その色の帽子を取れ

作者 梧桐 彰

406

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★★★ Excellent!!!

タイトルを読んで、「?」と思った人は多いでしょう。
でも、プログラム系技術者でレッドハットのイラストを目にしないはずはない。
そこまで言えば、IT技術者ならばそれ以上の説明はいらないと思います。

緻密な技術的な内容を横糸に、登場人物の複雑な想いを縦糸にして紡がれる本格的なサスペン

技術的に難しい話にはちゃんと説明もなされていますので、わからない時はさーっと飛ばしても全然大丈夫です。

現代のインフラがいかにIT技術の上に成り立っているか?を思いつつ、ぜひ読んでみる事をお勧めしたい一冊です!

★★★ Excellent!!!

サーバーセキュリティを題材に、『既存の技術のみであっても、一人の悪意ある人間によって引き起こすことができるであろう惨事』を描いた、息もつかせぬ怒涛の展開が押し寄せてくるクライムサスペンス小説です。
更にテーマはそれだけでなく、腕はあるのに淪落の淵に沈んでいた主人公が、大災害に見舞われた東京を新型バイクで疾走するという――そういうのが好きな人にはたまらない、骨太なハードボイルド要素も組み込まれている、非常にボリュームと満足感に溢れた内容でした。

作者さんの経験と知識と取材に裏打ちされた、緻密かつ精確な描写は、他の技術者の方々が読んでも文句が出てくることはないでしょう。
それでいて、専門知識のない人間でも充分に楽しめる作りになっています。個性的なキャラクター達やチョイチョイ挟まれるアニメ用語、毎ページごと「次の展開はどうなるの」と気になる強い『引き』が登場します。とにかくこの作品を読んだ全員に楽しんで貰いたいという、読者に対する作者さんの細やかな気配りが行き届いているなと感じました。
同時に『サイバー技術が大都市に未曽有の災害をもたらす。直接手を下さずとも、プログラミングによって人は殺せる』という、かつての人々が夢想し『SF』と呼んでいたものが、近未来の話ではなく『現代ドラマ』になったのだなぁとも感じさせられました。

友情、愛情、どの色の帽子を取るのか、そして技術が善いモノになるのか悪いモノになるかは『それ』を扱う人間次第……。そんな要素を深く考えさせられます。
どれだけ時代が進んでも、人間の本質に問いかけるべき普遍的なテーマが根幹にあるので、この作品は何年か過ぎた後に読んでも『名作であり続ける』と思いました。

どのキャラも魅力的で想い入れがあったため、最高のハッピーエンドを見たい気持ちもありました。しかしSFやファンタジーではない、時代性を追求したリアリティやリアルの… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

ITセキュリティを得意とするエンジニア、進藤将馬。以前勤めていた会社は潰れ、フリーとして活動中だった彼に元同僚から仕事の依頼が持ち込まれる。その仕事の内容は、将馬が持つ特別なセキュリティソフト『クー・フーリン』を売ってほしいというものだった。ソフトの販売権は彼にあるが、製作者である友人の木更津は『僕は殺される』というメッセージを残し一年前に行方不明となったまま……。そんな中、朔の手掛かりを知る謎の女性が将馬の前に姿を見せ……。

サイバーパンクという言葉が誕生したのは1980年代中盤。それから約35年が経った現在、多くの人々が当たり前に大容量の携帯端末を持ち、街中にwi-fiの電波が飛び交い、家庭では光回線が引かれ、声で呼びかけるだけでスマートスピーカーが様々なことをしてくれる。宇宙人はやってこないしタイムマシンもまだできていないが、それでも我々は当時夢想されたSFとかなり近い世界に生きているのだ。

そういう意味では舞台は現代だが、最新のIT技術とネットワークを駆使した犯罪劇を描く本作は立派にサイバーパンクの系譜を引き継いでいると言えるだろう。登場人物もハッカーに闇医者や情報屋、ギーグの女性IT技術者と胡散臭くも魅力的な人間が盛りだくさん。社会と上手く馴染めない人間たちが優れた技術を手にしたとき、どのように生きるのか? 彼らが織りなす人間ドラマと最新技術による極上の犯罪劇をとくとご覧あれ!


(「サイバーパンク的な近未来にひたれる作品」特集/文=柿崎 憲)

★★★ Excellent!!!

