君の声が囁いている

作者 赤坂 パトリシア

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★★★ Excellent!!!

 合成音声を題材にした作品で、非常によくまとまったそんなに遠くない未来にありうるかもしれないお話。現実と地続きなエンドがなかなかの後味を遺してくれました。

 私はある種、“死んだあとHDDの中身を他人に見られても構わない”ような外れた人間なのですが、それでも共感や同情してしまう普遍的なものがこの作品にはあります。大切なものの保管場所のような、心の在処のような、そんな情緒に問いかける素敵なお話でした。興味がありましたら、ぜひご一読ください。

★★★ Excellent!!!

なんか海外物の翻訳っぽいなーと思って読んでましたが、ブラッドベリ的な文体にちょこっと藤子不二雄的な皮肉も効いていてクスッとしてしまいました。
アイルランド絡みのディティールも作品の彩りとして良かったです。こんなのがたくさん入ってる赤坂短編集が書店に並ぶ日をお待ちしてますね!

★★★ Excellent!!!

男性が女性を愛する時に、もっとも重要なのはその人の「声」である、という主張も一部にはあります。
そうでなくても、愛する人の声というのは誰かにとって特別なものでしょう。
それが、自分だけのものでなくなったら――


作中ではその社会的文明的な意味について深く語られてはいませんが、合成音声「コニー」は確かに世界に福音をもたらしたはず。しかしその裏で犠牲になった「何か」――歴史の中に埋もれた個人の機微を描くSF作品として、そしてSFという枠を超えて訴えかける深遠なテーマ。

普及すればするほど、その絶望は大きくなり、それが「ある一点」を超えることで決定的になる。
これはあらゆる文明、あらゆる技術へのメタファーであるとも感じられます。


アイザック・アシモフの作品に哀愁をプラスしたような、流麗な文章と人の心に迫る怖さ、深遠なテーマを扱った素晴らしい作品でした。脱帽です。

★★★ Excellent!!!

美しい文体で語られる、とても哀しい物語。
「声」は、いったい誰のものなのか。
本人が亡くなった後も、その使用権は本人に帰属するのか。
遺族に、その「声」を取り戻す「権利」はないのか。

すみません。ずいぶん前に読んだのに、いろいろと考えすぎてしまって上手くレビューを書く自信がなく今まできてしまいました。

この物語が示唆するのは、これから起こりうる重大な問題の一側面だと思いました。今はまだあまり顕在化はしていませんが。
技術の進歩により写真で故人の姿が残せるようになりそれなりの年月はたちました。声も、もう何十年も前から録音技術があります。
でもそれらは、あくまで故人が残したものを見たり聞いたりするだけでオリジナルを改変するものではありませんでした。

でも、この作中に語られる世界……いえ現代もすでに起こっていることですが、故人が残したものを後世の者が改変を加え好きに活用することができるようになってしまいます。

それがいざ問題になったとき、故人の財産を相続人が相続するように、故人の元データを相続人が相続しそれを活用する権利を持つのか。それともそれは、一身専属上のもので死後改変することは許されないのか。逆になんの制限もなく契約上の規定に従って改変できてしまうのか。

今後、科学技術が今よりも発達すると、声だけじゃなく映像を三次元にとって本人の思考パターンに沿って自由にしゃべらせ行動し、まるで故人が生存しているかのように一緒に暮らせるようになるかもしれません。そうなったとき、その時代の人たちはこれを法的にどう許容し、制限し、解釈していくのか。

そんな先のことまで考えを巡らせてしまう……そんな示唆に富んだ作品だと思います。

この声の主の女性は、まさかそのバイト行為が、後々夫をそこまで苦しめるなんて考えてみなかったことでしょう。

この物語に語られる未来は、ほんの少し先の未来… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

この物語を読んだ時に僕は「スーザン・ベネット」の事を思い出しました。
スーザンはiPhone等Apple製品に組み込まれているAIアシスタント「Siri」の声を担当されたアメリカ人女性です。

