んだ理由は? 管理はどうしてます? 炊飯のやり方は?


 とっても身近な白ご飯。あまり意識を向けることはありませんが、間違いなく一番食卓に並ぶ頻度が高いメニューでしょう。


 そこをないがしろにしてしまうなんてもったいないですよ。基本だけでも抑えれば、あなたの食卓もググッとグレードアップです。


 土鍋で炊けとまでは言わないので、炊飯器を使う場合のコツを紹介します。



 まずはじめにお米の選び方。


 お米に味がないだなんて、悲しいことは言わないでください。甘味、薫り、うま味など、本当に良いお米は白ご飯だけで食べられてしまうほど美味しいんです。


 では良いお米を見分けるにはどうすればよいのでしょうか。



 そのひとつは値段ですね。高ければ良いのではなく、極端に安いものは避けましょうという意味です。安売りのお米、お財布には優しいですが、安いなりの理由があります。


 お米は精米されてから新しいほど美味しい、つまり価値が高いです。安売りできるということはある程度古いものなのだと覚悟しましょう。袋に精米日が記載されているので、確認してみると良いかもしれません。


 さらには安く買えるように色々なお米を混ぜた、『ブレンド米』というものもあります。ブレンド米は本来各品種の良いとこ取りなどのメリットがある良いものなのですが、値段のためだけに合わせられたものはお察しです。



 次に見た目。袋の外から見て、割れているものが多いお米はやめた方が良いです。彼らは『胴割れ米』といいまして、断面から栄養素が流れ出すので味わいが薄れ、ボソボソとした食感で炊きあがってしまいます。割れる原因は様々あるのですが、食べる私たちからすれば“美味しくない”というだけで十分デメリットです。


 そして白っぽい米が多いものも好ましくありません。お米って白くないの? とも思いますが、生米の段階では飴色や有色透明に近いんですよね。試しに米びつを開いてみると分かりやすいかと。この白いお米、上手く成長できなかったものなんです。白い部分はデンプンを作る元の成分なんですよ。味には問題ないのですが若干ベチャッとするので、たくさん入っているのはバッドです。


 ちなみに胴割れ米も白いお米も人体には無害です。完璧に除去するのも難しいので、判断基準は多いか少ないか程度で構いません。逆に考えると、味を捨てれば安く買えるとも捉えられるんですよね。そのあたりは個人の判断です。



 無洗米という名前も聞いたことがあるのではないでしょうか。お米は精米時に外側を削るのですが、無洗米は普通のお米以上に小さく削ったものです。米の汚れている部分(ぬか)を全部削ぎ落としているので、洗わなくてもよくなります。実はその糠がうま味の一部だったりするので一長一短なんですよね。研ぐ手間を取るか味を取るか……水が冷たい冬は無洗米に甘えたくなります。



『○○というブランドが美味しい!』みたいな話も聞きますが、正直好みもあるので何とも言えません……。味や値段で折り合いをつけて、様々な角度で自分に合ったものを見つけるのが一番です。私は地元の県が生産しているお米を長らく愛用しています。



 さて、お米を選んだら次は炊き方です。


 ちょっと残念なお米を買ってしまったアナタ、諦めるにはまだ早いですよ。炊き方次第で美味しくいただけるかもしれません。



 まずは量りましょう。イマドキはお米の計量カップが当たり前ですが、1合の分量は一般常識の世界なので知っておきましょうね。1合は180ml(約150g)です。


 ただし180mlと言ってもカップにギチギチに詰めるわけではなく、力を入れずに掬って平らにすり切った状態での分量です。カップを台にトントンするのもダメですよ。ここは後の水の分量に関わってくるのでしっかりやりましょうね。



 続いて研ぎます。研ぐ作業は『お米の表面の汚れやゴミを取り除く』作業です。手を引っかくような形にして、手早くシャカシャカと研いでいきます。


 たまにギュッと力を入れて研ぐ人を見かけますが、それはNGです。お米が割れます。割れたお米がダメなのは前述しましたね。


 続いて水の色。透明になるまで繰り返すと汚れだけでなくうま味まで流れ落ちてしまうので、水を変えるのは多くても2回か3回で十分です。とはいえ研ぎ足りないと糠臭く仕上がるので、結局ここでも適度さが求められます。視覚的な分野なので映像を参考にした方が良いでしょう。あとは経験です。