読み始めると、いきなり東京が大惨事! 序盤から引き込まれます。
サイバーセキュリティというと、せいぜいが情報流出ぐらいだと思いがち。
しかし、すでに世の中は多くの物事がコンピューター制御されていて、それを悪用すれば人命を奪うことも可能。本作はそういった事実を改めて突き付けてくる。

作者さまは実際に業界の人らしく、用語・描写は細かく本格的。
しかし、読者の側には知識がなくても大丈夫。
「何がどうすごいのか」は分からなくても、「何となくすごい」とは分かる。
これは高い筆力があるからこそでしょう。

そして、個人的に推したいのがタイトルセンスの良さ
『その色の帽子を取れ』
カタカナも入ってないし、一見するとサイバーセキュリティ小説とは思えない?
しかし、作中でも説明されますが、まさにぴったりなタイトルのです
詩情と風格があり、語感も良く、作品の内容も適切に表していて見事すぎる
これだけ素晴らしいタイトルを付けられるセンスの良さがあるのだから
内容も当然ながら素晴らしい高品質

非常に完成度の高い現代ドラマです

★★★ Excellent!!!

「一人の悪意を持ったハッカーによりネットワークが牛耳られ、世界が滅亡の危機を迎える」

 一昔前のSFではごくありふれたこの題材が、今の世の中では絵空事でも何でも無く、現実の可能性として存在している。実際、本作でも具体例が描かれたように、数々のサイバー犯罪が世を騒がせており、それによって人生を滅茶苦茶に狂わされた人々の例は、枚挙にいとまがない。

 本作はそういった、我々が暮らす現実社会の脆さを、実在の知識をもとに、軽妙な文章とハードボイルドなストーリーで紡いだ作品だ。
 ジャンルとしてはクライム・サスペンスに近いかも知れないが、あえて「サイバーセキュリティ小説」と呼びたい。
 「どこか遠くの世界で行われる犯罪」のような絵空事ではなく、あくまでも我々の生きている現実社会の、日常の中で起こる可能性のある物語だ。

 IT技術とネットワークの発達は、現代社会に計り知れない恩恵を与えてきた。しかしながら、同時に新たな問題、新たな犯罪をも生み出す土壌となってきた。
 本作に登場したとある人物のような存在が現れれば、この社会は砂上の楼閣の如く、儚いものになるだろう。

 人類の発展の為に築き上げられてきたIT・ネットワーク技術はしかし、実際にはピトス――即ち「パンドラの箱」であるのかもしれない。
 そして、作中のとある人物は、そのピトスを開けてしまう事を選んだ。世界中にありとあらゆる災厄が撒き散らされることを知りながら。

 神話では、ピトスの中には最後にエルピス――希望や期待、予兆といったものだけが残ったと伝わる。
 果たして、本作では最後に何が残されるのか……その答えは、ご自身の目で確かめて頂きたい。

★★★ Excellent!!!

実力主義で駆け上ったかと思いきやアウトロー(というと語弊があるけど)へ転落した主人公、住まいは新宿、同居人は闇医者。訪ねてくるのはインド系オタク女子。ゲーセンでよく対戦するのはヤクザ者。

男が追いかけるのは、突如姿を消した友人。

何これカッコいい。

とある陰謀に巻き込まれて奮闘する主人公の脇には、時にセキュリティサーバーを積んだ四つ脚ロボット(ピコピコいう。萌え担)、呼びかけに応えて現れるインテリジェントバイク(静かに現れる。厨二担)など、人外の存在が寄り添ったりします。


ITに詳しくない方も、ご心配なく。
魔法だとお考えください。どっちも呪文で動きます。大丈夫です。僕も「サーバーは重い」としか知りません。

この物語を楽しむために必要なのは、機械の知識ではなく、「これは起こり得ることだ」という覚悟かと思います。

カッコよさに痺れながら読み進めていくうちに、いつしか虜になってしまうことでしょう。

ああああ、読み終わってしまった。



余談ながら、ある作品のレビューをする際に、他の作品を例えに出すのはよろしくありませんと言う件は僕も存じ上げてはいるのですが、この作品を読んで連想した作品は「新宿鮫」でした。

誰かわかって。

★★★ Excellent!!!

 まるで映画を見ているように、映像がありありと浮かんできます。
 手に汗を握るとはよく言いますが、ホントにドキドキハラハラさせられます。
 普段、何も考えずに生活しているけれども、身近には危険が潜んでいる……。そう遠くない未来に起こりうる現実。
 この分野に全く門外漢の私でも、ストーリーに引き込まれていきました。
 多彩なキャラクターたちが生き生きと描かれて、その細やかな心理描写から行動までお見事です。
 タイトルも秀逸で、意味が分かってからラストまで、このタイトルが頭の隅にずっとはりついてました。
 あちこちに張り巡らされている伏線が、次々に回収されていく度に、「おお!」と膝を打ってしまいました。

 白を選ぶのか、黒を選ぶのか。主人公たちが何を選び、何と戦っていくのか。ぜひともご覧あれ。

★★★ Excellent!!!

