秋澄む空にクロムイエロー

作者 泉坂 光輝

70

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★★★ Excellent!!!

本来なら、言葉とは色彩を持たぬものです。
しかし、この作品では言葉によって見事に色彩が表現されています。
言葉から放たれる様々な色たちは、実際に目の前にあるわけではないのに、驚くほど自然に、そしてはっきりとその景色を想像させ、私達はそれを「見る」ことができるのです。まるで、言葉自身に色彩があるかのように。
そして、そんな色鮮やかな世界のなかで、優しい物語は動き始めます。
突然起こりくる悲劇。後悔と葛藤。そのなかにある一筋の希望。
悲劇を乗り越えて、希望を掴み取ったとき、彼らの見る世界には優しく、そして眩しいほどの美しい色たちが溢れ、彼らに微笑みかけます。

とても素晴らしい作品でした。
登場人物たちの未来には、鮮やかな色達がこれからもきっと溢れ続けることでしょう。

★★★ Excellent!!!

色彩溢れる素敵なお話でした。

物語の冒頭から、魔法のように鮮やかな色彩表現に魅せられます。それだけではありません。
植物を通して語られるこの物語。そこから見えるのは、美しく紅茶が香り、現実に幻想的な色の世界。登場人物の心の機微が、素敵な物語を形づくっているのです!

特にラストの風景に魅せられて、あなたの心に鮮やかな色を残してくれるでしよう。
とても、素敵なお話でした。

さぁ、あなたも美しく鮮やかな景色を一緒に見に行こう!

★★★ Excellent!!!

「15センチ」をキーワードにしたコンテスト。

いくつか読みましたが、この使い方はおそらく
誰にも思いつかなかったことでしょう。

誰もが、その斬新性や独創性に驚き、
「こう来るか!」と感じさせられるはず。
柔道なら「一本!」と主審が手を上げてます。

でも、これは小説のコンテストでもあるので
「お題消化の上手さ」を競うのは
作品全体のほんの一部だけのこと。

じゃあ、作品はどうなの?

……はい。いいです。

「みずみずしさ」や「やさしさ」や「純粋さ」
が行間の隅々にまであふれています。

これは作者の人となりによるもの――つまり、
「愛」とか「生命」とかいう曖昧なものへの
作者の回答が詰め込まれた1万3000字。

適度に描き込まれ、さりとて過剰ではない文体で
いくつもの色で全体を染め上げながら
ナイーブな物語を展開させる。

――お見事でした。

★★★ Excellent!!!

最初から最後まで、ずっと浸っていたい作品でした。
ひとつひとつの言葉もそう。見えてくる景色もぎゅっと。
色が塗られていたり、単独で立っていたり、存在が重ねあわされる。

他の人には思いつかない15センチ。
この15センチはせつないけれど、同時に浮かんだ希望みたいで。
3の「塗り潰される」という表現で、幕を下ろされたようなきもちになって。
覆い被さるここがあるから、余計に最後の風景が生きてくる。

約束を果たせなかった後悔が、今になって恋人を支える。
この世界、大切にしていきたいです。

同一世界のミステリー、どんなのかな。
読者としては、友人の恭さんの存在が気になります。
ぜひ彼が主人公の作品も!

★★★ Excellent!!!

爽やかな青色は、どこまでも続くはずだった。

夜明けのグラデーションが夜に塗りつぶされた時、僕は約束を果たすために、黒く汚れたパレットに笑顔の種を乗せる。それは、彼女に美しい色を見せてあげるためだった。
夏に出逢えなかった黄色い優しさを届けるために、僕と彼は、彼女のために動き出す。

繊細な描写が光る、広い空と大きな花畑が目に浮かぶ傑作です。

★★★ Excellent!!!

十五センチという題材をうまく使いこなしているな、と思いました。
主人公が植物に携わる職業ということで、目で見て綺麗だと思えるお花にも詳しいわけですが、その彼女が視力を失くすというのが切なさを助長しますね。せっかくの綺麗なお花を見せてあげることができないもどかしさ。
それが綺麗に最後の感動に繋がる元になっていて、物語としてとてもうまい運びだと思います。
文章も描写も相変わらず綺麗でした。

★★★ Excellent!!!

15センチというテーマをストーリーの要所に置きながらも、それがただのキーワードではなく、二人の関係に密接に関わる描かれ方をしているのがとても秀逸で印象的でした。
深刻なハンデを背負いながらも、それでも二人で手を取り前を向こうとする真摯な想いに心打たれます。
そして、個人的には「花」の印象的な使われ方が好きでした。
ほんのり涙腺を刺激してくれるような作品をお探しの貴方に是非、お読み頂きたいと思います……!

★★★ Excellent!!!

僕が思うに、いや、作者が近況で述べているように、この作品の特徴は随所に出てくる『色』である。

作者が一つひとつ丁寧に思い描き、選び出した色の数々、その色を表す言葉が作品内に散りばめてある。

読み進め、その言葉に触れたとき、僕は確かにその色を、僕なりの色で感じ取れた。

これは言葉の可能性である。

言葉の可能性が伝えるは、あらゆる色に彩られた世界は美しい。

それを美しいと感じる人もまた美しい。

素晴らしきかな生命。

素晴らしきかな光。

眩しいね、生きるって。

読後、自分の目に映るあらゆる色が鮮やかになる作品でした。

そして、眩しさを感じ取れない人たちとどうすればこの光を共有できるか考えさせられた作品でした。

★★★ Excellent!!!

五感を擽られる作品。

匂い立ち、眩しさに目を細め、まるで温室の中にいる様な感覚。

草花の鮮やかな色や香り、主人公達の穏やかな日常。
そして壊れる音は、衝撃を伴って鳴り響く。
それでもこのお話は、
見た目ほど甘くないハーブティの様な現実が、
少し美味しく感じられる。

優しく切ない不思議な穏やかさをくれます。