概要
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!人間、アンバランスでも、寄り添ったり寄り掛かったりして、何とか生きてる
のかな、と思えました。
どこかでゆるく登場人物達が繋がって物語が作られていて、カクヨムでは僕は初めて見たタイプです。
知らないふりして被害者面したり、会う口実に利用してみたり、思いきり頼ってみたり。
ひとりひとりが完全に倒れてしまわない様に、意識的にか無意識か、他人を使って自分を立たせている。
それでもいい、と慰めるメッセージにも感じるし、踏ん張って立っている人には、休めと優しいメッセージに思える。
この解釈でいいのか、分からないですけど『想像しよう』と書いている通り、いろんな事が想像できる懐の深い小説だと思いました。
想像することを、行間を読む、なんて言うけど、行間にたっぷり描ける…続きを読む - ★★★ Excellent!!!広いようで狭い、この世界と人々の心
予想を超えたところで偶然が折り重なっていく、大変緻密な作品です。一人、二人のエピソードで終わってしまいそうなところで、別な関係人物が絡まり、世界をじりじりと広げ、あるいは狭めていく。
人間、どこで何があるか分かったもんじゃないですが、それを明るくも暗くもなく、淡々と、しかし感慨深く掘り下げていく。
不思議ではありますが、いや、不思議だからこそ、大変な感銘を受けました。
そしてそれを支える、洗練された文章がまたすごい。『良い』んじゃないんです。『すごい』んです。やはり、ヒューマンドラマ特有の文体ってあるのでしょうか。
作品そのものだけでなく、文体的なアプローチという意味でも、大変すばらしい読…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ひとつずつ、パズルのピースがはまっていくような物語
一人称視点での描写に臨場感やリアリティがあって、それだけでも十分に読ませてくれる物語です。
しかし、本作の最大の魅力は、最後まで通して読むことによって浮かび上がるバックボーン、全体像にあります。
パズルのピースなどと喩えましたが、その実像はもっと繊細です。
隣り合ったピースだけではなく、すべてのピースがリンクして、一つの物語を作り上げています。
なので、読みやすさに任せて一気に読み進めると、私のようにそのリンクがこんがらがってしまう恐れがあります。
ですが、心配ご無用。
この物語は再読に耐えます。
読み返せばきっと新たな発見、気づきがあるはずです。 - ★★★ Excellent!!!レンズの先に広がる無限の世界!!
作者さまの作品はいくつか読ませていただいてますが、とにかく読ませる力と、最後の落とし方がとても素晴らしいものがあります。
今回の作品にも溢れるほどの作者さまの魅力がちりばめられています。
物語は、ずばり、想像するとはどういうことかという問いかけです。そのために、一見繋がりのない登場人物たちが、最後にはまるでカメラのレンズに集約していく様は、読む人の心を揺さぶってくるでしょう。
広がった世界と広がらなかった世界。その二つを想像という仕掛けで繋ぎあわせる。ある写真に穴を空けようとしたのは、閉じた現実をカメラにセットしても、広がる世界は見えないからなのかなと思いました。
想像の数だけ、解…続きを読む