光と影という対照的な具体名詞が効果的に用いられており、自分自身の心情とも重ねながら物語に引き込まれていきました。
光にも影にもそれぞれに宿る「五つの力」の描写も細やかで、読み返してみると序盤の何気ない描写が終盤の展開に繋がっていることに気づき、まるで複雑なパズルがぴたりとはまっていくような快感がありました。
"勇気とは、恐れないことではなく、恐れてもなお懲りずに立ち向かう力だ"という言葉は、今の自分の心に深く響き、そっと背中を押してくれるようでした。
また、よくある“四天王”ではなく、なぜ“五人目”が必要で、それが何故最後に登場したのか少し分かった気がします。
普段は信じ難い目に見えない存在が、実はもっとも身近で大切な“魔力”なのかもしれません。
素敵なお話に出会えて良かったです。
少しずつ読むつもりが、スクロールする手が止まりませんでした。
ラノベファンタジーには珍しい、丁寧な描写と洗練された文体に、普段こういうジャンルを避けていた私も引き込まれました。
ファンタジーだとどうしても説明的になりやすいのですが、心理描写、情景描写、魔法の説明がとてもいいバランスで書かれているなと感じました。魔法理論の説明は非常によく練られていて、読んでいてすごく楽しかったです。
内容は、緊迫したシーンとクスッと笑えるシーンの割合もタイミングがよく、飽きずに読ませる実力があります。
登場人物達の個性や性格、そして欠点すらも愛おしく感じ、ポンコツと言われている千秋の持っているものとのギャップや、茜ちゃんの並外れた知力など、全てが魅力的でした。
第2章の時点でこんなにボリュームがあるのに、中だるみもなく、ストーリーの矛盾もないので、構成力も桁外れだと感じました。
続きがすごく楽しみです。ストーリーが一区切りつき、今度はどんな展開で魅了するのが、期待しかありません。