幕末という夜に咲く、男たちの志しの花

 奪われた妹を取り戻すために、親友と二人で崩壊した村から出た青年久二郎。彼は運命の予想もつかない変転と出逢いにより、日本人ならば知らぬ者はない新撰組の一員として動乱の時代を切り開く刃となる。

 斬るべき者も、斬りたくはなかった大切な者も斬った男が咲かせた花とは。そう尋ねられれば、多くは紅い花を思い浮かべるでしょう。私達の肌の下に流れる、鉄錆の臭いがする美しくも禍々しい花を。それも間違いではありません。作中では、多くの者たちが紅い花となって散っていきます。いずれもそれぞれに誇り高く、散っていく。
 だが、久二郎が、新撰組の男たちが真に咲かせんと欲し、数多の犠牲の末に守り抜いたのは、もっと美しく尊い花でした。それが何であるかは――是非ともご自身でお確かめください。
 圧倒的かつ緻密な知識と軽快な語り口で綴られる、激動の時代の夜明けを。あなたの目で、心で。

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