声が、ただ声だけが聞こえる。

自動音声。機械的でどこか無機質な印象を覚える声。
でも、生成されたその声は、どこかの血のある誰かのものである。
あたりまえのことだ。

大多数のユーザーは、元の音声の主の事情なんて知らない。
あぁ、未来にこんなにも胸を。心を締め付けることが起きるかもしれないのか。

声の提供者。彼女の、彼の意思を無視した声があちこちで聞こえる。
もう会えない、聞けないはずの声をもう一度聞ける……言葉にすると、何となくステキなことのように感じる。

ただ、彼女の『言葉』でない。
『声』だけがあのような使われ方をしていったら……

胸から込み上げた何かが、喉に纏わりつく。そんな気がしました。

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