現在、様々なIT企業が開発を進めるAIアシスタント、Appleの「Siri」、Googleの「Google Assistant」、Amazonの「Alexa」等々。
それらは「声」によって人の行動をサポートします。
そういった、機械に組み込まれた「声」が人をサポートし始めるようになった最初のケースと言われているのは、
1970年代半ばに導入されたATMの「ティリー」(銀行員=テラーをもじった名前)で、
ティリーは無機質な機械(ATM)を人々が拒絶しないよう短い歌を歌ったそうです。

それから時代は進み自動車に取り付けられたカーナビが人々をサポートし、
スマートフォンが今日の天気やメールの内容を読み上げてくれる時代になりました。
余談ですが、自動運転車を開発しているテスラモーターズのイーロン・マスクはAIの開発に規制を設ける事を推奨していて、
AI制御されたロボットたちがターミネーターの「スカイネット」のように人間に対して戦争を仕掛け終焉をもたらすだろう」と警告しています。

スーザン・ベネットの死後も彼女の「声」は世界の人々をサポートするでしょう。
現在、僕達が暮らしている時代は、まさに「ユートピア」と「ディストピア」への岐路の時代なのかもしれません。

この物語はそんな僕達が暮らす時代よりほんの少し未来の「コンスタンス」と「コニー(声)」、そして彼女たちのパートナーの物語です。
少しずつ僕達の生活に慣れ親しんでいくAI(人工知能)とその肌とも言える「声」の物語。
この物語を読んだ後に聴くSiriの「声」はどんな声ですか?




追記:「ティリー」に組み込まれた、短い歌を歌う声の… 続きを読む

★★ Very Good!!

板野さんがSF競作として宣伝されていたので興味を持って拝読しました。

合成音声のモデルとなった今は亡き女性の元夫による述懐。
という掌編として捉えれば、話の筋は通っていて面白いのですが……。

「SF」として見ると、うーん、と首をかしげる部分もあります。

何が「うーん」なのか、大きく二点にわけてご説明します。

一点目は、サイエンス・フィクションとして読者を納得させる理屈付けの欠落です。
個人の肉声をもとにした合成音声というのは、恐らくボーカロイドあたりから着想を得たのではないかと思いますが。
しかし、なぜ、声優や芸能人でもなく、地方訛りもある一般人の声が、全世界で使用する合成音声のモデルとなりえたのか?
読者が当然抱くであろうその疑問について、作中にエクスキューズがありません。

SFとは技術史です。作中に出てくるサイエンス要素については納得のいく説明が必要です。
現代人の目から見て不可思議に思えるモノであればあるほど、なぜその世界でそれが受け入れられるに至ったのか、読者を唸らせる説明が作者には求められるんですね。
その点、この作品では、物語の根幹であるはずの「コニーという個人の声が全世界の自動音声のスタンダードとなった」という出来事に筋を通す説明が欠落しており、「作者がそう決めたからそうなのだ」としか受け取れない内容になっています。
これでは、何歩か譲って「すこしふしぎ」なショートショートとしては成立の余地があるとしても、「サイエンス・フィクション」にはならないんです。

二点目は、話のスケールの小ささ、そしてそれに起因する「問題提起の欠落」です。
作中、コニーの声が世界に溢れることを悲観的に受け止める者が元夫しかおらず、世界の話ではなく彼個人の話になっています。
小説として間違いではありませんが、SFとしては決して面白くはない構成です。
良質のSFとは、作中で描… 続きを読む

★★ Very Good!!

空港で相席した男同士のちょっとした昔話なのですが、これが大変哀愁を誘います。

『コニー』という名の音声合成マシンが英語圏で大流行した未来の世界。
若者にわかりやすく言うならば、ヤマハの『初音ミク』が至る所で活躍している世界と言えばよいだろうか?
しかし、音声合成システムも元になる音声サンプルが必要だ。
そしてコニーの音声サンプルになったのが、昔話をする男の亡き妻である。
彼は苦しんでいた。妻の声が、とある物に使われていることに……。
何に使われているかは本編をご確認ください。考えさせられる一作です。

★★★ Excellent!!!