 水を捨てる際には手を添えましょうね。シンクにたくさんお米が流れると分量が狂いますし、何よりもったいないです。ザルを使えば安心ですが、洗い物が増えるのでオススメできるかは微妙です。



 研ぎ終わったら炊く……と言いたいところですが、ここでひと手間です。


 浸水という工程なのですが、その名の通りお米を水に浸します。だいたい2時間程度が目安だと言われていますね。


 2時間は長いですよね……。まあこの浸水の効果が発揮されるのはご飯が冷えてから。すぐに食べるぶんにはやらなくても特段問題ありません。


 ご飯を炊くと固い生米からふっくらご飯に変わるわけですが、当然熱は外側から伝わるので、外側からご飯に変わります。あらかじめ浸水しておかないと水が奥まで浸みる前に表面だけご飯化し、芯が残ったような状態で炊きあがるんですね。冷めるとこの芯が目立つんです。


 ご飯に芯が残っている感じがする。という方は、1時間でも浸けてみると違うかもしれません。最新の炊飯器だと浸水の工程もあったりするので、説明書を読んでみてください。



 浸水が終われば水を注ぎます。水は米1合(180ml)に対して200mlが目安です。まあ炊飯器の場合は目盛りに合わせれば良いので楽ですね。


 ここで注意なのですが、ご飯の固さはかなり好みが分かれます。例えばウチはやわらかめに炊く家庭なので、5合炊き炊飯器目盛りプラス1ミリ程度まで水を入れます。炊飯器の大きさやこの1ミリでなかなか変わってくるので、まずは目盛り通りに炊いてみて、そこから調整をしていくと良いでしょう。親御さんに聞いてみるのも近道です。もちろん目盛りは水平な場所で見てくださいね。


 さて、安米を買ってしまった方はここでもうひと手間加えましょう。


 それは『サラダ油』です。ほんの少し、3合に小さじ2程度で良いので入れてください。お米が油でコーティングされ、ボソボソ感が緩和されます。調子に乗って入れすぎるとギトギトするのでご注意を。



 そうしてやっと炊きあがったわけですが、よそう前にご飯を『切り』ましょう。


 使うのは包丁ではなくしゃもじです。ご飯の上下を返すように、お釜の中を混ぜます。こうすると余計な蒸気が逃げて均一になり、ご飯のベチャつきや乾燥を防げるんですよ。


 この時しゃもじを押しつけないように気をつけてください。潰れると結局ベチャつきますからね。だから『切る』なんです。


 さあ、ご飯を食べましょう。



 最後にお米の保存方法を。


 袋からそのまま……なんて方もいらっしゃいますでしょうか。冬場ならそれでも良いですが、気温が上がると虫が湧くかもしれませんよ?



 お米は高温多湿を避け、直射日光の当たらない所に保管してください。よく読む文章ですね。


 シンク下などは湿度が高まりやすいので避けましょう。我が家ではキッチンにカラーボックスを置いており、その一番下にしまわれております。条件を満たせば正解はありません。



 それと、ニオイにも注意です。お米は臭気の強い場所に置いておくとそのニオイを吸収し、炊いても異臭を発します。密閉容器を用意しましょう。


 ホームセンターなどでまさしくピッタリな『米びつ』なんて物も売っていますよ。使い捨てでもないですし、買って損はないです。



 そんな便利な米びつですが、それ自体の管理にも気をつけましょう。


 例えばお米を足す時は、前のお米を使い切ってから。そうしないとどんどん古いお米が下に溜まります。


 それと足す時には一度掃除しておきましょう。前のお米についていた糠やゴミが溜まっていますからね。


 洗ったらしっかり乾燥させるのも大切。湿り気があっては密閉の本末転倒です。



 米びつに入らない分は袋で保管せざるをえないので、自分の家の米びつに合った量のお米を買ってくるのもコツです。冷蔵庫の野菜室に入れるなんてワザもありますが、それで野菜が入らないぐらいなら買う量を制限するか米びつを大きくした方が早いでしょう。



 ……と、長い説明も以上で終わりです。


 毎日食べるお米だからこそ、美味しいを目指すべきなんです。



 もちろん白ご飯だけでなく、炊き込みやチャーハンなんかも良いですね。パンや麺だってあります。その説明を始めるといつまで経っても終われそうにないですが。



 次回は献立の立て方を予定しています。今回はこの辺で失礼します。

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