第14話 結末の考え方
今回のテーマ「ハツラツよしこさん、英検三級を受ける」
の場合は、結末はシンプルです。
A:合格してハッピーエンド
B:合格しない
おおまかに分けてこのどちらかでしょう。まず、
A:合格してハッピーエンド
一見ストレートで良さそうですが、これはこれで少し工夫が必要になります。なぜなら読者はサスペンジョンを求めますから、簡単に合格して終わっては全く面白くありません。よっぽど途中経過に工夫がなければ、読者は途中で離れてしまうことでしょう。しかし、その工夫を頑張ることこそが「創作」になりますから、頑張るしかないのかもしれませんが。またこれは書き手の都合ですが、ドラ息子が勝手に決めた約束が本当に通用するのか? もしA案を選ぶなら、そのつじつまも用意しておかなければなりません。
B:合格しない
逆にこちらを選んだ場合、ストーリーは合格一直線でも構いません。順調に行って、試験もうまくいった、そして結果発表が……不合格。この流れであれば、ストーリーに色を持たせることもできそうです。一方で、不合格、終わり、ではストーリーとしては不十分ですので、不合格の意味づけ、その後の展開に一工夫が必要になってきます。
私がこのストーリーを作るとしたら、元々のよしこさんの基礎英語力は低い方が面白く、そして状況も難しければ難しい、つまり期限も短く、条件も厳しい方が面白いと考えます。ですから、そのような状況下で「合格させる」というストーリーが思いつきません。ですから、後者の「合格しない」でもそれに意味づけをしっかりつける、という選択をします。今回はそれで作ってみましょう。
スタート:英検三級を受けることになったよしこさん
大義名分:大切な自分の豆腐屋を守るため
途中:???
結末:不合格
その後A:それでも、悪いことばかりではなかった、きっと意味があった。
その後B:その他驚くようなストーリー展開
ここまで決まりました。次にこの途中の???を埋める作業となります。ここでどれだけ、よしこさんが守ろうとしている豆腐屋が大事なのか、今やっていることが本当にすごいことなのか、そんなアクセントをつけられるかがこのお話の肝となっていきます。
よしこさんは2代目のおじいさんが大好きだった。おじいさんから、吉村屋が戦時中の空襲で焼けてしまって、一時閉鎖の危機にあっても、場所を変えてまで、そしてその命をかけて、何とか続けてきたことを聞かされてきた。またおじいさんはよく言っていた、「思いは伝わる」と。その言葉を信じてこの吉村屋のピンチを救うべく、英語の勉強を頑張るよしこさん。
また、この豆腐屋の笛の音を時計がわりにしている近所のおばあさんに、「豆腐屋さんの笛は私の命の時計なんです。これが聞けなくなったら私は生きた心地がしない」と言われる。
などなど、よしこさんがどうしてもこの3代目豆腐屋を維持させたいと思えるようなエピソードをたくさん盛り込んで行きましょう。
あとは、せっかく英検は4級でなくて、3級なので、面接があります。ここを利用して、ちょっとした伏線を張れないでしょうか。少しありふれた展開ではありますが、面接の試験管と、どこかであったことがある、という展開を考えて見ましょう。
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