本作は「サイエンス・ファンタジー」ではなく「サイエンス・フィクション」の意でのSF小説である(ジャンル自体は「現代ドラマ」選択だが、サイエンスが題材という点ではSFでも間違いじゃない)。
今よりほんの数年だけ先の近未来、サイバーセキュリティの分野でのテロと技術の進歩をテーマに、すれ違ったかつての友との戦いが描かれる。

現役の業界人である著者によるサイバーセキュリティ描写は地に足がついた感が強く、それでいて難解さがないところが素晴らしい。難しいこと、専門的なことを誰にでも分かりやすく書けるのは、それだけで最高にクールだ。
もちろん、読んでいて分からない箇所もあるのだが、そういう部分は読み流しても構わない枝葉に限定されているのもニクい心遣い(たとえば、ラクシュと出会ったばかりのサクが自分のプログラミングの「クセ」を指摘されて改めるシーンは、そのプログラミングコードの何がどういうことか、私にはさっぱり分からなかった。が、どういうエピソードなのかは理解できる)。RSSを誰が作ったかなんて、本作で初めて知りましたよ!

前半は消えた友人・サクを探すショウが手がかりの女性と出会うまでと、サクと彼がどう出会いどう過ごしたかというお話。後半は、サクがどう変わり、何をしようとしているかというお話。行く道を違えた二人の男たちが、世界の危機の中でぶつかりあう……人もどんどん死んでいき、まさかこんなことになろうとは。

登場人物たちにカクヨム作家のモデルが存在する、という「内輪ネタ」もありつつ、全体のドラマも描写も完成度が高い。個人的にエモーショナルな部分はやや食い足りなさがあるけれど、これはおそらく個人の好みの範囲だし、そこもまたハードボイルさであろう(そもそも、登場人物に共感や感情移入を妨げられるほどではないのだ)。

ところで読後用登場人物紹介、見てみると違うバージョンの本編が想像されて… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

結局、一番好きなのはサクでした。

主人公は友とすれ違い、友は後に世界を滅ぼす敵となって舞い戻る……という展開は王道なんですけど、現実世界を舞台にしてそれ書くのって難しいのだと思います。だって、普通はアメコミかファンタジーの中にしかいないですもん、一個人の力で世界を滅ぼすような宿敵。
しかしこの作品は、その書くのが難しいことを、知識と筆力によってしっかりと形にしていました。私はその意味で、サクというキャラクターは、この筆者の「書く力」がなければ創造できなかった宿敵であると感じています。だからこそ尊く、魅力的なんだと思います。

しかしサクは宿敵としての格だけでなく、まっすぐでどこか不器用な若さを備えていていました。それが彼をより一層素敵な悪役に仕上げていたと思います。

ちなみに好きなキャラは次点がアルトで、次はラクシュでした。

★★★ Excellent!!!

リアル準拠、分かりやすい説明、そしてエンタメ。
この三つを揃えるのはとても難しいことだと思うのですが、本作はバッチリ揃えてくれてます。
IT初心者の自分にも理解しやすく、面白いだけでなく勉強にもなりました。
梧桐彰さんの作品は初めて読みましたが、他の作品を拝読するのも楽しみになりました。

★★★ Excellent!!!

近未来を舞台としたサイバーセキュリティ小説なのですが、これが、いい。
昨年、住んでいるイギリスのNHS(国民保健サービス)がターゲットにされ、真っ青になった記憶が新しい私にとってはとてつもなく手に汗握らされる物語でもありました。

骨太でぐいぐい引き込んでいく筋もいいのですが、登場人物たちもいい。意外なところで意外な人物が意外なことを考えている。知っているつもりで奇妙に知らないお互いのことや、自分自身の感情や思考。
読み始めたら止まらず、一気に最後まで駆け抜けるように読んでしまいました。

★★★ Excellent!!!

 ――ハードボイルドだなぁ

 読んでいてなんとなく、そんなふうな印象を僕は抱いた。

 サイバーセキュリティ小説コンテスト参加作品にして、作者ご本人がセキュリティの仕事をされている梧桐さんによる、本格的な現代ドラマ。
 ショウとサクという二人の男を中心に、サイバーセキュリティの攻防、そして人間ドラマを描く。

 作者本人が「これはSFではない!」と断言されている通り、本作品のポイントは、基本的には既存技術のみを用いているところにある。
 専門用語は多めですが、かなり、技術考証がしっかりしている印象を受けるのが魅力的です。適当な人工知能用語をぶっ放すお子様SF作品とは、そのあたり一線引かれています。

 セキュリティにしろ人工知能にしろ、様々なところで、明文法や不文律で縛られてバランスの中でこの社会は秩序を保っている。そのタガが外れれば、――誰かが命をかけて外しにかかれば、この世界は意外にも脆いのかもしれない。

 本作品の中では一人の天才が苛立ちの果てに、そのゾーンに突っ込み、そして、主人公が様々な思いを背負いながら、それに立ち向かっていく。

 小説全体の雰囲気は夜のお酒が似合いそうな大人びたムード。そんなムードに酔いしれながら、読者は怒涛のラストへ向かうでしょう。読みながら「その色の帽子を取れ」のタイトルの意味を理解して、そして、ネットの向こう側の帽子の色に思いを馳せられんことを。

 

★★★ Excellent!!!