自動音声は現代にもありますが、それが声だけでなく体を持ってしまったら、というお話。

きっと彼は想像を絶する思いで、彼女の声を聞いているのだろうと思うと、切なくも、暖かい気持ちになりました。

近い未来、現実的にありそうでなさそうなSF物語。

堪能させて頂きました、ありがとうございます。

★★★ Excellent!!!

「死んでもなお遺されるものがあるから、遺族は前に進める」

感動の物語でよくあるシチュエーションですが、この話は真逆でした。
果たしてその声は誰のものなのか。
本人の手を離れた声と言う存在が日常の中でどこでもついて回って来るのは心が抉られる思いかもしれません。
近い将来、実際にあるかもしれない恐怖を見せてもらいました。

★★★ Excellent!!!

主人公が空港で相席になったのは、妻を失った男性。
フライトを待つ間、彼が語ったのは、彼と妻との小さな秘密だった。

SFというジャンルながら、リアリティある筆致が、私たちに警鐘を鳴らしているようにも思えた。
案外こうなる未来は近いのかもしれない、と。

★★★ Excellent!!!

初音ミクなどの人気ボーカロイドにも、声の提供者がいて、
彼女たちはしばしばボカロイベントに出演するらしい。
「ミクさんから仕事をもらっている」人が声優であることを、
私はボカロファンの知人から教わるまで知らなかった。

ボカロ楽曲には、生身の歌手には歌わせられないくらい
インモラルでセクシュアルで頽廃的、犯罪的なものも多い。
どんな楽曲を書こうと作詞曲者の表現の自由であり、
人間相手ではないから制限を受けずに済むのだ、と。

「中の人」が何を感じようと、「コンテンツ」に感情はない。
「中の人」にも「コンテンツ」にも否と口にする権利はない。
鈍感な社会は、傷付いた小さな個人を平然として押し潰す。
新たに現れる便利なモノから、一定数の人は突き放される。

世界最初のヒト由来の細胞株、ヒーラ細胞の話を思い出した。
患者本人や遺族のインフォームドコンセントが曖昧なまま、
ヒーラ細胞は本人の死後も増殖と使用が続けられている。
医学への貢献は非常に大きいが、倫理問題はどうなのか。

私たちの知らないうちに、社会の陰に押し込められながら、
「コニーの夫」はひっそり増えているのかもしれない。

★★★ Excellent!!!

自動音声。機械的でどこか無機質な印象を覚える声。
でも、生成されたその声は、どこかの血のある誰かのものである。
あたりまえのことだ。

大多数のユーザーは、元の音声の主の事情なんて知らない。
あぁ、未来にこんなにも胸を。心を締め付けることが起きるかもしれないのか。

声の提供者。彼女の、彼の意思を無視した声があちこちで聞こえる。
もう会えない、聞けないはずの声をもう一度聞ける……言葉にすると、何となくステキなことのように感じる。

ただ、彼女の『言葉』でない。
『声』だけがあのような使われ方をしていったら……

胸から込み上げた何かが、喉に纏わりつく。そんな気がしました。

★★★ Excellent!!!

近未来、機械が発達して暮らしが便利になった事に、人の精神は追い付けるのか……という話であると、個人的に感じました。

面白かったです。笑えるとかでなく、深いなぁと感じたという意味でね。

他の方のレビューが多く出てるので、私は一言だけ。

彼は、精神を『追い付かせる』しか無いのですね。辛いけど、人なら皆、そういう未来も意識せねばならないのでしょうね。

彼にとっての遠い異国で、例えか細くとも新たな希望を紡いでいけるよう願います。

★★★ Excellent!!!

テクノロジーや言語学、法律に関する知識など、もう勉強になることばかりですが、ポイントを(図々しくも)指摘させて貰えるならば、登場人物の心の動きが普遍的なものを孕んでいる点ではないでしょうか。
物事は移ろい、何かが便利になると並行して、何かが失われていく……。

いま思ったことなのですが、万物流転とも言える思想が物語の骨子になっている気がして、だとすると、語り手の男性がアジア系の血を引くというのもディテールの固め方として考え抜かれた上でのことなのかもしれません。
いえ、これは、英国にどれくらい仏教的思想が根付いているのか知らない僕の当て推量なのですが。

とにかく、残酷にして哀切、しかし抑制の利いた文章により、余韻として人生の苦味を味わえる素晴らしい短編小説でした。
面白かったです。ごちそうさまでした!

