手に汗握るサイバー・アポカリプス(電脳黙示録)

サイバー犯罪の被害といえば仮想通貨や個人情報の流出など、財産や社会的な物を喪失する「こりゃ笑えねえw」な客観的なイメージだが、本作ではプログラムが日常環境から人々を壊滅状況に追いやる「これは笑えない……」と身近な危機で提示してくれるとともに、ネットの噂話や物語の枠に留まらないそう遠くはない近未来でもあり現代を感じさせる。専門用語が多く見られるも、知識不要で読者に凄さと緊迫を伝える作者の技術力にも注目である。本当は★3の価値があるのだが、ここはあえて幅広い読者層の立ち位置(そんな資格はないが)で★2とする。概ね万人向けの作品だが、“物語の規模と重さ”に耐えられるかを残りの★1として、価値を他の読者に判断してもらいたい。

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