この作品、Webで無料で読めてしまっていいのでしょうか?

一本の映画を見ているような痛快な人間ドラマに加え、硬派な語り口の中に丁寧な説明と共に散りばめられたサイバーセキュリティのエッセンス。
IT初心者でもエンターテイメントに浸りながら知識を身につけることのできる、希少価値の高い作品なのではないかと思います。

サイバーセキュリティというと一見難しそうなテーマに思えますが、本作のストーリーラインはいたってシンプル。

二人の男が友情と技術と信条の間で揺れ動く物語です。
それをIT用語でよく使われる「ホワイトハット」「ブラックハット」に例えてタイトルとテーマに据えられているのは上手いなぁ(ニヤリ)と思わざるをえないポイント。

そしてよく見て欲しいのがこの作品に設定されているジャンル。
SFじゃありません、「現代ドラマ」です。

つまりこれはフィクションではあるけれど全くの架空かというとそうでもなく、少しでも糸をかけ違えれば本当に起こりうる現実を描いた作品なのです。

ここ最近、地震、台風などの災害が相次いでいて防災意識が問われる世の中になってきていますが、本当にそれだけでいいのでしょうか?
私たちの生活には無意識レベルの場所にもインターネットの網が張り巡らされていて、それが狂った一人の手によって自分の首を締める凶器になるかもしれないのです。

そんな危機感をピリリと味わわせてくれるのも本作の魅力の一つ。

サイバーセキュリティってよくわかんないんだよな〜と思う人ほどぜひページを開いてみてください。

さーて私もノートPCのウイルスソフトを●年ぶりに更新するかな(白目

★★ Very Good!!

サイバー犯罪の被害といえば仮想通貨や個人情報の流出など、財産や社会的な物を喪失する「こりゃ笑えねえw」な客観的なイメージだが、本作ではプログラムが日常環境から人々を壊滅状況に追いやる「これは笑えない……」と身近な危機で提示してくれるとともに、ネットの噂話や物語の枠に留まらないそう遠くはない近未来でもあり現代を感じさせる。専門用語が多く見られるも、知識不要で読者に凄さと緊迫を伝える作者の技術力にも注目である。本当は★3の価値があるのだが、ここはあえて幅広い読者層の立ち位置(そんな資格はないが)で★2とする。概ね万人向けの作品だが、“物語の規模と重さ”に耐えられるかを残りの★1として、価値を他の読者に判断してもらいたい。

★★★ Excellent!!!

これはハードカバーの2000円とかで売られている紙の書籍で読みたいと強く感じる小説です。
タイトルの意味、彼を取り巻く環境、世界観、どれも設定が練りこまれていて、話があちこちに飛んだように見えてもちゃんと伏線は回収されました。
いろんな感想が浮かんでくるけれど、文字にするとチープで陳腐になってしまいますが、これだけは間違いなくいえます。

小説を読み終わったとき、上質なエンターテイメントの世界を味わえます。
このレビューを読んだ方も是非小説の世界へどっぷり浸って欲しいです。

電撃新文芸で2020年11月16日発売とのこと。
楽しみにしてます。

★★★ Excellent!!!

ひょんなことから出会った二人の高校生、ショウとサク。
真っ赤なツンツンヘアにレザーファッションでバイクを乗り回し、喧嘩も強くてぶっきらぼうな話し方の、やたら男らしいショウ。
かなりの美形なのに臆病で自信がなく気の弱い、植物の好きな細縁眼鏡の天才少年サク。
工業高校に通うショウと、コンピュータ技術の申し子サクが出会って、意気投合するのに時間がかかるわけがない。

何者をも寄せ付けない圧倒的な知識とスキルによって次々とソフトを開発していくサクと、彼の苦手な交渉や英語での対話を一手に引き受け、ただひたすらに彼を支えるショウは、まさに二人でワンセットのユニット。
そしてその二人の類稀な才能に、自分の生涯をかけるつもりで全面的にバックアップするハサウェイ。
この物語に出てくる人たちの熱い熱い想いが、文章の隙間から溢れ出してオーバーフロウ状態になっている。


ぶっちゃけてしまえば、この世界は1と0、ONとOFF、ただそれだけだ。
ただそれだけのものだが、悪いことに使えば犯罪、それを防止するために使えばセキュリティとなる。
白になるか、黒になるか。力を持つことはそれを選択する事でもある。
そんな極めてシンプルな事を、濃密な人間模様で伝えてくるのがこの物語だ。

