画面やスクリーンの向こう側ではなく、より身近に潜む脅威

 サイバーセキュリティと聞いても、他人事でしかないくらい、わたしはITに縁遠いです。(実際、作中に出て来る専門用語のほとんど理解できてないです。たぶん)
 なので、IT技術で人が死ぬなんて、SF映画のスクリーンの向こう側ほど遠く離れた世界の出来事でした。

 プロローグを読み始めた時は、まさにテレビ画面の向こう側で遠く離れた台風のレポートを眺めているくらい、身近に感じることのない脅威でした。
 が、読み進めて引き込まれていくうちにどんどん肌で脅威を感じるくらい実際に起こりうるかもしれないことに、殴られるように気づかされました。

 ショウとサクの関係が、ケルト神話のクー・フーリンとフェルディアが蘇ったのではないかと胸が熱くなりました。
 そんな胸が熱くなるほどの人間ドラマは、専門用語が理解できなくても、普段日常生活で感じることのない、IT関係で奔走している人たちの息遣いすらも感じさせてくれました。

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