★★★ Excellent!!!

近未来SFですが、ほぼ現在の私たちを取り巻く日常に潜む問題をついた作品と思います。

人工音声(実は、録音された個人の声を編集したもの)で、私が真っ先に思い浮かべたのは、世界的に有名な理論物理学者スティーヴン・ホーキング博士です。博士が筋萎縮性側索硬化症(ALS)によって言語を失った際、友人が人工音声発生装置を発明、提供しました。当時は画期的な発明でしたが、博士ご本人は「僕はイギリス人なのに、友人はアメリカ人なので、この機械はアメリカ訛りで喋るんだよ。そこだけは不満かな」と、冗談で仰っていました。
今、私たちは、その声で博士の講演を聴いています。博士の本来の声を知る術はありません。

病院の会計機械は、美しい女声で話してくれます。ある声優さんの声が、全国に普及しました。カーナビもいろんな声で話してくれますね。往年のアニメヒーローの声優さんだと漲ります。

でも、こうした『声』の商業利用に、あるべき制限が加えられていなかったら?

この作品は、ひと組の夫婦の不幸を通じて、そんな「有り得る恐怖」をみせてくれます。同時に、人の人格や尊厳とは何なのか……を、考えさせられました。

★★★ Excellent!!!

なんてワールドワイドな作品なんだ。
(↑と、翻訳しやすそうな文章を書いてみる)

先日、iOS11がリリースされた。
新しくSiriに実装されたのが翻訳機能。
されど、英語からフランス語、ドイツ語などに翻訳するだけで、日本語はまだ対応していない。

そしてこの作品を読んだ。

いや、震えた。
そして、なぜかSiriに少しだけ優しく話しかけたよ。

★★★ Excellent!!!

 愛しい人が亡くなった。
 その人の声が、どこに行っても溢れていて、それは自分の知っている彼女の声ではない。
 本作は当たり前に聞いている自動音声について考えさせられるお話でした。
 自動音声が氾濫する現在の姿を、違った形で提示してくれる優れた物語だと思います。

★★★ Excellent!!!

自分のモノが、大切な人のそれが、本人の意思と無関係に利用されたら……恐らく本人の望まないであろう形で利用されたら。
それが、本人やその人を大切に思う人にとって、耐え難い形で利用されたら。
近い将来、実際に起こり得るリアリティのある設定にドキッとさせられる。
自分がもしも彼の立場なら耐えられるだろうか……嫌だ、絶対無理!!!

★★★ Excellent!!!

 明日にも実現しそうな、「売られて」音声データベースに収録された誰かの声が、生活の中に満ち溢れる未来。

 その、本来人格とともに存在するはずの「声」が商品として切り離されたことで生まれた、悲劇というよりもっとひそやかで、耐え難い悲しみを描いた傑作だと思う。

 実際にはこんな商品が開発されることはない、と信じたい。ボーカロイドや「ゆっくり」の隆盛を踏まえればすでに合成音声はそれ自体のキャラクター性を獲得する段階まで来ていて、あえて法務上の困難で微妙な問題を生じる肉声を搭載する必然性は薄れていくから――そう、信じたいのだが。
 商品として差別化を志向したときに、企業があっさりとそのラインを踏み越えないとは言い切れない。

 そこの恐ろしさを、この作品はついている。


 価値観も慣習も目まぐるしく変わり、あるいは崩壊しあるいは新生する現代に、我々は生きている。それがほんの少し足を踏み外し――あるいは歯止めなく突き進めば、我々はいつかこのように、窮して売り渡したもののために、最もプライベートな記憶、追憶まで搾取される、そんな日を迎えてしまうかもしれない。

 次のドアの前に待ち構えるかもしれない近未来の、そんな悪夢との距離感を提示してみせる本作は、どこにいても同様のサービスが受けられるといった均質化した世界が、決してバラ色の居心地の良いものでないことも暗示して終わる。

 多様性、多層性が保たれなければ救われない物事がある。赤坂さんの真意は、そのあたりにあるような気がしてならない。

 

 

★★★ Excellent!!!

