番外編
ドラマ「凪のお暇」をクリエイター目線で斬る
※この番外編は「K's cafe」2019/8/12の記載を引用したものです。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054890685344/episodes/1177354054890702935
大人気ドラマ(多分)の「凪のお暇(なぎのおいとま)」をなぜか途中から見ることになりました。かなり面白いです。
なぜ面白いのか。
ちょっくらプロの作品を一旦ひっぺがし、どうして面白いのかを分析する手法で考察してみましょう。
そこに小説を面白くするヒントが必ず隠されているはずです。
基本はやはりサスペンジョンなんだと思います。安心させてはいけないんですよね、例えばAさんとBさんがくっついて欲しいとみんなが思いそうなら、敢えてくっつけさせない、しかも少し近づけては離す。
考え方としては、「こうなって欲しいな」というのを敢えて壊す。「こうなってほしくないな」という展開を敢えて起こす。全てこれに行き着くと思います。
こう考えると作家やテレビドラマを作る脚本家の方はかなり意地が悪いことをやってますよね(笑)。
<障害を作りだせ!>
慎二と凪はもともと恋人同士。
凪はとある理由で仕事も恋人も放り出して、郊外へ引っ越す。
慎二は追いかけて行く……ここでストップ!
もしここでうまく出会って、二人仲良く元どおり——。これが私たちの望む結末です。しかしそれでは面白くありません。ここでうまく行かなくさせるにはどうしたりいでしょうか?
慎二はプライドが高く、素直になれない。
だから、戻って来いと言えない。しかも凪はそれを素直に受け取る、だから、二人はすれ違う……。このすれ違い、もどかしさ……これが観ている人を惹きつけるのでしょうね。
<行ったり来たり、玉突き現象>
このもどかしさを倍増させるテクニックがあります。それがここで名づけました、行ったり来たり玉突き現象、ほとんどの恋愛ドラマで見られる現象です。
AがBを好き。そこでBにCという気になる人が現れる。
A→B→C
そこで、BはやはりCではいけない、Aに気持ちが傾きそうな時、Dが現れる。AはDを気になり始める。
D←A←B
それで、やっぱりこれではだめだとAがBを向き始めると、今度はBはCを向き始める、もしくはBが昔Cを思っていた物が見つかる。Bは「違うわ、これは昔よ。今はあなた(A)が好き!」
これでAが「そっか、わかった。いいんだよ」となれば話は終わりなのに、Aは納得しない。「もういい! あいつ(C)のところに行けばいいだろ!」と突き放す。大多数の視聴者、読者は(好きなBが違うって言ってるんだからいいじゃないか……)と思うはずです。しかし、それを敢えて崩すことで、つい引き込まれてしまうんでしょうね。
近所話の喧嘩も一件落着すればみんなの記憶から消されますが、変わった人がい続けると気になりますよね、それと同じ心境なのでしょう。
この「何か気になる」や「どこか落ち着かない」これを自由に扱えると、人を惹きつける、面白い小説が書けるのだと思います。
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