サクの純真無垢にテクノロジーを追い求める姿に惹かれるショウも、徐々に彼の想像を絶する領域にまで踏み込んだ哲学に理解が追い付かなくなり、遂に事件が。

そんな事件を取り囲む多彩なキャラたちもこの作品の見どころ。
ショウには呪文にしか聞こえないような独り言を繰りだすヲタク技術者。
頭のイカれた(ように見えるが腕は確かな)ヤブ医者。
どう考えてもヤバそうな連中と渡り合ってるとしか思えない情報屋。
仮面をつけた車椅子の謎女性やら自衛隊まで飛び出す始末。
彼らの繰り広げる、手に汗握る格闘シーンや銃撃シーンに、ハリウッドも真っ青。

かと… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

 この物語はサイバーセキュリティーを題材にして募集されるコンテストという入り口から執筆されている。僕はIT業界のことについては門外漢ということもあり、この物語を読んで楽しめるかどうかが、初めは不安だった。

 読み進めるにつれてその不安が杞憂であったことにすぐ気がついた。話を楽しむ肝となるサイバーセキュリティーに関連する用語や、それらが何を目的に仕組まれて、何を成すから怖いのかを、本文では噛み砕いてわかりやすく説いている。

 この『何かが目的で仕掛けられた』ものからの解決を『わかりやすく説く』ことが、主人公たちの行動に沿っているため、読み進める楽しみも合わさり、とにかくストレスなく世界の空気に慣れることができました。

 話の起点から着地点にかけて、心惑えどもブレない書き方は、最終的に勝ちに行くファイターのそれに近いと感じます。さすが。

 セキュリティー問題にしろ、武術にしろ、それらをよくよく知ろうとするきっかけは、たいてい痛い目を見たときだったのを思い出しました。物語の内容になりますが、錬磨なキャラクターたちも最初は痛い目を見て今の姿になっていき、物語の中で各々が痛い目を見ながら解決策を模索、達成していく(いこうとする)流れは、そんな積み重ねを大事にする作者の姿勢がよく現われているのではないかと思いました。

 この物語の敷居は高くはありません。
 何かを為すために試行錯誤する戦う者たちの物語です。
 ジンジャーエールを友にしながらの一読をお勧めいたします!
 面白かった!

★★★ Excellent!!!

ハッカーによってもたらされた大災害の場面から話は始まります。
どうしてこなったのか、その経緯、背景を辿りながら目前の攻防へと歩んでいく。

面白おかしい要素を持った人たちと、渋い道を歩んでいく主人公。
技術者とその周りの人が持つ想い、葛藤、痛快さもしっかりとある物語。
胸が熱くなる場面多数、ポの字の場面も有り。

セキュリティの技術者ではないですがが、片隅の技術者としては震える事案。来ないと思いつつも、いつか来る脅威。いや、来ないでw

現実にある会社名、ソフトなどの名称が出ているのでそのまま使われているのでリアリティがあります。あ、悪い方向で出ているブランド名は無いですね。そこは架空の名称が使われているようです。

読んでいて面白く、勉強にもなりました。

専門用語はググってください。
もしくはそういうものがあるのだと思ってくれれば良いかと思います。分からなければ読めないというものでは無いと思います。

★★★ Excellent!!!

IT技術は急速に発達し、現代の社会を支える重大な基盤となっている。
そんな社会に生きながらも、恥ずかしながら私はITに関わる知識に疎い。
高度な専門用語が飛び交うその世界は、遥かな高次元に位置するものに感じられた。
この物語も、最初はそんな自分よりも遥か遠い世界の出来事を描いた物語なのだろうと思っていた。

しかし読み進めるごとに、気づく。
これは思っていたよりもずっとずっと近く――現在の私達が生きている世界そのものなのだと。
IT技術は高次元の技術などではなく、身近な生活に網の目の如く張り巡らされている。
この物語の登場人物達は、私達と同じくそんな世界に生きている。

ショウとサク――二人を中心とする登場人物達は、それぞれに高度な技能、知識、能力を持つ。
けれども彼らは、未知の技術を扱う超人などではない。その姿はどこまでも等身大で、息吹まで感じられそうなその描写は彼らが確かな血肉を持った人間であることを実感させてくれる。

この物語に、正義の味方だと完全も言い切れる存在はいない。
禍々しい企みをもった巨悪もいない。
ここに描かれているのは苦悩の末、なにか譲れぬもののために白――あるいは黒の帽子を取った人間の姿だ。
デジタルに彩られた彷徨の果て、固い絆で結ばれていたはずの二人はそれぞれ別の色の帽子をとる決意を下す。

この物語はわかりやすい説明やスリリングな展開を通じて、現在のネットワーク社会が実はとても危ういものであることを伝えている。
けれども、決してそれだけではない。

迷い、悩み、足掻き、それでもこのハイテク社会で情熱を燃やす人間たち。これはそんな不器用だけれども熱く、刺激的な人間達のほろ苦い生き様を描く――まさにジンジャーエールのような作品だと思う。

★★★ Excellent!!!

