概要
この食事が王を殺すと思うと、夢か何かのような気がした。
精神退行した廃王に仕えることになった女料理人を主人公にした中華風の短編です。
〇姉妹編をまとめた短編集も始めました。
「偽王の晩餐と姫君の首」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054890620467
※noteなどにも掲載しています。
〇姉妹編をまとめた短編集も始めました。
「偽王の晩餐と姫君の首」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054890620467
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おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!料理人が主のため選んだ最後の選択は――
峯なる国で食堂を営んでいた朱宵鈴はその腕を買われ、先代の帝たる暁王の料理人に取り立てられた。
狂人であるがゆえに禅譲を迫られたという暁王は、現帝に毒を盛られた結果、子どもさながらの無垢と化していたのだ。
朱宵鈴は料理を出し続け、暁王との平穏な日々を過ごすのだが――
叛乱の勃発により、その旗印とされかねない暁王の毒殺を命じられる。
テーマがタイトルそのままという、非常によくできた構成に目を惹きつけられました。
そして、主人公と暁王の会合シーンはすべて食卓という潔さを始め、1万字弱の短編にここまでの「色濃さ」を演出してのけた筆力にもです。
主人公の心情が細やかで濃やかなんですよね。だからこそ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!歴史小説書き的観点で
ニヤニヤしました。
と言うのも、自分が抑えている時代、東晋末。
思いっきり似た末期を遂げている皇帝がいるのです。
安帝と、恭帝。
二人は兄弟で、兄はこの物語にも出てくるような精神退行者。
弟はその兄をよく支えたが、兄暗殺後、将軍「劉裕」に
皇位を禅譲する役として飾りの皇帝に据えられ、
そしてやはり殺されます。
この物語の印象としては、この二帝のエピソードが合わさった感じ。
逆に言えば、史書の中では「暗殺されました」程度でしかない
エピソードの中に、朱宵鈴のような思いを抱えた人も
いたのだろうなぁ、などと思うのです。
特に恭帝暗殺に際しては、
朱宵鈴に近い立場の人の事跡が残されてもおり、…続きを読む