言葉となって現れる色彩が登場人物たちを包み込む

本来なら、言葉とは色彩を持たぬものです。
しかし、この作品では言葉によって見事に色彩が表現されています。
言葉から放たれる様々な色たちは、実際に目の前にあるわけではないのに、驚くほど自然に、そしてはっきりとその景色を想像させ、私達はそれを「見る」ことができるのです。まるで、言葉自身に色彩があるかのように。
そして、そんな色鮮やかな世界のなかで、優しい物語は動き始めます。
突然起こりくる悲劇。後悔と葛藤。そのなかにある一筋の希望。
悲劇を乗り越えて、希望を掴み取ったとき、彼らの見る世界には優しく、そして眩しいほどの美しい色たちが溢れ、彼らに微笑みかけます。

とても素晴らしい作品でした。
登場人物たちの未来には、鮮やかな色達がこれからもきっと溢れ続けることでしょう。

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