概要
つよくもやさしくもなれないあなたへ
「タイムマシンは、必要としている人の前に現れるんだよ」
その時のアストロの声は、夜の小さな星々みたいに、透き通っていた。
そして、わたしは、彼に復讐するための旅に出る。
その時のアストロの声は、夜の小さな星々みたいに、透き通っていた。
そして、わたしは、彼に復讐するための旅に出る。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!黒くて汚くて焦げ臭くて、それでいてまばゆい光を放つ、人間の「弱さ」
復讐心、それは「自分を不幸にした相手にも同じように不幸になってもらうこと」を願う、人間の深いふかいところに根差す、黒くて汚くてまるで灼き切れた鉄みたいな匂いのする感情で、本来は直視するに堪えないものであるはずです。
この物語の登場人物は、そういう人間の黒くて汚くて焦げ臭い部分を恥ずかしげもなくさらけ出して、泣いて喚いて、自分の心の傷を見せびらかして、そのくせ他人を平気で傷つけて、かつて愛していたはずの相手の不幸を願って、そしてそんな自分を嫌になってたりして、ほんとうに真っ黒で汚くて焦げ臭い心の持ち主ばかりで——それなのに、どうしてこの物語がこんなにも心を打つのか、僕はどうしても言葉で説明す…続きを読む - ★★★ Excellent!!!大切なひとに贈りたい物語
このお話にでてくるひとたちは、みんな一生懸命で、でも素直になれなかったり、たぶんほんとうは傷つけたいわけじゃないのに相手を傷つけたり、とにかく器用ではありません。
主人公の雪村月乃ちゃんは、おはなしのなかで、たびたび「無敵ボタン」なるものを押します。たとえばこんなふうに。
>--もう、何も考えるな。ボタンを何度だって押す。何度だって、何度だって、わたしは。
こころのなかにあるボタン。これで私は何があってもだいじょうぶ、というボタン。
そんなの押さなくていい、むりしておさなくていい、あなたが犠牲になる必要はないのだと、アストロは教えてくれました。アストロは、というか彼は、やさし…続きを読む