壮大な大河ファンタジーの始まりは、甘酸っぱく切ない

作者の手がける「烏翠」シリーズ最初の長編です。といっても、どれから読んでも楽しめるように書かれているので大丈夫です。でも、初めての方、他の作品読んだよ、という方には、是非是非、これは読んでいて欲しいのです。

「烏翠」シリーズは中国をモデルにした架空世界です。中国をモデルに、ということは、中華と夷狄という区分があり、「烏翠国」は中華にあたる文明国です。一方、ヒロインのレツィンは「夷狄」にあたるラゴ族の少女で、「他者」として烏翠を見ていることから、この世界の持つ奥行きがよく見えてくる構図になっています。

いや、別に、そんなに面倒なことは考えなくてもいいのです。

レツィンは聡明ながら、とてもまっすぐな少女です。
彼女の想い、行いを素直に追っていくだけで、いつの間にか、烏翠国の住人になってしまいます。

そして、この甘酸っぱく切ない話を読み終わったとき、思うのです。

もっともっと、烏翠シリーズが読みたい!と。
大丈夫、ちゃんと、短編・長編の外伝や関連作品があります。

壮大で、格調高い、でもちょっとお茶目で可愛い大河ファンタジーの世界に、踏み出してみませんか?

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