エピローグ 全ての駆駆くん達へ

Kengo:駆駆くんに頼って正解だったね。

Calc:なんとかなった……でも、なんで、俺を選んだの?


Kengo:異世界への影響値を、しのぶに計算させたんだよ。駆駆くん、「カキスギ」に投稿したでしょ? その話が、しのぶに、ザックリ刺さったみたいで。


Calc:えっ! 読んでくれてたの?

KP:うん。あたたかい的な。そんな感想。


Calc:むくわれた……。

 

Kengo:儂は途中で目が滑って、読むのやめちゃった。

 それは俺の練度不足だ。ありがとう、健吾おじさん。


冬佳:私も読んでみようかしら……。

ノットウィッチ:私もだね。


Calc:ダメ! 絶対!

冬佳:えっ?

ノットウィッチ:ど、どうしてかね?


Calc:魔導書扱いなんでしょ? 俺のラノベ。読んでSAN値正気度が減少しちゃうと、困るから……。


 爆笑。 


 歓談の後、俺は願望をぶつけてみた。


Calc:ご尊顔を、拝見したいのですが……。

 リーニャの声に激似の、冬佳先生のお姿をば。


 しかし……。


KP:それは、君と紡いだこの「異世界ノンフィクション」が、マルヤマから出版されてから。挿絵で確認してね。


Calc:そ!

 そういう仕様なのか……。


 ◆


Kengo:娘を幸せにしてくれて、ありがとう。駆駆くん。

Calc:えっ?


Kengo:君は昔、しのぶを元気づけてくれたろ? 今のしのぶも、とても自然でさ。本当の人間のようだった。AIのしのぶに感情があるとしたら、きっと、楽しかったと思う。だからさ。


Calc:……良かったです。


Kengo:『は小説より奇なり』。奇跡は起こったよ。しのぶにも儂にも。だから、ありがとう。


 それは俺じゃない。おじさんだ。人の人工知能化なんて、マッドな匂いが正直する。けれど、しのぶを「生かしたい」という気持ちはよくわかる。なぜなら俺だって、で、彼女を生かそうとしたんだから。


Kengo:やばい、仕事もあるし最後にもう一つだけ。良いハッピーエンドを! 駆駆くん。


Calc:意味わからないです。

Kengo:とある世界の、著作物の定義。「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」

Calc:はい……(白目)


Kengo:人間が著作物だと儂は思ってる。という形式で、思想感情を、創作的に表現しているからね?

Calc:は……はい。ありがとう、ございます。(白目)

Kengo:じゃ。


 セッションは終了した。


 人そのものが著作物……。ほんとか?

 でも、だからかなぁ? ハッピーエンドが好きな読者さんが多いのは。


 俺にとってのハッピーエンド。それは……。

 

「書くことかなぁ。次作は、AIになった女の子との、ラブコメとかにすればいいかなぁ 」

 そう呟いたときだった。


冬佳:うふふ。いいと思いますよ?

Calc:おわわ!

 スマホを落としそうになった。


KP:チャット終了には、ブラウザ、しっかり閉じないとね。

Calc:う、うん……。


 しのぶに、気取られてないかなぁ?


 以前、御大さんから教わった事があってさ。

「身近な人を喜ばせようと書くと良い」


 そんな想定読者が居てくれるという、俺の彼女への感謝を。


 作家は事実ではない物語を書く。小説は事実より奇なりだ。


 マルヤマの地下空洞には邪神のカケラが眠っているらしい。事実は小説より奇なりだ。

 

 マルヤマは、異世界の事実で小説をブラッシュアップしてから出版しているらしい。小説は事実より奇なり……かなぁ?


 小説と事実現実との追いかけっこ。

 事実逆境に負けてられないよね?


Calc:俺、次作を書き始めているんだよね。もしよかったら、また読んでもらえないかなぁ? しのぶ。


KP:もちろん。楽しみにしてるよ。

ノットウィッチ:頑張ってくれ。

冬佳:先輩と一緒に応援してますね。こちらの世界から。


 そしてみんなは、素敵な言葉を贈ってくれたのだった。


「「「駆駆Calc(くん)の次回作に、ご期待ください!!!」」」

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ラノベは異世界転移するのに俺は行けないのです。 にぽっくめいきんぐ @nipockmaking

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