夫だった人物は愛が深かった故に、訪れてしまった妻の声だらけの世界に翻弄される。
いくら逃げても、きっとまた聞こえてくる。
耳を塞いでも。
科学は大多数の人を幸せにしつつ、ただ一人の男性を不幸にしてしまったのだろうかと、考えてしまう作品でした。

★★★ Excellent!!!

 言葉とは不思議なもので、意味とは別に音声によって拒否しようもなく湧き上がってくる感慨がある。作者の赤坂さんはイギリス在住の英語話者だが、かの国の言葉は出身階層、地域、歴史と個人史を言葉の中に容赦なく見せてくれる。発音そのものが個人史だ。
 私も英語圏の聖歌隊に所属したことがあるが1600年代のイギリス国教会の聖歌を1900年代のアメリカ南西部、2000年代のアイルランド。色んな留学先で身に着けた『英語』で歌われると、それはもう同じ言葉を歌っているとは思えないほど違うものなのだ。
 子音と母音。口腔の形と舌の位置。それだけの些細な違いから、音声に秘められた記憶がよみがえる。
 「コニー」がそっくり再現する「コンスタンス」との秘めた自分史の暴露に耐えられない夫は、コニーが使われる言語圏から逃れようとする。言葉は子音と母音で構成された音声であると同時に「息遣い」でもあるのだ。
 コニーの製品寿命は長いだろう。コンスタンスの記憶を持つ夫が亡くなった後、コンスタンスの声の記憶を持つ者が消えた後も、見知らぬ人のために奉仕し続ける。映像が伴わないのをまだよかったとすべきか、むしろ残酷なのか。それは東京に向かう若者にはまだわからないかもしれない。

「息」(プネウマpneuma)は生命原理の事を指す。
 品格ある文体の見事な短編。

★★★ Excellent!!!

本作を読み終わった際、ほぼ反射的に★3つを付けると同時に、数年前に話題になった「ペットのクローン」を扱ったビジネスの事を思い出した。
当時そのニュースを目にした私は、正体不明の恐怖を感じたものだったが、本作の読後感には同じような空恐ろしさが漂っている。

言葉というものは、発したその瞬間から移ろっていく。やがて意味を変え、あるいは失い、発せられたその時に持っていた確かなものは、思い出の中のものだけになっていく。
あまりにも儚い、刹那の存在だが、その時その時に輝くからこそ、尊く美しいものとして人の心に響く。

ではもし、言葉からその「刹那」が失われたなら、一体何が起こるのか?
改めて、言葉というものについて考えさせられた。

★★★ Excellent!!!

安心して読み進められる描写の先に、近未来だからこそ起こり得る、ある境遇に立たされてしまった彼を描いた少し切ないお話。

読みやすく、安定した描写に気が付けば読み切ってしまうほど。
だからといって決して軽くあっさりしているわけではなく、短いながらも、彼の置かれた状況はとてもリアルで。
身近に起こり得そうな出来事の先に、想いを馳せてしまう。
そんなお話です。

★★★ Excellent!!!

SFショートショートの様で、近未来を想像させる。言葉のつながりがきれいで引き込まれるように読みました。
空港で飛行機の待ち時間の間に出会った男性との会話。自動音声の素材となった人との話。
自分の声、身近な人の声がいろんな人に向けて再生されている。喜ぶ人もいるかもしれないが、慣れない人も多いだろう。この男性は拒否はしないにしても距離を置いて、冷静に見ていたのだと思います。それでも耐えられないものもあった。
最後の「変化」という言葉が何を指すのか、特定の者ではないにしても先の男性の平穏を祈ります。

ちょっと書き過ぎたかも。
できれば続きを……(笑