美しく、そして醜悪――。夏の青草の匂いが漂ってきそうな瑞々しい描写がとても美しい。その反面、美しい自然の中で、人間たちの浅ましさ、陰湿さが際立つ逸品。ヒロインの被虐性は、もはや痛々しいを通り超えておぞましいレベル。愛しているのに、愛する男を不幸にし、不幸にすると知りながら加害せずにはいられない醜悪さ。行きつく先は破滅しかなさそう、でも長編として読んでみたくなった。
直接的な描写はないのにこのたまらないエロさ。まじ踏まれたい・・・
主人公の俗悪さにゾクゾクしました。己の醜さを自覚しても蹂躙をやめられないというサディズムとマゾヒズムの融合。すばらしいです。何を読んでもハズレがないです。これからも応援しています。
非常に歪な関係である。幼馴染兄妹二組。凡百の話ならば、一組ずつ成立させてめでたしめでたしのはずなのに。秘めたる矢印は頑なに想い人を指し続ける。主人公は、かつての幼馴染にもっともできのよいところを奉仕させる。盛りの花を見て欲しいという切ない女心を匂わせるけれど、同時に身内という人質をとってみせるという底意地の悪さに見事に翻弄されてしまった。これから彼らにどんな運命が待ち受けているのか。過去を、未来を妄想せずにはいられない。
序文からして文章の美しさに圧倒されます!箱庭にとじこめられたような、小さな世界の、激しい恋・・・!
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