概要
「僕とキミの15センチ」参加作品。
中間突破、ありがとうございました。
農学部生物資源科学科の教員として研究を続ける大原夏樹(おおはら なつき)は、親友である櫟井恭(いちい きょう)の手を借りて、ある事を成し遂げようとしていた。
動き始めるたった二人のプロジェクト。
その背景には、大学院生時代からの友人で夏樹の婚約者でもある仁和清花(にわ さやか)の存在があった。
突然、視力を失くしてしまった彼女の目に映る愛情は、どんな色をしているのだろうか。
花を愛する二人が紡ぐ、優しい夏の約束の物語。
※今後執筆予定のミステリー作品と同一世界です。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!言葉となって現れる色彩が登場人物たちを包み込む
本来なら、言葉とは色彩を持たぬものです。
しかし、この作品では言葉によって見事に色彩が表現されています。
言葉から放たれる様々な色たちは、実際に目の前にあるわけではないのに、驚くほど自然に、そしてはっきりとその景色を想像させ、私達はそれを「見る」ことができるのです。まるで、言葉自身に色彩があるかのように。
そして、そんな色鮮やかな世界のなかで、優しい物語は動き始めます。
突然起こりくる悲劇。後悔と葛藤。そのなかにある一筋の希望。
悲劇を乗り越えて、希望を掴み取ったとき、彼らの見る世界には優しく、そして眩しいほどの美しい色たちが溢れ、彼らに微笑みかけます。
とても素晴らしい作品でした。
登場…続きを読む - ★★★ Excellent!!!あなたにも、「クロムイエロー体験」を
「15センチ」をキーワードにしたコンテスト。
いくつか読みましたが、この使い方はおそらく
誰にも思いつかなかったことでしょう。
誰もが、その斬新性や独創性に驚き、
「こう来るか!」と感じさせられるはず。
柔道なら「一本!」と主審が手を上げてます。
でも、これは小説のコンテストでもあるので
「お題消化の上手さ」を競うのは
作品全体のほんの一部だけのこと。
じゃあ、作品はどうなの?
……はい。いいです。
「みずみずしさ」や「やさしさ」や「純粋さ」
が行間の隅々にまであふれています。
これは作者の人となりによるもの――つまり、
「愛」とか「生命」とかいう曖昧なものへの
作者の回答が詰…続きを読む - ★★★ Excellent!!!映る色が季節と共にサザメクような。
最初から最後まで、ずっと浸っていたい作品でした。
ひとつひとつの言葉もそう。見えてくる景色もぎゅっと。
色が塗られていたり、単独で立っていたり、存在が重ねあわされる。
他の人には思いつかない15センチ。
この15センチはせつないけれど、同時に浮かんだ希望みたいで。
3の「塗り潰される」という表現で、幕を下ろされたようなきもちになって。
覆い被さるここがあるから、余計に最後の風景が生きてくる。
約束を果たせなかった後悔が、今になって恋人を支える。
この世界、大切にしていきたいです。
同一世界のミステリー、どんなのかな。
読者としては、友人の恭さんの存在が気になります。
ぜひ彼が主人公の作…続きを読む