才覚ある人間の不器用な面の全てをサポートしてその才能を存分に揮わせる、そんな立ち位置の主人公を書かせたら梧桐さんは天下一だと思います!!!!
主人公ショウは、情報技術だけに無垢に生きるサクに心惹かれ、サクの力を発揮させることに自分の人生を賭ける。だがサクの哲学はショウの想像を超えていく……。そんな二人の関係性がとても好きでした。自分の理解を超えた生き方をするサクだから、ショウは心惹かれている。だからこその結末に胸打たれます。そしてサクも、自分の生き方を貫く一方で、ショウのことを認めていたんだなと。だから、受け入れたんだと私は思います。また、ショウの恋路もとても切なかった。子どもの顔を見てみたいと思いました。

★★★ Excellent!!!

サイバーセキュリティの世界にいた2人の男。時代、思想、信条、さまざまなものが絡み、2人は別々の道を歩む。主人公のショウが、誤った道へと向かうサクを追い、壮大な事件に巻き込まれていくストーリー。

叙情的な文も、軽妙なギャグもとても素敵だけど、自分には洋画を見ているようなセリフ回しと構成が一番ハマりました。ジョークも皮肉もどこかハリウッドのような、伏線の回収は脚本の妙味のような。読むと同時に脳内のスクリーンが鮮やかに彩られるでしょう。

人間味溢れるキャラクターも役者揃い。皆さん、この「読む劇場」をお見逃しなく!

★★ Very Good!!

決して読後感は良くありませんが、ストーリーは結構練られていて面白く読めました。
セキュリティに関しても、結構書けていると思いますし。
最後の最後、もう少し長くても良いんじゃないかなぁと思いましたけれど。

最後、職場が舞台になるとは思ってもいませんでした(^_^;)

★★★ Excellent!!!

専門知識やストーリーなど、サイバーセキュリティ小説としてのバランスや質、重量感が良くて、一気に読ませて頂きました。
伏線回収のシーンなどには目を瞠るものがあります。
登場人物たちも個性的で楽しいです。男二人の友情はもちろんですが、特に女性陣はその運命も含めて必見だと思いました。

★★★ Excellent!!!

SFだよ、SF!
え、これ現代ドラマなの?!
現代の科学ってここまで進んでるの?

っていうアナログ人間の私ですが、面白くて、グイグイと引き込まれます。
火炎瓶やゲバ棒は一切使わないハイテクテロは、もしかしたら明日起こるかもしれないという警鐘を鳴らすような作品です。

個人的には、アルトを主人公に据えたスピンオフとかも読んでみたいです。

★★★ Excellent!!!

本作は、サイバーセキュリティを題材に、現実のネットワーク社会への警鐘を鳴らす意欲作である。

それと同時に、一級のエンターテインメント作品としても成り立っている。

私はIT用語にはとんと疎い方だが、それでも彼らの扱う製品や現状がどういうものなのかは理解できたし、用語に馴染みがないからといって読むスピードを落とすこともなかった。
一方、この業界に詳しい人であれば、さらに一層この作品を楽しめたのだろうなと思うと少し悔しくもある。

主人公とその友人である天才プログラマーは、かつては共に育ち、共に夢を追っていた二人だったが、ある地点から別々の道を行くことになる。
彼らが再び対面したとき、彼らが被っていた帽子は一体何色だったのだろうか。
黒か白か。
私には、あそこまでのことを起こした彼でさえ、かぶっていたその帽子は白だったように思えてならない。

★★★ Excellent!!!

 サイバーセキュリティと聞いても、他人事でしかないくらい、わたしはITに縁遠いです。(実際、作中に出て来る専門用語のほとんど理解できてないです。たぶん)
 なので、IT技術で人が死ぬなんて、SF映画のスクリーンの向こう側ほど遠く離れた世界の出来事でした。

 プロローグを読み始めた時は、まさにテレビ画面の向こう側で遠く離れた台風のレポートを眺めているくらい、身近に感じることのない脅威でした。
 が、読み進めて引き込まれていくうちにどんどん肌で脅威を感じるくらい実際に起こりうるかもしれないことに、殴られるように気づかされました。

 ショウとサクの関係が、ケルト神話のクー・フーリンとフェルディアが蘇ったのではないかと胸が熱くなりました。
 そんな胸が熱くなるほどの人間ドラマは、専門用語が理解できなくても、普段日常生活で感じることのない、IT関係で奔走している人たちの息遣いすらも感じさせてくれました。

★★★ Excellent!!!

