第17話 トトロの遺したもの

 少し余談ですが、インターネット情報によると、となりのトトロという作品(映画)が世に出るまでは苦難の道があったようです。公開すら危ぶまれたとか。興行収入も当初は決して高くなかったといいます。また、以前テレビで言っていましたが、となりのトトロ、もののけ姫は今でこそ「名作」として認識されていますが、これらが一般公開される前に、違った形ですでに世に出ていたといいます。もちろんその頃はまだ宮崎駿の名は世に知れる前。売り上げもそうたいしたことでは無かったといいます。

 これだけの素晴らしい話なのに、世に出ても認識されなかった期間がある。この事実は私たちに大切なことを教えてくれます。


 つまり「どんなに優れた作品でも、すぐに認識されるとは限らない」ということ、言い換えれば周りからの評判はタイムラグがあることがある、ということです。ただ宮崎駿監督は、その「売れなかった時間」は無駄では無かった、とも仰っています。その間に色々学んだ技法などを活かしたおかげで、村の繊細な表現など、映画版となりのトトロではよりよいものができた、と述べておられました。


 周りの反応が無いことは少し不安になります。しかし、それよりももっと心配しなければならないことがあります。それは、その作品がいつか「となりのトトロ」のように世代を超えて、多くの人々の心の奥まで届くような作品として周知される日が来た時、その時に恥ずかしく無い作品にしておけるか、そちらの方なのではないでしょうか。


……つづく

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