ひとつずつ、パズルのピースがはまっていくような物語

一人称視点での描写に臨場感やリアリティがあって、それだけでも十分に読ませてくれる物語です。

しかし、本作の最大の魅力は、最後まで通して読むことによって浮かび上がるバックボーン、全体像にあります。
パズルのピースなどと喩えましたが、その実像はもっと繊細です。
隣り合ったピースだけではなく、すべてのピースがリンクして、一つの物語を作り上げています。

なので、読みやすさに任せて一気に読み進めると、私のようにそのリンクがこんがらがってしまう恐れがあります。

ですが、心配ご無用。
この物語は再読に耐えます。
読み返せばきっと新たな発見、気づきがあるはずです。

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