「さいばーせきゅりてぃってなぁに?」と口をポカンと開けちゃうITど素人の私。
そんな私でもハラハラしながら物語の縦糸を楽しめちゃう巧みな筆致と、ラクシュかわいい最高・ハサウェイったらイケおじたまらん、と楽しくキャラ読みできちゃう味わい深い登場人物たちの横糸。

織りあがった物語はまさに極上のエンターテイメントです。
「サイバーセキュリティ」なんてよく分からんという方にもおススメしたい一作。素敵な時間を味わえますよ!



★★★ Excellent!!!

素晴らしいの一言。

本作はサイバーセキュリティという、作者の知識量の誤魔化しが全く効かない領分を扱った作品であり、例え豊富な知識を有していたとしても、その専門的な知識や用語を読者に理解出来るよう、リアリティある描写で伝えきるのは至難かと思います。

本作は、サイバーセキリュティ小説という難しいジャンルに求められるそれらの要求をほぼ完璧に満たしつつ、エンターテイメント小説としてのハッタリや演出。創作ならではの遊び心なども随所に取り入れた非常にハイレベルな作品です。

作品の中身に言及させて頂くと、ハードな世界観と展開というメインの柱に、人と人との繋がりや絆といったものがまるで呪縛のように絡みつく、ドライとウェットの見事なバランス感覚が凄まじい中毒性を発揮しています。

掴みから面白い!と思いましたが、後半になるにつれどんどんと先が気になり、読みたくなり、もっともっとと続きを求めてしまいました。

本作はより多くの人に読まれるべき作品だと断言できます。
攻殻機動隊やアキラで育った今の30代、40代には勿論、中高生くらいの若い世代に対しても明確な訴求力があると感じました。

最後に、本作を通して素晴らしい時間を頂戴したこと、心から感謝します。ありがとうございました。

★★★ Excellent!!!

セキュリティセキュリティと世界がオウム返しのように叫ぶその理由。
そしてその意識が個人単位で極めて低い日本を始めとする諸外国。

未遂ではあるものの、既にプロローグのような事件が起きる程のクラッキングは何度も発生している世界に私達は住んでいる。
その事を常に認識し、どんな企業であっても小さな個人でも、オンラインである限り、どれ程の危険と脅威が待っているかを認識するために読んでいただきたい。

インターネットはかつて弱い一個人が大企業を、権力者を告発出来るという力をもたらした。
しかし今はもうネットに情報の殆どが集約し、ネットワークに移行出来うる物はすべてされてしまった。
セキュリティを軽んじ、それを突破されれば、誰しも財産はおろか生命すら侵される。
ネット越しに人は殺せるどころか、殺戮できてしまう。
今はただ、それを実行する化け物がいないだけであるという警告をこの物語から強く感じた。

インターネットを活用する誰にでも知ってもらいたい。
この物語に出てくる専門用語はそれほど分からなくてもいい。
ただ、この恐怖は起こりうる事を強く認識して欲しい。

★★★ Excellent!!!

サイバーセキュリティは確かに面白いネタだ。現代よりはもうちょっと技術的、SFよりはもうちょっとリアル。

その一方で、サイバーを扱うにはその匙加減が大変に難しい。
あまりにも簡略化しすぎてもリアリティが薄れるし、かといって詳細に書き過ぎても一般向けでなくなってしまう。加えて一口にサイバーだとかITだとか言っても、実際のところはとてつもなく広い範囲におよぶ。下手に取り扱えば本職の技術者から「いやそれは流石におかしい」とツッコまれかねない。

しかしながらこの小説はその問題を絶妙な配合で取り扱っている。
前半部分では一話ごとにすでに実現されているITガジェットが一つは登場する。連載中は一話読み終わる度にそれらを検索して「ははぁ、こんなものが世の中にはあるのか」と時代の流れ、最先端の技術を感じたものだ。しかもそのうちのいくつかはクライマックスへの伏線にもなっている。
いわゆるサイバー攻撃の場面については、簡単すぎずしかし難しい領域に踏み込むことなく描かれている(多分)。この配分は至極適切なものだと思うし、私自身も「ここはこの程度の描写で十分なのだ」と気づかされた。もちろん前提知識が豊富になければ取捨選択はできないことだが、悪しきハッカーがどのように他者を攻撃するか、その技術的背景は物語を進めるうえで重要ではないのだ。

というのも、どんな技術も道具も結局はそれらを扱う人間次第で善にも悪にもなる。
前置きが長くなったが、本作はつまりそういう話だ。

そもそもなぜサイバーセキュリティは必要なのだろうか。
それは必ずしも技術が有益な目的だけに利用されるわけではないからだ。いつだって必ず、それを悪用する人間は存在する。

ゆえに作中でも触れられるしタイトルにもなっているが、「どちらの色の帽子を取るか」というのはサイバー技術者に限らず、例えば格闘家であっても、常に心すべき問いかけだ。特殊… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

IT技術により、東京が天災に近いダメージを負い、人が死ぬ。
そんな危機的状況を、近未来でもSFでもなく、今ある技術で描くという衝撃的な作品です。

コンサルとIT技術に長けた二人の若者が主人公と聞けば、シリコンバレーで成りあがったようなベンチャーの物語かなと思い浮かべますが、彼らはその先にある、ホワイトハットかブラックハットかの決断に迫られます。

それぞれが考え、選択した結末は、悲しくもあり、爽やかでもあり。
作中で登場する、辛味が強い炭酸飲料であるジンジャーエールのような読後感をいただきました。

★★★ Excellent!!!

