悲しいね。さよならはいつだって、やさしさを失った海の色

中華系ファンタジー作品、よくできている。
とても悲しい。
結局、利用されたわけである。

本作の褒めるべきポイントは、描写がシンプルな点だ。
読者に具体的に伝えるためにポイントを絞り、難しい言葉を使わず説明している。
おかげでキャラクターの行動や態度に目を向け、物語に入っていける。

張康夜が説得する場面が素晴らしい。
「論理」「信用」「感情」の順番に語っている。
最後に大事なポイントに話を戻し、強い言葉で締めている。
実に狡猾である。

最後はけじめというより、懺悔だろう。
料理に毒を入れて殺すなど、料理人として失格である。
自分を信頼してくれた者を手に掛けるなどもってのほか。
故に、自罰行為として死ぬまで独り身で料理を作り続けるのだ。

だから、悲しい。

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