あ~~今夜も、弦朗君に逢いたくなる…

 序の<まず口上を一つ>で書かれた女神と男神の話が、本作『翠浪の白馬、蒼穹の真珠』を通しての隠し味となっていて、作中のところどころで真珠・毬・扇が出てきます。読者はそのつど、物語りの中にぐいっと力強く引き込まれる思いがすることでしょう。
 そして最後に、再び女神と男神に再開し、「そうなったのか!」と思わず叫んで、読後のカタルシスへと導かれるは必定です。

 これは先に読んだ『涼国賢妃伝~路傍の花でも、花は花~』の艶本の扱いに通じるところがあって、作者の結城かおるさんはほんとうに、<物語りを紡ぐ>のがお好きなのだなと感じ入り、読者はその巧さにただただ身を任せるしかありません。
 
 登場人物3人のイケメン、弦朗君・趙敏・柳承徳…、ラゴ族のサウレリも入れると4人の若者の容姿と性格の書き分けも上手くて、そのうえに情景描写も巧みなので、読み進めるうちに、映像をみているかのように、私の頭の中で彼らが動き始めました。

 あっ、私は、弦朗君にハマりました…。3作の外伝を読んでますます…。

 願わくば、弦朗君の幼少時代から始まって、彼の烏翠国での活躍までを描いた長編を読みたいものです。ということで、今回のレビューの題は、『あ~~今夜も、弦朗君に逢いたくなる…』となりました。


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