第3話 F35を魔改造しました
「それじゃご主人、何を出してみたいですか?」
ふっ……そんなの一つに決まってる。
「F35だッ!!」
羽田にも前、戦闘機が緊急着陸してきた事があったがF2やブルーインパルスなどの非武装機体であった。F35なんて画像くらいでしか見たことがない。機械好きな俺としてはマジで憧れである。
「なら、その機体をタッチしていただき、ご主人が出したい所の座標を設定してください」
俺は「分かった」と簡潔な返事をし、言われた通りに機体の画像をタッチする。するとXYZの出現座標設定と書かれた文字が表示される。
見るとZの座標が52になっていた。
「ん? これは?」
確か俺の記憶が間違ってなければXが横でYが建て、Zが高さだった気がする。そのZがすでに52ってどういうことなんだ?
「その座標表記ですが、海を0と設定されています。それと1メモリは1メートルです。それで今、Z軸が52となっていますが、それが今いる地点の高度ということです」
「あぁ、納得」
そりゃ、地中に製作しても使えないし無駄だよな。っていうかこれ本当に能力なのか? どちらかと言えば要請する機械に見えるんだが。
目の前に出すためにY軸をプラス10に設定する。そうすることで俺の正面の10メートル先に憧れのF35君が出現するはずだ。
設定が終わり、ワクワクしながら画面右下にある"製作"と表示されている所をタッチする。
するとエリが最初、俺の前に姿を現した時のように青く光る骨組みが現れる。そして上からパァァと形が造られていき数秒で完成する。
「…………!!」
俺はその機体を見て、感動し過ぎて声が全く出なかった。
普通の飛行機には無いステルス性に優れた主翼の菱形翼。F35 B特有の機関砲が内臓されていないスリムなボディと垂直離着陸用のファン。
ヤバいヤバいヤバい……。
「どうですか? ご主人! この能力――」
「最っっ高だっ!!」
「はわっ!?」
俺は感激しすぎてその気持ちを伝えようとして叫ぶとエリが何とも可愛い声を出して肩をビクッと震わせる。っていうかそんな驚き方をするのって二次元に住んでいる方達だけだと思ってた。
「あっ、すまん。感動し過ぎてつい叫んじまった」
「あっ、いえいえ! お気になさらずに!」
エリは笑顔を作りながら両手をふる。さっきのサイコパス発言以外は超絶可愛いロシア人系で俺にドストライク美少女なんだけどなー。
「まあ、とりあえず乗ってみるか」
コックピットに搭乗するためキャノピー(コックピットのガラス窓)をあけて、中に乗り込む。
――そして俺はまた感動した。
今までの戦闘機は足間に操縦桿があるのが一般的だった。だがしかしF22やF35はサイドスティック方式という物を採用している。簡単に説明すればコックピット中の端に車で言う運転するためのハンドルがあるというわけだ。
そしてキャノピーを閉めた後に分かる正面に設置された大きな液晶ディスプレイ。今はまだ起動してないから真っ黒だが、ここには"方位情報指示器"や"垂直状況指示器"、"戦術情報表示器"。それに加え、レーダー情報、赤外線探知情報、火器情報、ムービングマップなどが表示されるのだ!
「うぉぉぉぉ!!! すっげぇぇぇぇ!!!」
今まで生きてきた中……いや死んだか。まあ、これまでにここまで感動したのは初めてかもしれない。こんなのに乗って興奮しない軍事マニアなんていないね絶対。
「ふふっ。満足いただけたようで何よりです」
「えっ……?」
夢のような空間に夢中で今まで全く気づかなかったが、なんか俺のふとももに頭がデカイぬいぐるみのような物が座っていた。てか今なんかしゃべった!?
俺はそれを両手で持ち上げてくるくると回しながら眺めてみる。
「ごしゅじーん。そんなに見つめられると恥ずかしいですー」
そのご主人と呼ぶぬいぐるみは顔を赤らめ手で隠そうとするが大きい頭に対して腕が小さ過ぎて全く届いていない。
「ってお前、エリなのか!?」
「はい、そうですよ! 人の姿じゃ乗れませんから」
「お……おう。そうか……」
……ここは異世界なんだからもう、そんなことで驚いちゃ駄目だ……駄目なんだ!
Д
そのあと色々眺めて満足したあと「よし飛んでみよう」って時に今更気づいた。
「これ、どうやって動かすんだ?」
僕はねパイロットじゃなくて整備士だったんだ。
まあボーイングジェット機の動かし方なら一応知ってるが、戦闘機なんていう触れた事がない機器なんて全く見当もつきません。
「それでしたら、魔法道具を使えば解決しますよ」
エリは今の自分の体くらいはあるだろうタブレ……魔法道具をさっきと同じように出現さえ手渡してきた。もうタブレットって称してもいいか?
