かくいう私も読んでませんでした。作者の代表作になっているのに!
え、エロコメ? ぐらいにしか思えないでしょうよ、このタイトル! こちとら中学生じゃあるまいし、そんなタイトルに釣られないもんね!
……浅はかでした。読み始めたら、実にいい感じで絶対に恋愛に発展しそうもない男女ふたりがくんずほぐれつしてるくせまったくエロいことにならなくて、ホンワカあり、笑いあり、しんみりありと、これは小説の宝石箱や〜! とわりと冗談抜きで叫びたくなるような作品でした。
シリアスな内容をシリアスに書くのもいいでしょう。逆に笑えるものを細やかなギャグやパロディで彩るのもいいでしょう。けれど、シリアスな核の部分は奥に秘めたまま、ニヤニヤして読まされてるうちに、どこか問われてるような気持になるのではないでしょうか?
あなたは、ちゃんとあなたとして、相手のありのままを見ることができている? と。
しかし冒頭でも書きましたが、とにかくタイトルがあかん! これじゃ潜在的読者も近寄ってこない!
もうタイトル募集します!(作者の了承は得ていません。だっていっとき「タタヌレ」だかなんだかにしちゃうような作者ですよ? 悲しいかな、神は二物を与えなかった、オーマイガッ!)
私は『シュレディンガーな男女』か『同居物語』(新井素子的な感じで)がいいかと思うんですが……え、おまえがタイトルのセンスを云々いうな?
失礼しました!
さあ読め!
いいから読め!
さらば与えられん、幸せな時間を!
ひょんなことから意気投合して、一つ屋根の下に暮らすこととなった男と女。しかし二人の間に色っぽいやりとりは皆無。
なぜなら男はゲイであり、女はレズビアン。互いの身体に全く興味がなく、それでいて恋愛や対人関係における「普通とは違う」悩みや感覚を共有できる間柄なのです。
それぞれに片想いの相手(同性)がいて、それぞれに浮いたり沈んだり。
だけど家に帰れば、何も取り繕うことなくフラットに接することのできる同居人がいる。この関係性に安心感と信頼感があり、非常に心地よく読み進められました。
脇を固める同僚やお年寄りたちのキャラも立っていて、血の通った人生模様を感じます。
人の数だけ、それぞれの「真っ直ぐ」がある。何かの型に嵌るようなものばかりでなく、誰しもが何かしら歪なものを抱えているのかもしれません。
ゆえに、自然体でただ寄り添い合える渚と夏希の関係性を、とても尊く感じました。
じわっと心に沁みるシーンがあったかと思えば、突然プロレスが始まるなど、展開の緩急も見事。
二人のやりとりが本当に楽しく、永遠に見ていたいと思えるほどで、読み終えるのがすごく惜しかったです。
素晴らしい作品でした。多くの方におすすめしたいです!
輸入車ブローカーの渚と、OLの夏希。ひょんなことから同居することになった二人の男女は、それぞれ想いを寄せる人が別にいます。
けれど、恋愛対象が同性である二人の恋路は、ちょっとドキッとするタイトルから伝わるように、一筋縄ではいかなくて……。
多くの人たちの考える「普通」が、自分の考える「普通」にそぐわないとき。孤独に打ちひしがれずに、呼吸を続けていられるのは、痛みを分かち合える存在がそばにいるから。そう思わせてくれる信頼感と安らぎが、渚と夏希のフラットでありつつ情に厚い関係を通して、物語から穏やかに伝わってきます。
男女ではなく、人と人が、居心地の良い関係を築き上げていくヒューマンドラマ。優しい読後感のお話でした。おすすめです。
難しい話ではありませんでした。重くなりそうな話になるとプロレス技で息抜きさせてくれます。
最近はグルメ描写に力を入れた作品が多いようですが、この作品ではひと味違いました。お裾分けのカボチャの煮付け、いただきモノのアジの干物、婆ちゃんの作った野菜等のより美味しくて心温たまるものが登場します。
他に 爺さんの遺品のバイクをレストアするのも泣かせます。しかも 車検ばかりかお悩み相談までできる工場も面白いです。
これらはあくまで人と人との付き合いで味が出るもので筆者の技巧に舌を巻かざるを得ません
完結はしているものの続編が気になる作品です
ごめんなさい本文が書き込めてなかったです
インパクトのあるタイトルですが、エロいお話ではなく、とてもほのぼのとした日常系のお話です。
ただ、多くの人にとっての「常識」と違うところがあります。
出会って意気投合した男女が同居するという話なのですが、男はゲイで女はレズビアン。
ん?最近そういうのよく聞くよ?
などと思う人でも、ゲイの男は男と、レズビアンの女は女と、「カップル」として一緒に暮らすのが「普通」だと思ったりしませんか?
このお話はおそらく、そうした二重のステレオタイプをひっくり返すものです。
と言っても、虐げられたマイノリティというようなネガティブな調子はまったくありません。
ただあたりまえの生活があり、その中でくすっと笑えるような出来事があり、何らおかしなことはありません。
っていうか、異性愛者の同性同士が一緒に暮らしていて、同居人に性欲を感じなくてもなんらおかしいと思いませんよね?
でも、同性愛者の異性同士が一緒に暮らしていて性欲を感じないことを奇異に思ってしまう、これは自分の中のステレオタイプのせいでしょう。
いやいやいやいやそんな説教臭い話じゃないんです。
彼らはただ普通に生きているのです。
気が合うから一緒にいる、本当それだけなのです。
そのことを語ろうとすると、説教臭くなったり、あるいは攻撃的になったりしがちな世の中ですが、それは何か違うのではないか、と思わされます。
そうそう、ほのぼほ日常の中にも「第一次納豆大戦」という事件があり、三角関係もあり、はらはらドキドキのラブコメ。
読んでいるうちにもう、性別なんて関係なくなってきます。
そう、LGBTへの差別を無くす、とかよりも、LGBTなんて言葉が無くなって、こんなふうに一緒に泣いたり笑ったりできる世の中が理想なのでは、と思ったりします。
全部読み終えず、先にレビューします。
文句なく面白い。最後まで読んでも、星の数が変わらないから、先に。
自分は3つ星を滅多に入れないです。
タイトルだけが損してて、最初の段階で読まないで去る人がいそう。(俺も迷いました。理由はタイトルの意味が"乾いてる男女"だから。"乾いてる"話は経験ありますが、PV伸びないです。濡れてる方が伸びます。)
タイトルの意味なんですが、あくまで「異性に対しては」乾いている、そういう意味です。
もしかしてね、一切ゲイ、レズ、そういうエトセトラのキーワード、作品紹介から抜いちゃっても、作品、成立しますよ。
この作品のテーマはそうかもしれずとも、先まわりして、説明する必要ない。そう思いました。
むしろ、日本ではマイノリティで市民権がない状態ですが、海外じゃ、市長がゲイ、レズビアンのカミングアウトなど、ごくごく普通のこと。さすがに80〜90歳だと差別感覚あるかもしれませんが。
自分、周りはゲイばかりの場所にいつも住んでて、全く珍しくない。治安が良くおしゃれ、高感度なショップが集まるのが各国のゲイエリア。
言わない方が読んでもらえてトク。そう思いました。
主人公の内心の葛藤を見て、自分と関係ない世界だなと、去る読者も出ますが、タイトルで去られるのは、あまりに残念なこと。
ものすごくいい作品なので、是非読んでもらいたい。
むしろゲイやレズビアンを理解していたら、表題、タイトルの冠キーワードが邪魔。日本じゃ生きるのは大変でも、海外だと同性カップルでも結婚も出来、子供も持てる時代。この先のセクマイは、そこまで悲壮感が必要ない時代になっていく。
自然に恋するが、絶対数が少ないから実らない。実りにくい。そこだけ書く方が、中身とタイトルを合わせることができる気がする。
絶対面白いから、是非読んでみてください!
〜
最後まで読んで再び。
お願いです、続きを。
それから、書籍化してください。絶対、集めます。もうね、漫画の原作になって、実写になって、見たいです。それくらい好きです。なぜかわからない。ハマってしまいました。出てくる全てのキャラが、キャラ立ちしてて、映画でもいける。コレクションしたい話です!!
愛するというのはどういうことなのか。
信じるというのはどういうことなのか。
偶然出会った、同性愛者の男と女。
成り行きで同居することになった二人は、次第に絆を深めていきます。
それぞれの恋。
家族との確執。
理解されることのない苦しみと、
向けられる温みへの安堵。後ろめたさ。
ともすれば重くなりがちなテーマがこんなに軽やかに語られるのは、愛すべき二人の人柄故でしょう。
『第一次納豆戦争』をはじめとする、熱い戦いの数々。
辛いとき、空気のように、嵐のように、隙間を埋めてくれるひと。
恋人同士にはならない。
だけど、もっと深いところで繋がっている。
その関係に名前はつけられなくても、それはかけがえのないもの。
愛すべき二人に、幸福のあらんことを!
私事で恐縮ですが、私はゲイやレズを扱った、いわゆるLGBTものは苦手でした。
なんというか、抑圧された彼らの生の声が、たまたまセクシャルマジョリティ側に生まれた自分を責めているように感じたからです。
差別しないでと言われても、差別した覚えはないし、我々は抑圧されているといわれても、私は抑圧した覚えもない。ただ無関心なだけなのですが、LGBT問題に興味を持ってと言われ、無関心でいることですら罪悪感が生まれる……。
だからLGBT側に理解を求める作品は苦手でした。
でもこの作品を読んで考え方が変わりました。
主人公はゲイの青年とレズのOLなのですが、彼らはただ生きているだけでした。
ただ生きて、恋をして、泣いて、笑って、……マジョリティと変わらない軽やかな日々。
そこには理解を押し付ける人はおらず、ただ穏やかな日常に、マイノリティ故の悩みが、それでも優しい筆跡で描かれていました。
ああ、そうか共感するって、理解するってこういう事なんだなと思いました。無理に理解しなくていい、興味がないのに興味あるふりをしなくていい。
ただその生き方に一緒に寄り添うだけでいいのだ、と。
お願いです、LGBTに興味のない方。本作を読んでみてください。きっとあなたの抱える罪悪感が消えるはずです。そしてあなたの世界はもっと鮮やかに色づくでしょう。
この作品で感じた共感の力によって。
最後に、作者のへべれけさん。素晴らしい作品を書いて頂きありがとうございました。
性的マイノリティーである、渚(ゲイ)と夏希(レズビアン)はひょんなきっかけで同居することになる。
非常にデリケートな題材を扱っていながらも、この作品は読んでいる者に心地よさを与えてくれる。一方で、ちゃんと性的マイノリティーゆえの二人の等身大の悩みがストレートに伝わってくるのは、作者様の卓越した手腕と伝えたいという情熱によるものだろう。
この作品が心地いいのは、きっと渚と夏希の関係が、男と女を超えた人対人の関係だからではないだろうか。
ありそうでない二人の関係。これをファンタジーと言わずにいられない。
現代社会のどこかに存在するかも知れない心地よいファンタジー世界を、この作品を通して思う存分感じて欲しい。
今作のタイトルを見て顔を顰めるのは常識的な反応です。
このようなタイトルの作品が、未成年の読者も大勢いるカクヨムにあっていいのかと真剣に心配なさっている。その懸念に敬意を表します。
みんな、カクヨムには健全であってほしいのです。
だからその方々の為に繰り返させてください。
この作品で作者がやろうとしていることは、ゲイな男性とレズな女性がお互いに愛し合うのではなく、ただお互いを理解しあうだけ。それだけです。
これが全てです。
カクヨムを18禁サイトにしてやろうって話じゃないんです。
真夏の夜の淫夢ネタなんてありません。
ただふたりは理解してほしいだけなんです。
何か問題でしょうか? 濡れ場もないのに。
何故この作品をタイトルだけ見て避けるのか、私には分からない。
下ネタなタイトルを毛嫌いするのは分かります。いいんです。我々みんなそんなもんですよ。
でも、まだ読んでない皆さんにこれだけはお約束します。
決して反故にしない約束です。
もし今作が書籍化されカクヨムを代表する作品になっても、明日からもカクヨムは存続します。
明日からも面白い作品がこれまでと変わらず次々とカクヨムに投稿されます。
18禁サイトになんかなりません。
皆がそれぞれ面白いと思う作品が、自由に投稿できるサイトのままです。
だからタイトルだけで毛嫌いするのはやめましょう。
この作品は読めばそのすばらしさが分かるはず。
仮に合わなくても、それはそれ。きっとあなたに合う作品がカクヨムのどこかで眠っています。
それからツイッターで届いた意見をひとつ紹介させてください。
「今作の人気のせいで俺の作品が読まれない!」
でもWeb小説サイトで活動している方ならご存知だと思います。
それは単にお前の作品がつまらないだけだぞ、って。
このレビューの元ネタが知りたければ「ゲイレインボー 演説」でググれ、と。
締めくくりに、それでも今作を読むのを躊躇う方々へ聖書から引用を。
申命記です。申命記はなかなか難解なのですが、まぁそれはいいとして。
旧約聖書 申命記 1章29節
”懼(おそ)るるなかれ”
ゲイとレズの二人が一つ屋根の下で過ごすお話。
同性愛者の彼らは、いわば『少数派』。
二人とも、それぞれ思いを寄せている人がいるのだが、気持ちを伝えることができずにいた。
すべてを失うか、もう失っているか――。
彼らの『愛の告白』には、カミングアウトが含まれ、『多数派』が考えもしないような秘密も、同時に打ち明けることになる。
『多数派』は、たとえ失恋しても、「友達から」という選択肢が残る場合がある。
しかし、彼ら『少数派』には、その選択肢も残らない。
失うときは、今までの関係ごと。
『多数派』は、今まで友人だった相手がいきなり自分を『そういう目』で見られていたと思うと、距離をとることがあるからだ。
軽蔑の目でみることがあるからだ。
同居を始めた『少数派』の二人は、互いを恋愛対象としてみていない。
男女の間に友情が成立するか――。
彼らの関係を『友人』と言えるのかは定かではないが、『恋人』なんかじゃないのは確か。
そもそも、こうして何かしらの『属性』に当てはめて、『分別』することがいいことなのかどうなのか……。
私にはわからないが、もし当てはめてみるとするなら、古くからの『親友』という関係が相応しいのかもしれない。
お互いの重大な『秘密』を共有する二人。似た悩みに、ともに悩み続ける彼らは、それはもう歴戦の戦友みたいな。
「好きだ」
その一言が、言えない。甘酸っぱい青春なんかじゃなくて、もっと重たくて、重たくて。
本作を読んでいて感じたのは、人の『体温』。
どの人間も生きていて、悩みを抱えていて。冗談を言って、笑いあって。ドロップキックをお見舞いしたり、投げ技でやり返したり。
町の様子、そこに住む人々がしっかりと、熱を持っていた。
二人を取り囲む、世間の目。
安直に「リアルだ」とは言えないが、実際に二人と同じ悩みを抱える人は、そんな目にさらされているのだろうか……。
ニヤニヤと楽しめる作品なのだけど、ふとした瞬間に心にずしり、と来るものがあった。
いろいろと読者の感情を刺激してくる、素敵な作品でした。
ご一読あれ~( *´艸`)