第7話 H・S・Jで一気にクライマックスへ!

 「ホップステップジャンプ」の「ジャンプ」にあたる次のシーン。これもまた印象深い、心に残るシーンです。この重要なシーンをきっかけに、この物語の最大の見せ場であるクライマックスへと進行していくのです。

 家で、うなだれるサツキとメイ。サツキがばあちゃんと井戸の所でこのような会話をします。


サツキ「お母さん死んじゃったらどうしよう」

ばあちゃん「サツキちゃん……」

サツキ「もしかしたら……お母さん……うわーーん」

ばあちゃん「だいじょぶ、だいじょぶ。こんなかわいこ達おいて、誰が死ぬかい」


 泣きじゃくるサツキ。見ている方も、思わず泣きそうになります、サツキさんには本当にアカデミー賞をあげたいです。

 サツキの心情、この劇的に移り変わる変化を、ホップ、ステップ、ジャンプで見て見ましょう。


 1:電報で慌てる、何かあったんじゃないか   動

 2:退院を延期、受け入れようとぐっとこらえる 静(対立するメイ:動)

 3:でもやっぱりこらえられなくて、大声で泣く 動(動かされるメイ:?)


 ざっと書いただけでもこれだけの、心情の変化があります。

 色々背景はあるにせよ、実際の状況は一通の電報と退院の延期。たったこれだけです。これだけの事実にもかかわらず、サツキとメイの対比、サツキ自身の感情の対比などを鮮明に打ち出すことにより、実に精巧な、人間色鮮やかなシーンへと作り上げられていることがお分かりになるでしょう。そして今までサツキがお母さんの代わりとして、朝ごはんをつくったり、メイをおんぶしたり、しっかりとハキハキやってきたシーンを見てきた私たちにとって、こらえきれず泣き出すサツキのシーンはいたたまれない感情が湧き上がってきます。


 ここまでくると、このサツキが嗚咽をもらすシーンはとても重大な意味を持っている事が実感できると思います。それだけのシーンであるからこそ、メイは動かされるのです。そしてついに物語はクライマックスへと進んで行きます。

 

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