春頃にアメリカ国防省がUFO関連の情報を開示すると言い出してから、世界中の人々が期待で胸を膨らませていたと思う。
断片的に流れるネットニュースによると、「宇宙人の乗り物なのか、分からん」みたいな肩透かしの内容が大半みたいだ。まぁ、分からんからこそ未確認飛行物体って言うんだものね。
そんな御時世にたまたま本作品を読んだ。中年や老人を相手にした作品ではなく、中学生を対象にした作品だと思う。
これまで名月明さんの作品については、硬派な作品ばかりを読んでいたので、ちょっと意外に感じた。
でも、転生物に代表される一般的なファンタジー物よりは相当にシッカリしている。
文字数の割にハイスピードで読み進められるので、気分転換に一読されては如何だろうか。
ロズウェルという題名だけで、もうこれは「エイリアンものだな」と判る明快さ。
日本から移住したあどけない女の子が、地元の悪ガキ(でもないけど奇矯な趣向の子供たちには違いない)と手を組んで、宇宙人探しに奔走するお話です。
かつてこの地に墜落したという宇宙船のカケラを発見したことから、あれよあれよと子供たちはエイリアンの戦争に巻き込まれそうになり……!?
後半、主役の女の子がなぜこの地へ惹かれるように引っ越したのか、宇宙人の謎とともに明かされる辺りから急展開。一気に物語へ没頭しました。
ロズウェルの宇宙人騒動はあまりにも有名で、数々のSF小説が書かれています。
しかし、いかんせん昔のことなので、ラノベ世代の若者や子供たちには馴染みのない「未知の題材」ですよね。
古いネタを新鮮に書き綴った本作こそ、次世代に向けたセンスオブワンダーと言えるでしょう。
日本からアメリカへやって来た女の子が、身近な人々と協力しながらUFOや宇宙人を巡る冒険に巻き込まれていく児童小説です。
普段ほとんど子供向けの小説は読まないので、現在どういった内容の作品が主に小学生ぐらいの年齢層に好まれているかわからないのですが、個人的にこのお話は「もし自分が子供だったら、夢中になってしまうだろうなあ」と率直に感じました。
冒頭から息つく間もなく発生する事件、次々に登場する個性的なキャラクターたち、ある種の宝探し的な探検、手強い敵役との戦い……
そうした要素にアメリカという大きな土地と、軍や政府機関、さらに地球外生命体の組織までも加わって、とても壮大なスケールでストーリーが展開します。
自分に自信の持てない小学生の主人公が、こんな信じられない冒険に遭遇してしまうだなんて!
物語後半の伏線回収も巧みで、大人の私ですが大変楽しませて頂きました。