ど真ん中の歴史小説

時代小説・歴史小説は、登場人物の生涯がわかっているだけに、彼らを主要登場人物に置いた作品は、やはり読むときの思い入れが深くなる。なにせ「知ってる仲」だからさ。言ってみれば二次創作の世界と同じで、最初からキャラクターを「読者がわかっている」利点は大きい。

本作もそう。題材が新選組となれば、創作界での人気もダントツだ。

もちろんそれにはマイナス面もある。人気が集中する>創作数も増えるわけで、手垢が付きがちになる。本作はそこを、架空の人物を主人公に据えることで巧妙にクリアしている。

……ではあるが、やっぱり北に逃れた土方さんの最期とかは、やっぱり切ないよなあ読んでると。

弥生時代舞台の前作より創造力の広がり幅は現実的だが、その分、リアリティーに優れている。加えて、文章から哀切感が溢れているのは、前作同様、作者ならではの資質と言えるだろう。

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