起こるべくして起きた『愛の奇跡』

ヴィクターは、お屋敷のお嬢様に思いを寄せる庭師見習いの少年。お嬢様によく思ってもらおうと奮闘する姿は、空回りしているようでしんどくもあります。
そんな彼がハクビシンを追い払いヒヤシンスを助けたときのも、そんな日々の何気ない一幕だったはずです。ヴィクターが助けたヒヤシンスだという少女が現れなければ。
ラエラと名付けたヒヤシンスの彼女のおかげで、孤独で愛に飢えていた少年の運命が大きく変わります。いえ、二人で変えていったと言ってもいいかもしれません。
きっと、この出会いの日のことを、二人はいつまでも折に触れて語り合う気がします。

『愛の奇跡』とは、陳腐で滑稽に聞こえることも少なくないですが、これは間違いなく二人が起こした『愛の奇跡』です。
読み終わる頃には、花々に囲まれた素敵な庭の陽だまりの中にいるヴィクターとラエラの幸せな姿が目に浮かぶことでしょう。
素敵なちょっぴり大人の愛のおとぎ話、ぜひぜひ!!