俺は起動ボタンを押し、電源を入れて自分の指を画面にタッチして承認させ、立ち上げる。するとさっきと同じように兵器製作表が表示される。
「それでどうするんだ?」
「そしたらまず、この機体。F35の画像の隣りにある"編集"という所をタッチしてください」
「えっと、これか」
言われた通り編集をタッチすると、機体タイプ変更、機体の強化、使用武装の変更、ハードポイント増設、"兵器ガイドインストール"などが表示される。
「それで、兵器ガイドインストールという所をタッチしてください」
「これだな」
俺は指示に従い兵器ガイドインストールをタッチする。
すると…………頭の中に何かが入ってくるような変な感触に襲われる。
「うわっ! なんだこれ!? 頭の中に……」
まるで何か脳みそを占領するようにブワァァと入ってくる。痛くはないがなんか気持ち悪い。
まさかこの感覚は……!?
「見るなぁぁ! 私の中から出て行けぇぇ!」
「ご主人……。何言ってるですか……?」
エリは変な物を見るような目で俺を見上げていた。
やめろ、そんな目で俺を見るな……。こういうネタに走ってしまうのはしょうがない事なんだ! キチガイオタクだもの!
そのあと数分で何か頭に入ってくるようなモヤモヤとした変な感触が無くなる。これでこの機体を操縦できるようになったのだろうか。
「なあエリ。今ので俺、操縦できるようになったのか?」
「はい、なりました。試しに機器をいじってみて下さい」
迷いなくできると言い切る。
「本当かぁ? なんか信じられないんだが」
俺は疑いながら機器を触れるとさっきは感じなかった違和感を覚える。
なんだこの感覚……。身体が覚えてるみたいなこの感じは……。
まるで今までパイロットとして生きてきた様に身体が動く。
エンジン始動時に機体が動き出さないようにブレーキをかけ、電源ボタンを二回押して"OFF"から"MAIN PWR "に切り替える。すると正面モニターがつき、「クワァァ」という起動音と共に各部の状態が表示されていく。そのあと燃料供給回を"ON"に切り替え、非常電源を"NORM "に替える。そしてALR SOURCEも"NORM"に替える。
この一通りの作業でエンジン起動の準備が整う。
「なんだこれ! めっちゃ楽しい!」
パチパチとスイッチをスムーズに押していく感触がもの凄く壮快で楽しい。
整備士じゃなくてパイロットっていう仕事でも良かったなぁと今更思う。
メインエンジンを点火するにはかなりの高速回転をさせないといけないのでまず小型のジェットエンジン(サブエンジン)を点火させる。
その後、回転数を確認しながら各種設定を行う。
――しかし、
DL(データリンク)エラー、MAPエラー、GPSエラーと点滅しながら表示される。
やっぱりか……。
これが今いる場所が異世界だと決定付ける証拠だった。何故ならビルが並ぶ町や山の中ならまだしも、こんな広い平地でGPSを測位することが出来ないなんてまずあり得ないからだ。
「本当だったんだな……」
「何がですか?」
「えっ? あぁいや、何でもない」
そう誤魔化すとエリが疑問そうに首をかしげていた。
メーターを見て出力が70%を越えた事を確認してメインエンジンを点火する。
そして慣性航法装置を起動させジャイロが安定するまでの間にレーダーやHUDを起動させる。といっても異世界に航空機なんてないと思うが。
「レーダーもHUDも結局、死にシステムか……」
実際に使って見たかった感がある。
だってこれはエース○ンバットみたいなゲームじゃなくて現実だから、どんなものが試して見たかったですよ……。
「ならさっきの編集メニューの"機体の強化"をすればいいのでは?」
「えっ?」
「いやだから、機体の強化でレーダーやHUDを強化すればいいんですって」
マジでそんな事できんの!? やべぇよ、なにこの俺の能力(?)マジで便利過ぎるだろ。
タブレット(魔法道具)を操作してさっきの編集画面を開き"機体の強化"を選択する。すると、エンジン出力強化や旋回性上昇、装甲の見直しと増設、燃料増加、電子機器の強化という選択欄が表示される。
なんかもうこれゲームじゃね?
「なあエリ。強化に使う素材ってどんなのが必要なんだ?」
素材を集めて機体を強化していく。なんともゲームのようで面白そうだな。できるなら最初からフル改造とかしてみたいけどそこまでは流石に無理だろう――
「必要ありません」
――と思っていた時代が俺にもありました。
だったらできる改造を全てやればいいんじゃね? これってもうまるっきりコードフリークじゃん……。いや、こんなうまい話があるわけがないだろ。
「もしかして強化回数が決まってるとか?」
「ありません」
この世界は旨みだけで出来ているのかもしれない。
そのあと俺はlv1で出来る改造を全て行った。
――改造内容――
エンジン改造により出力を上昇させ、マッハ1.6から2.5まで引き上げた。
旋回性能は、フラップを改良、増設させ上昇させた。
あと装甲は現代には存在しない鋼鉄を使用し強度を上げた。
燃料は装甲に埋め込むように増設した。
電子、レーダーやHUDは生物も認識できるようになった。
イージス艦のレーダーを搭載した。
正面ディスプレイで色々な設定をできるようにした。
対Gにも対策がとられ複雑な動きをしてもパイロットに負担をかけづらくなった。
これってもう"僕の考えた最強の戦闘機"って奴じゃね?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます