あたりまえって何だろう?

インパクトのあるタイトルですが、エロいお話ではなく、とてもほのぼのとした日常系のお話です。
ただ、多くの人にとっての「常識」と違うところがあります。
出会って意気投合した男女が同居するという話なのですが、男はゲイで女はレズビアン。

ん?最近そういうのよく聞くよ?
などと思う人でも、ゲイの男は男と、レズビアンの女は女と、「カップル」として一緒に暮らすのが「普通」だと思ったりしませんか?

このお話はおそらく、そうした二重のステレオタイプをひっくり返すものです。

と言っても、虐げられたマイノリティというようなネガティブな調子はまったくありません。
ただあたりまえの生活があり、その中でくすっと笑えるような出来事があり、何らおかしなことはありません。
っていうか、異性愛者の同性同士が一緒に暮らしていて、同居人に性欲を感じなくてもなんらおかしいと思いませんよね?
でも、同性愛者の異性同士が一緒に暮らしていて性欲を感じないことを奇異に思ってしまう、これは自分の中のステレオタイプのせいでしょう。

いやいやいやいやそんな説教臭い話じゃないんです。
彼らはただ普通に生きているのです。
気が合うから一緒にいる、本当それだけなのです。

そのことを語ろうとすると、説教臭くなったり、あるいは攻撃的になったりしがちな世の中ですが、それは何か違うのではないか、と思わされます。

そうそう、ほのぼほ日常の中にも「第一次納豆大戦」という事件があり、三角関係もあり、はらはらドキドキのラブコメ。
読んでいるうちにもう、性別なんて関係なくなってきます。

そう、LGBTへの差別を無くす、とかよりも、LGBTなんて言葉が無くなって、こんなふうに一緒に泣いたり笑ったりできる世の中が理想なのでは、と思ったりします。

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