夢と理想から始まったショウとサクの物語。
同じ道を歩んで来たつもりが、気づけば真逆の道を選んでいる。
見つめる対象がほんの少し違うだけでその角度は開いていく。

様々な要因によって無数に枝分かれする人生における選択。

正義か悪か、現実か理想か、友か愛か、そして意地か矜持か。
これは彼らだけでなく、いつの時代を生きる人々にも訪れるものである。

さて、何かを変える力を得た時に、果たして自分は何色の帽子を選び取る事ができるだろうか。

★★★ Excellent!!!

※ネタバレ注意!※

近年のIT技術やAIなどの発達はめざましく、数年先ですら私たちの生活がどう変化しているのかちょっと予想できないぐらいです。

そんなめまぐるしい変化、技術の発達は、私たちに恩恵を授けてくれますが、もしも悪意ある人間がその技術を恐ろしいことに使ってしまったら……どうなるでしょうか。
この小説は、そんな恐怖が最悪なかたちで実現してしまう物語です。
実際に悪質なハッカーによる被害は現実世界でも出ていますし、AIを搭載したロボットを軍事利用しようとしている国々もあります。

技術は本当に人を幸せにしてくれる道具なのか。

答えはNOであり、YESでもある。どちらでもあり得る。だからこそ、私たちはYESとなる選択をつかむ必要がある。
私は、この物語を最後まで読んでそう思いました。

人間には技術を使ってたくさんの未来を創り出す力がある。その可能性を持っている。ただ、進むべき道を踏み外してしまうと、技術は誰かを不幸にする凶器と化してしまう。大切だった人間すら傷つけてしまう。

だからこそ、明確な意志を持って、
「自分は未来を創り、人の役に立てる人間になる」
という生き方を選び、道を踏み外さないようにしなければいけないのでしょう。そして、次の世代へとその意志を受け継がせていかなければならないのだと思います。
作中でハサウェイという人物が「黒の帽子を取るな。白の帽子を取れ」と主人公たちに告げますが、私は彼の言葉をそう解釈しました。

主人公の二人は、最終的に袂を分かち、それぞれが別の「帽子」を取ります。
ずっと同じ道を歩いて来たはずの親友だったのに、彼らにはどんな違いがあったのか。これは私の勝手な考えなのですが、

一人の男は、愛する女と共に生きようとし、未来を望んだ。
一人の男は、愛する女への感情を押し殺し、破滅を望んだ。

……ということだったのかも知れません。… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

サイバーセキュリティコンテスト参加作品の本作。
それなのに「その色の帽子をとれ」というタイトルはどういうことなのか?
この興味から、本作への没入は始まることになる。

同じものを目指していたはずの二人の男が、いつか道を違え、そしてその先で対峙する……
香港映画の傑作「男たちの挽歌」を例に出したが、こうしたプロットが人気が高いのは、それが現実の世界でも多くの悲喜劇を生み出すシチュエーションだからだろう。

それは男のロマンなどという陳腐な話だけにとどまらない、人間が協力しあい、ぶつかり合いながら文明を作り上げていくプロセスが描かれているのだと思う。


そもそも、技術者というのは多分にロマンチストだ。
夢想を現実にすることこそが仕事なのだから、それは当たり前かもしれない。

「その色の帽子をとれ」……内容を読めばわかるが、サイバーセキュリティコンテスト作品としては多分に叙情的なタイトルとテーマが、そしてエンジニアのロマンが、そのロマンを追い、人間が文明を作り上げていくプロセスが、描かれている。普遍的なテーマを持った傑作だと思う。


作者は格闘小説を多く手がける作家として、カクヨムでは知られている。
しかし、現実のセキュリティエンジニアリング、そしてその周辺を取り巻くビジネスとカルチャーを精細に描き、ガジェットをもあちこちに配置した本作のディテールは白眉。これは素人が取材したレベルでは書けない。

そのディテールの中で活躍する、男たちの叙情は、それこそこの作者の独壇場。真の意味で、この人にしか書けない作品。

ヒロインとの関係性や、脇を固める登場人物たち、彼らとのやり取りもカッコいいし、そして毎話の最後には必ず、何かが込み上げてグッとくる。

今、2018年という時代に読むべき作品のひとつだと思う。




やー面白かった!!