概要
その十一番目の隊長、綾瀬久二郎の凄絶な人生を描く。
よく知られる新撰組の物語の中に、架空の設定を織り込み、彼らの生きた跡をより強く浮かび上がらせたい。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!誠の旗に《生き様》の花が燃える
新撰組。幕末にさほど詳しくない御方でも新撰組の名はご存知でしょう。
京の都において秩序の取り締まりをし、後に旧幕府軍として戊辰戦争を戦った剣客組織です。《誠》の旗をあげ、動乱の幕末を駆け抜けた、最後の侍とも称されています。
その新撰組を題材と扱った小説や映画は数知れず。昨今では時代の需要にあわせて多様に脚色され、大幅に改変された創作も散見されます。むしろ、そうした創作物のほうが増えているほどです。
ですがこちらの長編小説は架空の人物を登場させ、その視点を借りつつも、史実から逸脱することなく厳格なほど正確に綴られています。著者さまがいかに勉励されたかが見て取れます。僅かな妥協も許さず、史書をか…続きを読む - ★★★ Excellent!!!感服、の一言。
この作品を、まだ最後まで読んでいません。一気に読んでしまいたい面白さだからこそ、慎重になってしまいます。
というのも、私も同じく新選組ものの小説を書いている身。読めば読むほど史実とフィクションの塩梅の上手さ、物語への落とし込み方、流れの良さが素晴らしく、知らず知らずのうちに「パクってしまいそうになる」のです(笑)歴史物を書く上で、参考文献にフィクション作品を入れてはいけないのは重々わかっていますが思わず参考文献の1つにこの作品を入れてしまいたくなるほど。
そうは言っても、いち読者としては続きが気になって仕方ないのもまた事実。
影響を受けないように気をつけながら、大事に大事に読み進めていきた…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ど真ん中の歴史小説
時代小説・歴史小説は、登場人物の生涯がわかっているだけに、彼らを主要登場人物に置いた作品は、やはり読むときの思い入れが深くなる。なにせ「知ってる仲」だからさ。言ってみれば二次創作の世界と同じで、最初からキャラクターを「読者がわかっている」利点は大きい。
本作もそう。題材が新選組となれば、創作界での人気もダントツだ。
もちろんそれにはマイナス面もある。人気が集中する>創作数も増えるわけで、手垢が付きがちになる。本作はそこを、架空の人物を主人公に据えることで巧妙にクリアしている。
……ではあるが、やっぱり北に逃れた土方さんの最期とかは、やっぱり切ないよなあ読んでると。
弥生時代舞台の前作…続きを読む - ★★★ Excellent!!!幕末という夜に咲く、男たちの志しの花
奪われた妹を取り戻すために、親友と二人で崩壊した村から出た青年久二郎。彼は運命の予想もつかない変転と出逢いにより、日本人ならば知らぬ者はない新撰組の一員として動乱の時代を切り開く刃となる。
斬るべき者も、斬りたくはなかった大切な者も斬った男が咲かせた花とは。そう尋ねられれば、多くは紅い花を思い浮かべるでしょう。私達の肌の下に流れる、鉄錆の臭いがする美しくも禍々しい花を。それも間違いではありません。作中では、多くの者たちが紅い花となって散っていきます。いずれもそれぞれに誇り高く、散っていく。
だが、久二郎が、新撰組の男たちが真に咲かせんと欲し、数多の犠牲の末に守り抜いたのは、もっと美し…続きを読む - ★★★ Excellent!!!男たちの哲学はその死の美しさを肯定しない
第一部完結に際してレビューを書かせていただきます。
日本人なら誰もが知るところの新撰組を題材に、架空の隊士を主役に据えながらも史実に沿って展開する歴史小説です。
作者様の語りが地の文で多く採用されているので、京都を舞台にしたエッセイのようでもあります。
まるで吟遊詩人か琵琶法師です。見てきたことを叙事詩にして語っているのような印象を受けます。
どんどん次のエピソードが気になってくる。教えて教えてとせがみたくなってきます。
主人公の久二郎は美濃と飛騨の境に生まれた田舎者の青年。真面目ないいやつで、擦れたところのない、妹や恋人に優しい男です。
相棒の彰介もいいやつ。久二郎の幼馴染みで、体格に恵…続きを読む - ★★★ Excellent!!!幕末。その風。そのにおい。
かの有名な新撰組を題材に、架空の主人公を据えて繰り広げられる幕末絵巻。
もう、文章が、とにかく、幕末。
どうしようもなく幕末。
こちらの作者さんは、非常に切れ味の良い、すっきりとしながらも熱い文章を書かれるのですが、もう、それがものすごく効果的にこの幕末という時代に寄り添っています。
圧巻。これはヤバイ。
何がヤバイって、すごくヤバイ。
あまり詳しくない方でも、すんなり入っていけるし楽しめると思うのですが、個人的には詳しい方にこそ読んでいただきたいです。
基本的な知識の量や深さもさることながら、独自の解釈で描かれる実在した人物たちの魅力たるや……!
特に、現在の最新話のメイン、新説・芹…続きを読む - ★★★ Excellent!!!新撰組に詳しい方もそうで無い方にもオススメ
新撰組の物語はドラマ・小説・ゲーム・漫画含めて様々な物がありますが、この新撰組は新しく、かつ正統派な新撰組の物語です。
私は歴史物はあまり読まないのですが、この作品は所々作者による丁寧でわかりやすい解説が入るので、歴史に疎い私でも「なるほどー」と思いながら楽しく読ませていただいております。新撰組好きな人も、これまで新撰組に触れたことが無い方にもオススメな新撰組物語です。ストーリーもただ歴史をなぞるだけでなく、ちゃんと主人公に目的があり面白いです。
この作者さんの作品は、作者さんの知識が豊富で色々勉強になるので、もう一作の歴史物「女王の名」も是非オススメします。こちらは弥生時代を舞台とした…続きを読む