迫力のサイバーセキュリティ小説

読み始めると、いきなり東京が大惨事! 序盤から引き込まれます。
サイバーセキュリティというと、せいぜいが情報流出ぐらいだと思いがち。
しかし、すでに世の中は多くの物事がコンピューター制御されていて、それを悪用すれば人命を奪うことも可能。本作はそういった事実を改めて突き付けてくる。

作者さまは実際に業界の人らしく、用語・描写は細かく本格的。
しかし、読者の側には知識がなくても大丈夫。
「何がどうすごいのか」は分からなくても、「何となくすごい」とは分かる。
これは高い筆力があるからこそでしょう。

そして、個人的に推したいのがタイトルセンスの良さ
『その色の帽子を取れ』
カタカナも入ってないし、一見するとサイバーセキュリティ小説とは思えない?
しかし、作中でも説明されますが、まさにぴったりなタイトルのです
詩情と風格があり、語感も良く、作品の内容も適切に表していて見事すぎる
これだけ素晴らしいタイトルを付けられるセンスの良さがあるのだから
内容も当然ながら素晴らしい高品質

非常に完成度の高い現代ドラマです

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