光源氏の生涯において、最後まで光と影を落とし続けた存在「藤壺」。
光源氏は「藤壺」の存在ゆえに苦しみ、自らの周りの人間を苦しめてきました。
それは決して「藤壺」が彼女が悪いわけではない。ですが、彼女の存在は光源氏の生涯のなかで消えることない光とも、影ともなって現れます。
しかし、この『藤の庭』はそんな彼女こそ、本当の苦しみを味わった女人であるということを、私に教えてくれました。
美しく巧みな文章は、そんな彼女の思いに寄り添いながら、私達を物語のなかにいざよいます。
彼女が「光」と過ごした日々、輝きに溢れていた彼女の見る景色、ずっとそのままでいられたら、と私は思わずにはいられません。
今まで見えてこなかったものを見せてくれた、『藤の庭』に感謝でいっぱいです。
そしてまた、彼女の思いを綴り出すことのできる、筆者様の深い見識と表現力に脱帽です。
彼女の見た、本当の景色をあなたも覗いてみませんか?
きっと、新たなものが見えてくるはずです。
源氏物語、第一帖。
お馴染みのストーリーを藤壺の女御の視点から描いています。
運命の糸に絡め捕られ、翻弄される、ひとりの女の物語。
己の心のままには生きられない不自由な時代。
多くのものを諦め淡々と過ごす彼女の元に不意に訪れた、光。
狂おしいほどに求め、赦されない恋に身を焦がす。
私は光源氏が嫌いです。
無節操なのはダメ!ゼッタイ!!って、思ってる。
だけどこの恋は切なくて。苦しくて。
胸が締め付けられるような一言一言に、目が離せませんでした。
高い文章力。
言葉の選び方の素晴らしさ。
どうしてこの作品が、☆12なんだろう。
続く物語には☆がひとつも付いていない。
信じられない。
埋もれさせておくなんて、もったいない。
みんな。読んでみて!!