未来、現在進行形、思い出の振り返り、それぞれの時間軸で三度楽しめた。読み手の想像力を幅広く補完してくれる汎用性ある設定と構成を感じさせる。言い方を変えれば、プロローグ、短編(本編)、エピローグと様々な形を彩った季節の香りする兄妹の小旅行譚です。
どこか退廃した空気を感じさせる世界。 しかし、その世界観を伝える文章は短く切り取られており、この短い文章で世界観を伝える手腕のたしかさ。 プロフィールにも書かれている通り『幻想的な風景をより「音」の形に昇華させる』という、法を実現しようという、作者の野心が垣間見える作品である。
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